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Wednesday, February 27, 2013

「泣くな、はらちゃん」第6話の感想



泣くな、はらちゃん #6 投稿者 yamutya1




第6話はとても切ない話でした。でも、はらちゃんが最もカッコいい回でもありました。
















(第5話)
はらちゃん 「では、越前さん、お願いします。」
越前さん 「はい。じゃあ、また。」
はらちゃん 「また。」


第5話で、ついに両想いとなって、「また」会いましょうと別れるふたり。それまでは偶然に開かれるだけだったノートをきちんと意識して開くのもこれが初めて。そして、第6話では紺野さんの「マキヒロを出してほしい」という頼みを聞いて、その「オマケ」としてはらちゃんが出て来ます。(もちろん、これは越前さんの冗談)


(第6話)
越前さん 「さ、行きましょう。オマケのはらちゃん。」
はらちゃん 「ん? オマケ? オマケとは何でしょう?」
越前さん 「いいから。ほら、行きますよ!」


子供を相手に話すような口調で可愛らしい。物語の前半で越前さんが「ついてこないで!」とたびたび叫んでいたのが嘘のようです。
















(第6話)
はらちゃん 「越前さん、おいしいです。」
越前さん 「よかった。」


そして、9時までの短い時間を居酒屋で過ごします。ここでも、「よかったです」ではなくて、「よかった」と答える越前さん。何気ないセリフにもふたりの関係の大きな変化を感じます。

















でも、越前さんはこの両想いが現実のそれと違うことをきちんと理解しているんですよね。


(第6話)
はらちゃん 「楽しいね、はらちゃんとの恋は。・・・でしょ?」
越前さん 「・・・はい。でも、」
矢口さん 「でも、そのぶん切ないよね。」
越前さん 「はい。」
矢口さん 「楽しいことってのはさぁ、そのぶん、切ないんだよねぇ。楽しいぶん切ない、切ないぶん楽しい。そういうもんなんだよねぇ。」
矢口さん 「結婚か。プロポーズされちゃったねぇ。いいプロポーズだった。」
越前さん 「はい。・・・できるわけないのに、結婚なんて。」


せつない恋ですよね・・・。はらちゃんと越前さんの恋はある意味で遠距離恋愛に似ていると思うのですが、現実の遠距離恋愛だと結婚して一緒に暮らすことが解決策になり得る。でも、このふたりの場合はそれが出来ない。これはつらい恋です。


はらちゃんと越前さんの恋の切なさが描かれるいっぽうで、この第6話では、そもそも、なぜ、はらちゃんが外の世界に出たのか、なぜ、越前さんはノートにマンガを描いていたのか、そういった物語の原点についての確認が行われます。まず、マンガの世界において、視点を戻すための狂言回しを演じるのは笑いおじさんです。


(第6話)
笑いおじさん 「いいか? 問題はな、神様なんだよ。」
はらちゃん 「ちょっと! 越前さんを悪く言うのはやめてくださいよ。」
笑いおじさん 「もともとはよ、神様の機嫌がいつも悪くて、この世界がなんだかおかしなことになっててよ、それを何とかしようって話じゃなかったのかよ? それがよ、恋だか何だか知らねえけど、おまえさぁ、自分のことばっかりじゃねえか。」


そう、そもそも、はらちゃんはこのマンガの世界を明るくするために外の世界を目指したのでした。


(第1話)
ユキ姉 「最近、この世界がなんだか暗く重たいのは、おそらく、われわれの神様の機嫌が悪いからだ。」

(第1話)
笑いおじさん 「その、もうひとつの世界で、神様のご機嫌がよくなれば、オレたちのこの世界も明るくなるってことか、ん?」
ユキ姉 「そうだね。」


さらに、笑いおじさんはこう続けます。


(第6話)

笑いおじさん 「この世界のことなんて全然考えてねえじゃねえか!」
はらちゃん 「そんなことありませんよ! わたしが越前さんを幸せにしたら、この世界は明るくなるんです。」
笑いおじさん 「なってない! 全然明るくなってない! いいか。恋とか言って、ぽーっとしてるからこういうことになるんだよ。」
マキヒロ 「恋は悪いことじゃないです! 素敵なもんです!」
笑いおじさん 「なんだ、おまえまで。どいつもこいつも、恋、恋、恋、恋。外の世界に行って腑抜けになりやがって!」
あっくん 「ぼくは腑抜けになってないですよ、恋なんかしないですし。」
マキヒロ 「犬しか見てないんだろ?」
あっくん 「しょうがないじゃないですか、そんなこと言ったって。」
笑いおじさん 「おまえにはな、外の世界は無理だよ、臆病だからな!」
あっくん 「あー、そうですよっ! 犬、怖いですよ、ぼくはっ!」
はらちゃん 「ちょっとやめましょう、やめましょう。」
笑いおじさん 「恋とか言ってさ、ねぇ、腑抜けになってるやつよりマシか。はっはっはっ。」
マキヒロ 「腑抜けじゃない!」



笑いおじさんというのは、その名の示す通り、若者から見れば「ものわかりの悪いおじさん」でもあるわけですが、言ってることは間違ってないんですよね。そして、ここでのやりとりが示すように、マンガの世界はひとつにまとまっていません。


つぎに、現実世界。こちらで狂言回しを演じるのは越前さんの弟・ひろしです。


(第6話)
越前さん 「あんたに言われたくない。」
ひろし 「姉ちゃん、オレはさ、家族のこと考えてんの、わかる? 姉ちゃんも、もっと考えようよ!」
越前さん 「なに、それ。」
ひろし 「家族のこと、考えるの、当たり前でしょうよ。なんで、そんなこともわかんねえの? ねえ? オレはさ、言っときますけど、ちゃーんと考えてんの。ねえ? おい、聞いてる?」


ほとんどすべての視聴者が「おまえが言うな!」と憤った場面ですが、現実世界ではトリックスターのひろしに言わせるのが最も効果的だったのでしょう。矢口さんだとマンガの世界と現実世界の両方を見渡せてしまいますしね。


ひろし 「姉ちゃん、オレはさ、家族のこと考えてんの、わかる? 姉ちゃんも、もっと考えようよ!」


これはマンガ世界で笑いおじさんが言った「この世界のことなんて全然考えてねえじゃねえか!」とまったく同じメッセージですね。そして、矢口さんではなく、ひろしが問い掛けることの意義はひろしが家族であるということ。この越前家におけるやりとりで「家族」というキーワードが加えられ、物語はクライマックスの岸壁のシーンとなります。


(第6話)
はらちゃん 「越前さん。困ってますね、越前さん。ごめんなさい、わたしが困らせているんですよね。」
越前さん 「はらちゃんのせいじゃないです。」
はらちゃん 「越前さんが困った顔を見るのはつらいです。」
越前さん 「ありがとう。」


はらちゃんは自分がマンガ世界の人間だと知ったあと、少しずつ「自分が何も知らないこと」を自覚していき、それをあやまるようになりました。そして、この場面では自身が越前さんを困らせてしまっていることをしっかりと認識して、「ごめんなさい」とあやまっています。
















(第6話)
越前さん 「はらちゃん。」
はらちゃん 「はい。」
越前さん 「ごめんなさい。」
はらちゃん 「え?」
越前さん 「あたしとあなたとは、結婚とか、できないんです。ごめんなさい。できないの、ごめんなさい。」
はらちゃん 「わたしがマンガの世界の人間だからですか。」
越前さん 「そうです。」
はらちゃん 「そうなんですね。」
越前さん 「はい。」


はらちゃんと同じように「ごめんなさい」という言葉を口にしながら、正直に「結婚できないこと」を伝える越前さん。このとき、「あたしとあなたは」と言っているのが、とても強く印象に残りました。なぜなら、第5話で両想いを伝えるとき、越前さんはこう言っていたからです。


(第5話)
越前さん 「なんだかさっぱりわからないけど、両想いなんです、あたしたちは。だって、あなたのこと、好きに決まってるじゃないですか。あたしがつくったんだから。いちばん好きなキャラなんだから。」


どんなに高い壁があっても、それでも自分たちが両想いであると伝えるために、このときは「あたしたち」とひと括りにしていました。しかし、「結婚できない」と伝えるときは「あたしとあなた」とふたつに分けているんですね。そして、こんなつらいやりとりのあと、はらちゃんは「家族」について次のように語ります。


(第6話)
はらちゃん 「家族っておもしろいですね。」
越前さん 「え?」
はらちゃん 「あんなふうにケンカしても一緒にいるんですよね?」
越前さん 「ええ、家族ですから。」
はらちゃん 「はい。それって、なんだかすてきですよね。結婚しないと出来ないものなんですか、家族って。」
越前さん 「え、いや、そうとは限らないというか、いろんな場合がありますけど。」
はらちゃん 「あぁ、そうですか。じゃあ、わたしの家族はちゃんとマンガのなかにいますね。」
越前さん 「え・・。」
はらちゃん 「ときどきケンカもするんですよ。それでも、ずっと一緒にいます。それって、家族ですよね?」


もう・・・、泣かさないでくれ、はらちゃん・・・。そりゃ、越前さんだって泣きますよ・・・。
















(第6話)
はらちゃん 「ごめんなさい。また何かいやなこと言いましたか? ・・・あ、抱きしめましょうか?」
越前さん 「また、そんなこと・・・」
はらちゃん 「すいません。では、抱きしめません。」
越前さん 「抱きしめてください。」
はらちゃん 「こうですよね?」
越前さん 「はい。」
はらちゃん 「あったかいですね。」
越前さん 「はい。」
はらちゃん 「ずっと、こうしていたいです。」
越前さん 「はい。」















「あったかいですね」という、ごくごく当たり前の言葉が胸にしみます。でも、はらちゃんはこの「あたたかさ」がいつまでも続くものではないとわかっていました。


(第6話)
はらちゃん 「でも、ダメなんですよね。わたしは越前さんを困らせたくないです。」


最初のころ、無邪気に、無邪気すぎるくらいに、「越前さーん!」とその名前を呼んでいたはらちゃんが「越前さんを困らせたくないです。」と言う。そして・・・

















(第6話)
はらちゃん 「越前さんに幸せになってもらいたいので。」


そう言って、はらちゃんは自らノートを開きます。越前さんにただただ会いたくて駆け回っていたはらちゃんが、越前さんを愛するがゆえに、自らノートを開いてマンガの世界へと帰っていく。


















(第6話)
はらちゃん 「ただいま、マキヒロ、あっくん。笑いおじさん、たまちゃん、ただいま。ユキ姉、ただいま。」


グッと涙をこらえてマンガ世界の「家族」のみんなと堅く握手を交わすはらちゃん。ここのはらちゃんは、これまでで最もカッコいい。悲しいけども、でも、ものすごくカッコいい。


(第6話)
はらちゃん 「あー、そうだ! みんな歌いましょ。みんなで歌いましょう。ねえ!」


そして、ケンカしていたみんなをまとめるため、ギターを手に取ってあの「私の世界」を歌う。


(第2話)
マキヒロ 「はらちゃん、はらちゃん、はらちゃん! そろそろ勘弁してもらっていいですか。あの、歌ってね、確かに歌ってね、確かに素晴らしいと思うんですけど、ずっと同じ曲を聴かされると・・・」


そればかり聴かされるとうんざりすることもあるけど、でも、そう言っていたマキヒロですら第3話では、やはり、この「私の世界」を歌っている。わたしはこのマンガ世界は「地方」のメタファーになっていると考えていますが、「私の世界」という歌はマンガ世界における「故郷の歌」なんですよね。


















そして、みんなで肩を組んで歌う。すべてが素晴らしいだなんて言えないけど、でも、故郷とは忘れがたいもの。だから、何かあったら、みんなで同じ歌を歌う。はらちゃんはこのマンガの世界をよくするために外の世界へ行き、そして、この第6話で「故郷」に戻って「家族」と一緒に歌を歌った。
















(第6話)
越前さん 「大好きよ。はらちゃん。」


越前さんははらちゃんへの想いと一緒にマンガのノートを引き出しへとそっとしまいます。



だからおねがいかかわらないで そっとしといてくださいな
だからおねがいかかわらないで わたーしのことはほっといて



第1話において、誰にも干渉されたくない、誰とも関わりたくないという思いから越前さんが綴った言葉が、はらちゃんと知り合い、恋をして、そして、好きなまま別れなければならない場面で歌となって流れる。同じ歌を使うことで、第1話と第6話が対照的に描かれているわけですね。

















そして、与えられた工場長代理という役割を全うする越前さん。第1話でマンガに不満をぶつけていた越前さんはもうここにはいません。


マンガ世界を良くしようとして「違う世界」に向かったはらちゃんも、マンガという「違う世界」で現実世界の鬱憤を晴らしていた越前さんも、「違う世界」に救いを求めることをやめ、自分のいる「世界」にそれぞれ戻っていきました。第6話を見終わったあとに第1話を見返してみると、このふたりが恋によっていかに成長したか、それがよくわかります。そして、この第6話が最終話であったとしても、わたしは納得していたかもしれません。なぜなら、ふたりの恋と成長がきちんと描かれているのですから。



Sunday, February 24, 2013

「泣くな、はらちゃん」 ひろしは重要キャラ




ひろしは深いことを考えて行動している




・・・と言っても、誰も納得してくれないんですけど? どういうこと?w ひろしの行動をちゃんと見てあげましょうよ! ほら、こんな感じですよ?




【第1話】


勝手に越前さんのマンガノートを捨てる。


【第2話】


勝手に越前さんの大切にしている矢東薫子漫画全集を売る。


【第3話】


越前さんが矢東薫子漫画全集を持ち運ぶようになったので、それをひったくろうとする。


【第4話】


越前さんのマンガノートが金になるか、勝手に鑑定に出す。




・・・・・。いや、なんていうんだろ、まぁ、ほら、第5話!


【第5話】

ひろし 「軽く慰めてやりますか。」


ほら、優しいでしょ? 姉想い! え? 第6話?


(第6話)
ひろし 「姉ちゃん!」
越前さん 「なに?」
ひろし 「こいつさぁ・・・、オレよりバカなんじゃない?」
越前さん 「え?」
ひろし 「いいの? こんなんで?」
越前さん 「うるさいな、あんたに関係ないでしょ。」
ひろし 「いや、あるでしょ、関係。越前家にとっては大事な問題でしょうが、姉ちゃんの結婚問題は。とくに、経済問題は!」
越前さん 「なに言ってんの。あんたが何とかしなさいよ。」
ひろし 「それが何とか出来ないから言ってんじゃん。」
越前さん 「もうやめて。」
ひろし 「なんでだよ!」
越前さん 「よくない!」
越前さん 「あんたに言われたくない。」
ひろし 「姉ちゃん、オレはさ、家族のこと考えてんの、わかる? 姉ちゃんも、もっと考えようよ!」
越前さん 「なに、それ。」
ひろし 「家族のこと、考えるの、当たり前でしょうよ。なんで、そんなこともわかんねえの? ねえ? オレはさ、言っときますけど、ちゃーんと考えてんの。ねえ? おい、聞いてる?」


・・・えーと、とりあえず、「家族のこと考えてんの」「ちゃーんと考えてんの」と言ってますよね? え? 同意できない? わかりました。はいはい。参りました。わかりましたよ。言い方を変えますよ。




ひろしは何にも考えてません!




え? さっきと言ってることが違うって? 違わないですよ。仕方ないなぁ、正しく言い直しますよ。




ひろしは何も考えてないし、同時に、深く考えてもいる




・・・って言ったら、家族から怒られたんですけどw なんで、はらちゃんを「布教」したわたしが責められるのだ!w おかしい!w なんか、間違ってる!w


じゃ、順番に行きますよ。そもそも、この物語はひろしがいなかったら、始まらなかったんですよ。第1話で世界の裂け目が出来たのは、ひろしがノートを捨てたから。それまではずっとこんな感じだったんです。


(第1話)
はらちゃん 「なんか、最近、ずっと同じじゃないですか。毎日、毎日、同じことしゃべってるような気がするんだけどなー。大丈夫なんですかね、この世界は?」


ずっとずっと同じことの繰り返しで、何の変化も起きなかったわけです。でも、ひろしが越前さんのマンガノートを見つけたときから、この状況が変わるわけですよ。




(第1話)
ひろし 「姉ちゃん、金貸して! ・・・っていないの知ってるし!」


・・・・。いや、いいんですよ。とにかく、ノートを見つけたのが大事なんです。





















そして、ひろしがノートに手を置いた瞬間、越前さんは何やらただならぬ気配を感じております。


















(第1話)
ひろし 「ほー、ほほー。つまんねえ。」


まぁ、ひろしは面白くないと考えたので、ノートを・・・




















捨ててしまいますがw ともかく、これのおかげで、はらちゃんが初めて外の世界に出てくるわけです。で、ひろしが登場するとき、マンガ世界の上にかかる雲は紫色をしています。




(第1回)ノートを捨てるとき
















(第2回)矢東薫子漫画全集を売り飛ばすとき






























はい。じゃ、ひろしについて簡単にまとめます。




・ひろしは特別な力を持っている。
・最初にマンガ世界と現実世界のあいだの裂け目を作ったのはひろし。
・そのとき、越前さんはただならぬ気配を感じている。
・ひろしが登場するときは紫色の雲がかかる。




え? 演出? もちろん、演出ですよ? でも、ひろしは特別な力を持っているんです。つまり・・・




ひろしは雨や太陽などの気象・天候と同じなんです。




雨は災害をもたらすこともあれば、恵みの雨となることもある。太陽も干ばつを引き起こすこともあれば、その一方で、植物の生育には不可欠。そこに善悪なんてないんです。だから、「何も考えてない」。でも、そういった雨や太陽、風、波などなどがあるから、自然のサイクルは回ってるわけで、そういう意味では「深く考えている」んですよ!(あ、反論を喰らいそうw


ということで、もうひとつ。








エンディングのアニメーションはさりげなく、ひろしのパーソナルカラーであるレインボーが配置されています。


藍(ノートに落ちる涙)
紫(雨の色)
青(エンピツ)
緑(遠くに見える何か。何なのか、わからない。)
橙(ドラゴンの炎)
黄(町並み)
赤(赤い糸)


とくに、紫の雨














ふつうだったら、雨は青や水色ですよね。でも、エンディングでは紫になってるんです。これはひろしの持つキャラクターを最もよく示していると思います。ていうか、そう思ってくださいw


んで、第6話で、さらにイメージが悪くなったひろしですが、でも、大事な伏線がひろしによって張られてるんですよ。


(第4話)
ひろし 「だからぁ! もうひとり、漫画の専門家見つけたんだってば、ネットで!」


もし、越前さんが「二代目」矢東薫子になるのだとしたら、この伏線しかないです。だって、他のことはけっこうきっちり整理がついてきちゃってるから。不確定要素を持っているのはひろしだけなんです。だから・・・



この伏線は「恵みの雨」になる可能性があるわけです!





ついでに言えば、このエンディングの前半は矢東薫子のマンガ人生を表していると考えているので、この紫の雨が青いエンピツと一緒に出てくるのは、「漫画家人生の始まり」を暗示・・・してるかもしれないでしょ? でしょ、でしょ?




( `Д´ ;), ' ゼェゼェ




・・・で、納得してもらえました? してないですよね? はい、もう、いいですw どんだけ逆風でも、わたしはこの予想は変えませんw




おしまい

Thursday, February 21, 2013

「泣くな、はらちゃん」 ユキ姉と玉田工場長について




ユキ姉と玉田工場長。この二人はわたしにとってのお気に入りです。そして、第5回で大きく物語が動いたので、ちょっとだけ書きたいことを書いておきます。このドラマはもう展開を読めないので、これは予想ではなくて、願望みたいなものです。




【ユキ姉】


物語のカギを握るユキ姉。マンガ世界の5人のなかで唯一、外の世界に出たことがありました。


(第1話)
ユキ姉 「黙ってたけど、わたしは行ったことがあるんだよ。その昔ね。もうひとつの世界に。」
はらちゃん 「もうひとつの世界? なんですか、それ?」
ユキ姉 「神々の国だ。神様が住んでるんだ、あそこには。」


なので、ユキ姉は最初からメロディーの存在もギターの弦の数も知っていました。


(第1話)
ユキ姉 「はらちゃん!」
はらちゃん 「はい?」
ユキ姉 「一生懸命歌ってるつもりのあなたには悪いけどさぁ、それは・・・歌じゃないよ。」
はらちゃん 「え?」
ユキ姉 「歌にはね、メロディーってものがあるんだ。」
ユキ姉 「それにね、ギターの弦は本当は6本だ。」
はらちゃん 「・・・なに言ってるんですか、ユキ姉。ギターの弦は3本。3本ですよ。」
ユキ姉 「6本だ。」
はらちゃん 「え、それって、わたしたちの世界をつくってる、あの、神様ですか? え、そこにユキ姉が行ったってことですか?」
ユキ姉 「そういうことだね。その世界はギターの弦は6本なんだよ。」


歌とギターは元の作者である矢東薫子にとって何か重要な意味を持っていそうな気がするのですが、そこはいまのところわかりません。また、第1話の時点でギターの弦が3本だったのも、矢東薫子の時代からそうだったのか、越前さんがそう描いていたからなのか、そこもわかりません。


(第1話)
ユキ姉 「最近、この世界がなんだか暗く重たいのは、おそらく、われわれの神様の機嫌が悪いからだ。」


ともあれ、ユキ姉はマンガの世界が暗く重たい原因が外の世界にあると知っているわけです。ただ、わたしが気になるのは、ユキ姉以外の4人の反応。


(第1話)
笑いおじさん 「なーにを言ってんだぁ? 別の世界なんてあるわけないだろぉ? 世界ってのいうのはな、オレたちが生きてるここのことなんだよ、何だよ、別の世界って?」
ユキ姉 「あるんだよ。」
笑いおじさん 「どこにあるんだよ。言ってみろ。」
ユキ姉 「ここではない、別のところに。」
はらちゃん 「ど、どんなところなんですか、そのもう一つの世界っていうのは?」
ユキ姉 「教えるのはやめとくよ。知ると、今、自分がいる世界が余計イヤになるから。」


ユキ姉以外の4人はユキ姉が外の世界に出たことも知らないし、外の世界の存在そのものも知らないのです。ですが、これはよくよく考えてみると不思議です。なぜなら、もし、あの狭い居酒屋のマンガ世界にずっと一緒にいたのであれば、ユキ姉が外の世界に出たことだって知ってるはずです。では、なぜ、ユキ姉以外の4人は何も知らないのか。
















越前さんが愛読していたのは「矢東薫子漫画全集」。単一の作品ではなくて「全集」なんですよね。なので、複数の作品が収録されている可能性が高い。つまり、ユキ姉が外の世界に出たことを他の4人が知らないのは、少なくとも、ユキ姉と他の4人は別々の作品のキャラクターだったからじゃないのか。そして、越前さんは別個の作品に出てくるお気に入りのキャラクターを集めて、この居酒屋の舞台で二次創作しているのではないか。


(第3話)
矢口さん 「矢東薫子。」
越前さん 「えっ!?」
矢口さん 「・・・のマネだよね。ていうか、出てくるキャラは全部パクり!」
越前さん 「知ってるんですか、矢東薫子先生の漫画。」
矢口さん 「うん、むかし、読んだことがある。」
越前さん 「ほんとですか!? 嬉しいです! 」


第3話でもうひとりの重要人物である矢口さんは越前さんのマンガを指して「出てくるキャラは全部パクり」と言っています。ただ、作品そのものをパクりとまでは言ってません。なので、あの5人のキャラクターの組み合わせと居酒屋の舞台というのは越前さんが組み合わせたもので、矢東薫子の原作ではああなっていなかったのではないか。


(第5話)
矢口さん 「ハッピーエンドにはならないかもしれないけどさぁ、でも、彼の気持ちにはちゃんと応えてあげるべきなんじゃない。だって、あなたが作ったんでしょ、彼を。神様なんでしょ、あなた。世界を創った神様にも責任はあるんじゃないかなぁ。」


第5話でも、矢口さんはらちゃんのことを指して「あなた(=越前さん)が作ったんでしょ、彼を」と言っています。もちろん、オリジナルのキャラを作り上げたのは矢東薫子ですが、今のマンガ世界をつくったのは越前さんということになるのかもしれません。


(第1話)
笑いおじさん 「その、もうひとつの世界で、神様のご機嫌がよくなれば、オレたちのこの世界も明るくなるってことか、ん?」
ユキ姉 「そうだね。」


第1話の冒頭ではらちゃんの質問にこう答えていたユキ姉。でも、実際にはらちゃんが神様(=越前さん)に会ってマンガの世界に戻ってきたとき、マキヒロや笑いおじさんがはしゃぐなか、ユキ姉だけは何とも言えない表情を浮かべています。
















(第1話)
はらちゃん 「わたしはねぇ、神様に自分の気持ちをぶつけました。どうか幸せになってください。そうでないとわたしたちの世界は曇ったままなんです。どうか世界を明るくしてください、と。」
ユキ姉 「そう・・・言ったの?」


神様と接点を持つことを素直には喜べないユキ姉。でも、第1回の終わりにマンガ世界でギターの弦が6本になり、はらちゃんが初めて「私の世界」を歌うとき、にこりと微笑んでもいます。


(第2話)
ユキ姉 「世界の秩序が乱れちゃったねぇ。でも、それは仕方のないことなんだよ、はらちゃん。違う世界を知るってことはさ、素敵なことだけど、つらいことなんだよ。」


ユキ姉は「素敵なこと」と「つらいこと」のどちらも知っている。「つらいこと」がどんな出来事だったのか、それはこれから語られるのでしょう。


(第6話予告)
ユキ姉 「あきらめたほうがいいと思うよ、神様との恋は。深入りすると殺されるよ。」


第6話の予告でこんな不気味なことを言っています。ユキ姉の決め台詞は「殺すしかないね」ですが、過去においてユキ姉は「神様に殺された」存在なのかもしれません。


(第1話)
ユキ姉 「イヤな世界だねぇ。みんなが自分がいちばん可哀想だって言ってさぁ。こう見えてねぇ、わたしだっていろいろあるわよ! たまには、わたしだって前向きなことが言いたいわよ!」


ユキ姉の決めゼリフは「殺すしかないね」ですが、これが矢東薫子の原作から言っていたセリフなのか、それとも、越前さんの創作なのか、それはわかりません。でも、その過去においてユキ姉は神様に「殺された」ことがあるとすれば皮肉な話ではあります。




【玉田工場長】


第5回で突然に亡くなってしまった玉田工場長。第4回までは矢口さんに甘い、単なる管理職として描かれていたのですが、ここに来てその存在は物語の重要な存在となってきました。

















まず、マンガの世界に移った玉田工場長は名前も「玉ちゃん」になったわけですが、現実の世界の記憶を持っていないとのこと。これがどういう意味を持つのか、まだわかりません。ただ、あれだけ慕っていた矢口さんのことも忘れてしまっているわけですね。なので、マンガの世界から再び現実の世界に出て来て、軽く幽霊騒ぎなどを起こしつつ、矢口さんと再会するというくだりがあるのかもしれません。もちろん、そのとき、玉ちゃんは矢口さんのことをはっきりと覚えてはいないわけで、かなり切ない話になりそうな気がします。


ただ、謎もまだ残されています。第5回で玉田工場長はこんなことを言っていました。


(第5話)
玉田工場長 「どうした、はらちゃん? 越前さんとケンカでもしたか?」
はらちゃん 「ん? ケンカとは?」
玉田工場長 「また、それかよ。ケンカってはアレだよ、ほら、田中、教えてやれ。」
田中さん 「あ、はい。お互いの意見が合わなくて、言い争いになってしまうというか。」
はらちゃん 「あ、はい。ありました。越前さんがわたしの言うことをなかなか信じてくれなくて。」
玉田工場長 「あきらめることだな。男と女のケンカの場合、男があきらめる以外、解決はないんだよ。それからこれだけは覚えとけ。」
はらちゃん 「はい、はい。」
玉田工場長 「女が男を信じるということは、決してない!」
はらちゃん 「えぇー? そうなんですか?」
玉田工場長 「そうだ、絶対ないんだ!」
田中さん 「何があったんですか、工場長?」
玉田工場長 「ないんだよ! ないんだよ!」
はらちゃん 「それは困りますね。」
玉田工場長 「その通りだよ! 困ったもんだよ!」


過去に何があったか、それは説明されていませんが、極度の女性不信です。しかし、なぜ、矢口さんにだけは甘かったのか。バレンタインデーのくだりでもこう言っています。


(第4話)
矢口さん 「どうなったんだろう。。」
玉田工場長 「え? なにがですか?」
矢口さん 「何でもありません、あ、はい、これ。」
玉田工場長 「え? チョコですか?」
矢口さん 「なーに言ってるんですか、工場長。バレンタインはかまぼこでしょ?」


矢口さんからのチョコは期待していたはず。このあと、矢口さんを追いかけて何か「女性不信」になることでもあったのか・・・と考えてみたのですが、それにしては演出がおおげさなので、ちょっとそれはないのかなと思っています。ということで、今のところ、女性不信の玉田工場長が矢口さんにだけ甘かったのか、まったくわかりません。


そして、第5回では玉田工場長が天涯孤独の身であったことも明かされています。


(第5話)
玉田工場長 「おまえ、家族は?」
はらちゃん 「家族?」
玉田工場長 「親とか兄弟とか、いないのか?」
はらちゃん 「わかりません。」
玉田工場長 「あぁ、そうか、わかんないのか、いるのか、いないのか、、オレと一緒だな。オレと一緒だよ。親も兄弟もいたのか、いねえのか、わかんねえ。まぁ、親はいたんだろうけどな、わかんねえんだ。で、結局、家族も持たなくてさぁ、ひとりだよ。フッ、ひとりだよ。ひとりっきり。」


(第5話)
玉田工場長 「ときどき思うよ。オレが死んでも泣いてくれる人はいるのかなぁ、ってな。」
はらちゃん 「死ぬって、世界からいなくなることですよね?」
玉田工場長 「んー。」
はらちゃん 「工場長がいなくなったら寂しいです。わたしが泣きます!」
玉田工場長 「嬉しいこと言ってくれるねぇ、ありがとよ。」


天涯孤独の身だった玉田工場長はマンガ世界で新たな仲間を得たわけですが、まだこれだけでは少し足りない気がします。より救いのある展開になるとすれば、それはマンガ世界で誰かと結ばれることではないか。そして、マンガ世界にいる女性はただ一人、ユキ姉です。そして、ユキ姉も第5回でこんなことを言っています。


(第5話)
ユキ姉 「ハァ~、、なんでさー、みんな、外の世界に行くと恋するわけぇ? ここにも女がひとりいるんだけどなぁ? なぁ?」
はらちゃん・マキヒロ 「はぁ・・・。」
ユキ姉 「なんなの・・・!」


ユキ姉もまた恋について話しています。こういった発言をしたのはこの第5回が初めてです。物語の後半においてユキ姉の過去が語られるのは間違いないと思うのですが、おそらく、壮絶なものなのでしょう。でも、そのままではユキ姉にも救いがありません。となると、玉ちゃんとユキ姉が結ばれるというカタチになるのではないか。玉田工場長は玉ちゃんとなって現実世界の記憶を持っていませんから、あの女性不信も一緒に消え去っているはず。

















そして、エンディングのクレジットは第1回から「光石研 奥貫薫」となっています。わたしはこの二人がマンガ世界で結ばれて終わってほしいなと思っています。というか、そうしないとこの二人の落としどころがないような気がするのですよね。





おわり

Thursday, February 14, 2013

「泣くな、はらちゃん」第2話の感想



あ、長いです。一応、言っときます。




泣くな、はらちゃん  第2回  20130126 投稿者 kate634




さて、本格的に恋愛ドラマが展開されるのはこの第2回からなのですが、まず、冒頭のマンガ世界のやりとりが面白いですね。第1回で高らかに歌い上げられていた「私の世界」ですが、そればかり聴かされて「マンガの世界」の住人たちはやや食傷ぎみ。痺れを切らした笑いおじさん(甲本雅裕)ははらちゃんにこんな問い掛けをします。


笑いおじさん 「だいたいさ、その、そっちの世界に行って得たものって何だ?」
はらちゃん 「え・・・」
笑いおじさん 「神様は相変わらずご機嫌斜めだし。」
はらちゃん 「あ、でも、歌とメロディを・・・」
笑いおじさん 「そんなもんじゃ世界は変わらないんだよ!」


甲本雅裕(ミュージシャン・甲本ヒロトの兄)にこのセリフを言わせるのが凄いw まぁ、笑いおじさんはかまぼこを食べたかっただけのようで、その直後、素直に「かまぼこ食ってみてえ」と泣き笑いをします。それに釣られる格好で、あっくんは「車に乗ってみたい」、マキヒロは「犬を見てみたい」とそれぞれに「外の世界」への憧れを語っていくわけですが、その様子を見ていたユキ姉がこう語りかけます。


ユキ姉 「世界の秩序が乱れちゃったねぇ。でも、それは仕方のないことなんだよ、はらちゃん。違う世界を知るってことはさ、素敵なことだけど、つらいことなんだよ。」


いいセリフです。ユキ姉の過去を暗示させる内容でもあり、同時に、これは恋を言い表したものでもあるのでしょう。恋とはそれまでの自分を超えることであり、ときに、捨てることでもある。恋は「甘い」と形容されることが多いけれども、でも、同時に「つらいこと」でもあります。(ポエムってます


(苦しそうに胸を押さえるはらちゃん)
ユキ姉 「どうした? はらちゃん?」
はらちゃん 「いや・・・、自分でもよくわからないんですけど、なんか、胸のこのあたりがムズムズっていうか、痛いっていうか・・・、なんか変な感じなんですよね。神様、あ、いや、越前さんのことばかり考えてしまうんです。会いたくなっちゃうんですよね。越前さんに会いたくて仕方ないんです。」
ユキ姉 「まさか・・・」


はらちゃんは越前さんのことが好きになってしまったわけですね。ただ、よくよく考えてみると、どのタイミングで好きになったのか、はっきりとはわからないんですよね。第1回の神社における越前さんとのやりとりから「なにか」を感じたのかもしれませんが、まぁ、でも、恋なんてそんなもんです。どこで、何が理由で、その人を好きになったのか、そんなことはいちいち覚えてられません。(ポエムってます


そして、再び「外の世界」へ出るはらちゃん。親切な田中さんが「マンガ」の存在を教えてあげるシーンではらちゃんはこう言います。


はらちゃん 「これがマンガ・・・、なんか、懐かしい感じがしますね。」


「懐かしい」なんて語彙をいつ覚えたんだ、はらちゃん・・・という気がしないでもありませんが、ともあれ、はらちゃんは「マンガの世界」の住人なので何かを感じるわけです。そのあと、はらちゃんは越前さんに会うためにふなまる水産の中へ入っていくのですが、そこでパートリーダーの矢口さんははらちゃんにこう呼びかけます。


矢口さん 「こないだみたいに、神様を怒らせちゃダメだってことよ。どうも、はらちゃん。」


当たり前と言えば当たり前ですが、矢口さんだけは最初からはらちゃんのことを「どこかで見たような気がする」と引っかかりを覚えており、第1回のラストでは本屋さんで矢東薫子全集を手に取って確認までしています。それを踏まえて考えると、ここではっきりと「どうも、はらちゃん」と言っているのは改めて挨拶をしているようなものですかね。それも、自覚的に。また、「神様を怒らせちゃダメだってことよ」と、はらちゃんにも理解できるようにマンガ世界の視点で忠告を与えているのも印象的です。この時点で、矢口さんだけは事の次第をだいぶ理解しているのでしょう。


で、肝心の越前さんですが、こちらはテンションが低いままでして、やる気なさそうにかまぼこ新作募集のポスターを描いています。こんなイラストです。




















紺野さん 「イヤならさ、イヤって断れば良くない? それなのに、いかにも『こんなもんでしょ?』みたいな絵、描いちゃってさ。」


ズキッ! わたしは画力に自信がないのでこのセリフに敏感に反応してしまうのでありますが、ま、それはいいとして、紺野さんはある種のヤンキーキャラとして登場しているのでしょう。もちろん、田中さんのことが好きな紺野さんにとって越前さんは「一方的な恋敵」でもあるので、そういった感情も入ってはいるのでしょうが、このドラマは設定からして文化系寄りなので、そこにカウンターとして置いているが紺野さんなのではないか、と。「アメトーク」におけるホトちゃんみたいなもんですね。「なんでなん?」と言わせることで、共感しづらい視聴者も引き込むのがその役割。


紺野さん 「不愉快です。わたし、あなたみたいな人がいっちばん嫌い。」
越前さん 「えっ?」
紺野さん 「その顔も嫌い。イライラする。」
越前さん 「あの、わたし、何かしましたっけ・・・」
紺野さん 「何もしないのがイライラするんですよ!」
越前さん 「すみません、意味がわからないです・・・」
紺野さん 「世の中のことすべてに、『わたしは関係ないですぅ』みたいな顔してますよね!? 『わたしなんか、そんな』『わたしなんて、全然』『わたしなんて、とんでもない』『わたしなんて』『わたしなんて』『わたしなんて』・・・、そのくせ、実は自意識バリバリ強くて、失敗したりして傷つくのが嫌なだけなんですよね。そういうヤツに限って、自分が大っ好き。」
越前さん 「なんで、そんなにあたしに攻撃的なんですか・・・」
紺野さん 「ちゃんとやってください! やるんなら、ちゃんとやれって言ってるんです! 嫌なら断れ、やるんならどんなことでもちゃんとやってください! かまぼこ新作募集ポスターでも、ちゃんとやってください!」


まー、越前さんみたいなタイプが嫌いな人たちの「声」を代弁しているかのようなセリフ回しになっているわけですが、でも、わたしが好きなのはそのあと。


紺野さん 「わたしもやるから。」
越前さん 「何を?」
紺野さん 「かまばこポスターです。宣戦布告、勝負です。」
越前さん 「えっ・・・?」
紺野さん 「一度ぐらいは本気で勝負しなさいよ。」


このドラマは言いっ放しがないんですよね。はらちゃんも第1回で


はらちゃん 「わたしは心から、あなたにもう少しだけでいいから幸せになってもらいたいと思いました。越前さんが幸せになるためだったら、わたしは何でもします。お願いします! 自分のこと、どうでもいいなんて言わないでください。」


・・・と、ただお願いするのではなく自らも行動すると言っている。紺野さんもまた、ただ文句を言うだけではなく、「勝負」というカタチを取りつつ、越前さんを促している。紺野さん自身もこうやって吹っかけて部屋から立ち去ったあと、ドアの向こう側で「あー、やっちゃった」という表情を見せていますから、これはこれで勇気のいる行動だったわけですね。ま、ただ、越前さんは


越前さん 「何を・・・? ちょっと、紺野さん、その勝負お断りします。しませんよ・・・、わたしはそんな意味のないこと・・・。」


と相変わらずのローテンションなのですがw でも、はらちゃんがそこに入っていきます。はらちゃんは空気を読みませんから「何か気まずい雰囲気だなー、そっとしておこう」とか考えませんw


はらちゃん 「神様、いやっ、越前さん。」
越前さん 「何ですか。」
はらちゃん 「戦い、受けて立つんですよね? 悪魔さんとの。」
越前さん 「はい?」
矢口さん 「神と悪魔の戦いかー。」
越前さん 「戦いなんてしませんよ・・・」
はらちゃん 「それはダメです、越前さん。それはダメですよ。わたしもあのかた、悪魔さんに同意見です。やるんだったら、ちゃんとやりましょうよ。越前さん、あなたは神様だからご存知かもしれませんが、わたしは何度も言ってますよね。『仕事なんだからちゃんとやろうよ』って。『みんなやりたくてやってるわけじゃないんだから、勤務時間だけはちゃんと仕事しようよ』って、何度もわたし、そう言ってるじゃないですか。」
越前さん 「言ってるじゃないですか、って・・・」

























越前さんはパートのおばちゃんたちに対する不満として「ちゃんとやりましょう」とグチっていた。そして、それと同じことを紺野さんから言われたのに、越前さん、あなたはその「戦い」から逃げるのですか? そう、はらちゃんは痛いところを突いているわけですね。ま、はらちゃん本人はあまり深く考えていないんだろうけどw


はらちゃん 「越前さん、ちゃんとしましょうよ。それから、わたしはこうも言っていますよね。『わたしは本気を出してないだけなんだ』って。」
越前さん 「なに言ってるんですか!? もう、いいです! わかりました!」
(越前さん、描きかけのポスターを破いてしまう)
越前さん 「ちゃんとやります。描き直します。それでいいですか。」
はらちゃん 「はい、ありがとうございます。」


ここの『わたしは本気を出してないだけなんだ』というのは本編で紹介されているマンガには出て来ていないセリフですかね。紺野さんの指摘の通り、越前さんは自意識と自己愛がとても強いのでしょう。ま、誰だってそうですけどね。単に、表現方法が違っているだけで。


んで、このあと、はらちゃんの「愛の告白」があるわけですが、そこは見てもらったほうが早いですから書き起こしはしないでおきます。はらちゃんは「恋」という言葉を覚え、そして、交番で矢口さんから自身の恋が「片想い」であると教わります。


はらちゃん 「片想いって、悲しいんですね・・・」
矢口さん 「ふふ、そうとは限らない、美しいんだよ、片想いは。」
はらちゃん 「うつくしい?」
矢口さん 「この世界のほとんどの想いは片想いなんだ。世界は片想いで出来てるんだよ。」
はらちゃん 「はぁ・・、そうなんですね。大事なものなんですね。」
矢口さん 「そうだねっ。」
はらちゃん 「大切にしますっ、片想い。」


この直後、越前さんが自宅に戻ってマンガのノートを開くことではらちゃんは「マンガの世界」へ引き戻されてしまうわけですが、それを目の前で見ていた矢口さんは大きく驚いたりはしません。初めてここで、矢口さん=矢東薫子であると描かれているわけですね。


ともあれ、自分の描いたマンガとそのマンガの中から出てくるはらちゃんに励まされる格好で、越前さんは「ちゃんと」ポスターを描きます。そして、それが一段落したところで、大切にしていた矢東薫子全集が無くなっていることに気づいて、再び出て来たはらちゃんが一緒に探しましょうと促します。


越前さん 「いいの、いいんです。」
はらちゃん 「よくないです!」
越前さん 「好きなんですよね? そのマンガに片想いしてるんですよね? 美しいんです、大切なことなんです、片想いは。教えてください、探しに行きましょう。」


矢口さんに教わったこと、そのまんまなわけですが、素直なほうがいいんです。ひねた男性よりも素直な男性のほうがいいんです。そう思いません?(誰に聞いてるんだ


で、矢東薫子全集を探しに夜の町を行くふたり。走り慣れてないせいか、膝に手をついて息を切らせている越前さんの手を取って、はらちゃんはこう言います。


はらちゃん 「走るのが遅いんですね、越前さんは。小さいし、足短いし。」


素直なんです、悪気はないんですw そして、はまゆう書房で「矢東薫子全集」を見つけたはらちゃんが軽く騒動を起こしつつも、結局は越前さんが自腹で買い戻してこの件は解決します。3万円といえば大金なので、一瞬ためらいを見せる越前さん。でも、再び手にしたとき、嬉しそうに安堵のため息をもらします。


はらちゃん 「今の、なんですか?」
越前さん 「ちょっと、黙ってて。」

















ま、ずっと黙ってたわけですがw いいんです、男性は素直なほうがいいんですw あの暗い子、越前さんもここで初めて笑みを見せます。


















なんでしょう、「クララが立った」的な妙な感動がありますw



















この回のクライマックスは夜の町が美しいです。なんてことのない、地方都市の夜ですけど、でも、美しい。そして、演出も素晴らしい。「私の世界」と「初恋は片思い」は同じメロディーを持つ曲なわけですが、ここでは「初恋は片思い」が流れます。


「初恋は片思い」
こいのうたとか きらいなんだよね どれもみなおなじ
こいのうたとか きらいなんだよね わからない
こいのうたとかうたいたくないよね ほかにもあるでしょ?
こいのうたとかうたいたくないよね にあわない
こいするためにうまれてきたとかありえない そう おもっていた
でもこいをした でもかたおもい あなたのことしかうたえない
でもこいをした でもかたおもい そんなじぶんにわらう


このドラマに出てくる「片想い」は


はらちゃん → 越前さん
田中さん → 越前さん
紺野さん → 田中さん
玉田工場長 → 矢口さん


と、いくつかあるわけですが、この曲に合わせて、はらちゃん、田中さん、紺野さんの「片想い」が描かれていきます。矢口さんは「片想いってのは美しいものなんだよ」とはらちゃんに教えていましたが、それは片想いがいずれは終わるからですかね。終わりがないとしたら、それはもはや「片想い」ではなく、執着ですし。この夜の町のシーンで、田中さんの「片想い」はなかば終わりを迎えるのでしょうし、紺野さんの「片想い」も「想い」だけではなく行動へと変化していく。すべてがハッピーエンドとなるわけじゃないけど、でも、終わるから「次」に進める。(ポエムってます


で、主人公のふたり。はらちゃんは「離れることのつらさ」をストレートに言葉にします。


はらちゃん 「越前さん、片想いって涙が出るものなんですね。わたしは、あなたと離れることが苦しくてつらいです。だって、次、いつ会えるか、わからないじゃないですか。わたしは、恋してる人に自分から会いに行くこともできない。越前さん、胸が苦しいです。痛いです。どうか、行かないでください。」


越前さんは「何なの、それ!」と言いながら小走りで去って行ってしまうのですが、でも、立ち止まって、そして、はらちゃんのところへ戻ろうとします。



















越前さんが初めて自分からはらちゃんのほうへ近づいていく。「片想い」が「片想い」ではなくなる瞬間。だからこそ、このシーンはスローモーションで描かれているのでしょう。


んで、まぁ、この夜の町をシーンを見て、「これはいいドラマだわ」と思ったわけですが、こういうふうにシンプルに恋を描くには何らかのギミックが必要になるのでしょうね。現実的なドラマだったら、あそこまでストレートなセリフは出てこないし、出すわけにもいかない。でも、はらちゃんは自分にわかってることだけを口にするし、見ている側もそれを了解しているので、そのままの気持ちを描くことが出来る。「マンガの世界」の住人という不思議な設定ではあるけども、そのおかげで恋愛ドラマとしての純度は極めて高いものになっているのかなー、と。


「わたしは、あなたと離れることが苦しくてつらいです。だって、次、いつ会えるか、わからないじゃないですか。」


なんてことないセリフですが、でも、これこそが恋だよなー、と。





















そして、最後にモノクロの世界だったマンガに初めて赤いハートマークが加えられる。それを見つけた矢口さんは越前さんがはらちゃんを描いていることを知る、と。脚本、よく出来てますね。


まぁ、なんていうのかなー、恋愛ってこんなものですよね。見た目でもない、話術でもない、結局は相手を思ったうえで行動すること。はらちゃんが矢東薫子全集を探しに、一緒に夜の町を走ってくれた。そして、越前さんの大切なものを取り返そうと懸命に行動してくれた。そのほうがよっぽど相手の心に訴えかけるチカラがあるんです。言葉だけが愛を語るわけじゃないってことですね。(ポエムってます




(つづく)

Tuesday, February 12, 2013

「泣くな、はらちゃん」第1話の感想





泣くな、はらちゃん #1 投稿者 yamutya1




第1回。正直なところ、この回はまだまだイントロで恋愛ドラマそのものは始まっていません。あと、パートさんとのやりとりがちょっとだけドンヨリするので、そこらへんも気が重いですね。けど、あとになって録画で見直してみると、面白いところもたくさんあります。
















まずは、冒頭のユキ姉の「この世界とは別に、神々の世界があるんだよ」というくだり。ここで初めて、マンガの世界の住人たちは「外の世界」の存在を知らされるわけですが、もちろん、まだまだ半信半疑。


はらちゃん 「どんなところなんですか、そのもう一つの世界っていうのは?」
ユキ姉 「教えるのはやめとくよ。知ると、今、自分がいる世界が余計イヤになるから。」


すべてを教えないのはドラマのお約束からそうしているのでしょうが、ユキ姉に何か「過去」があるんだなーとわかるやりとりでもあります。ま、ユキ姉は物語の鍵を握るキャラでしょうしね。(もうひとりは矢口さん)


んで、越前さんの弟がノートを捨てて、はらちゃんが「外の世界」に出て来て、「田中」さんにふなまる水産へ連れて行ってもらうわけですが、個人的には途中で海を見てはらちゃんが微笑むシーンも好きです。海はいいもんです。

















で、越前さんとの最初の出会いがあって、矢口さんが交番に顔を出してはらちゃんにヒントを上げたりするわけですが、越前さんのほうは仕事からの帰り道で

越前さん 「わたしが幸せになろうが、世界なんて変わらないわよ。」

とセカイ系を真っ向から否定・・・じゃなかった、まぁ、テンションの低さを見せつけてくれるわけです。はらちゃんは「(マンガの)世界」を明るくするために「外の世界」にやってきたわけですが、そこでは「神様」であるはずの越前さんが「世界なんて変わらない」と言ってるわけですね。はい。


で、いったん、はらちゃんが「マンガの世界」に戻るわけですが、「いやぁ、神様に会っちゃったなー」とはしゃぐはらちゃんをユキ姉はどこか悲しげで、それでいて、少しだけ羨ましそうな表情で見つめます。


はらちゃん 「わたしはねぇ、神様に自分の気持ちをぶつけました。どうか幸せになってください。そうでないとわたしたちの世界は曇ったままなんです。どうか世界を明るくしてください、と。」
ユキ姉 「そう・・・言ったの?」


ま、全然、明るくならないわけですが。こんな感じで。





































一応、越前さん自身も「やつあたりだね、これじゃ、ただの」と反省はしております。そして、岸壁で矢東薫子全集を読んでバランスを取る。そう、海はいいもんです。で、神社のくだり。(あ、ここから、さらにダラダラ書きますよw)


はらちゃん 「あっ! あ、神様! 神様! ちょっと待ってください! お話ししたいことがあります、神様!」
越前さん 「あたしは神様なんかじゃありません!」
はらちゃん 「そんな・・・、じゃ、なんとお呼びすれば。」
越前さん 「なんと、って。越前さんでいいです。」
(越前さん、立ち去ろうとする)
(はらちゃんが回り込んで)
はらちゃん 「神様! また、なんかイヤなことありましたか。」
越前さん 「え?」
はらちゃん 「神様がイヤな気持ちになると世界は曇るんです。世界は大荒れでしたから。」
越前さん 「なんなんですか、それ。」
(越前さん、再び立ち去る)
(はらちゃん、再び回り込んで)
はらちゃん 「あ、ちょ、ちょ、神様。お願いします、どうしても謝りたいことがあるんです、お願いします。」
越前さん 「何をですか!?」
はらちゃん 「わたしは、自分のことを、自分の世界のことだけを考えていました。そして、わたしは神様にお願いをした。どうか幸せになってください、そして、世界を明るくしてください、と。・・・でも、それは自分勝手なお願いなのかなと思いました。」
越前さん 「だからぁ・・・」
はらちゃん 「だから! 神様が幸せになるためだったら、わたしは何でもします。この命を投げ打っても構わない。」
越前さん 「いや、だから! わたしはそういう人間じゃないって言ってるじゃないですか。世界がどうとか・・・、いいですか? わたしはね、嫌いなんですよ、そういう自分の能力とか過信している人間が。世界に何かを発信したいとか言っちゃってる、あの人みたいなのがいちばん・・・。わたしはそういう世界を動かすような人間じゃないし、そういう無意味な自惚れもありません。」
はらちゃん 「えっ? 悪魔さんがなにか・・・?」
越前さん 「悪魔? 悪魔だか何だか、どこの誰だか知りませんけど、こんなさぁ、わざわざ誰もいないような場所を選んで、下手な歌、歌っちゃって、意味がわからない! 自信ないなら歌わなきゃいいのに!」
はらちゃん 「神様、それは違います。悪魔さんの歌は素晴らしいですよ。弦は6本あるし、メロディーがあります。ご存知ですか? ギターには弦が6本あって、歌にはメロディーがあるんです。」
越前さん 「はぁ!? とにかく、わたしは、あなたが言ってるような人ではありません。特別な人間じゃないんです! ちっぽけなどうでもいい存在なんです。買いかぶりはやめてください。迷惑です。」
(はらちゃんから立ち去る)
(立ち去ろうとする越前さんに向かって)
はらちゃん 「越前さん、あなたは特別な存在です!」
(はらちゃん、越前さんの前に回り込んで)
はらちゃん 「わたしは、こちらの世界であなたと出会って嬉しかった。わたしたちの神様は美しくて素敵な女神だった。ほんっとうに嬉しかったんです。わたしは心から、あなたにもう少しだけでいいから幸せになってもらいたいと思いました。越前さんが幸せになるためだったら、わたしは何でもします。お願いします! 自分のこと、どうでもいいなんて言わないでください。」
(越前さん、少し戸惑いながら)
越前さん 「あなた誰なんですか?」
(はらちゃん、にっこりと笑って)
はらちゃん 「はらちゃんです!」
越前さん 「はらちゃん?」
はらちゃん 「はい!」


まー、その、なんていうか、他の恋愛モノにあるような「あなたがあなたのことを嫌いになっても、わたしはあなたのことを嫌いにならない」じゃないんですよね。それはそれでわかるんですけど、結局、それって「そんなあなたを好きな自分のことが、実は一番好き」だったりするし。ここの神社のくだりはそうではなくて、


「あなたのことが好きだから、あなたにもあなたを好きになってほしい。そして、そのためだったら、何でもします。」


という、好きだからこそ行動しますという決意なんですよね。相手のための行動があるからこそ「お願いします! 自分のこと、どうでもいいなんて言わないでください。」というセリフが活きてくるわけで。


ともあれ、大きなきっかけを与えたのは矢東薫子の正体であろう矢口さんで、そのあと、神様(=越前さん)がマンガのギターに弦を書き足し、悪魔さん(=紺野さん)から学んだメロディーに乗せて「私の世界」がはらちゃんによって初めて歌われます。長いあいだ眠っていた「世界」はこうして歌によって復活。りばいぶですよ、りばいぶ。


「私の世界」
せかいじゅうのてきにこうさんさ たたかういしはない
せかいじゅうのひとのしあわせを いのります
せかいのだれのじゃまもしません しずかにしてます
せかいのなかのちいさなばしょだけ あればいい
おかしいですか? ひとはそれぞれちがうでしょ? でしょでしょ?
だからおねがいかかわらないで そっとしといてくださいな
だからおねがいかかわらないで わたーしのことはほっといて


歌われている歌詞は「かかわらないで」だけども、この歌が復活するためには「関わり合い」が必要だった、と。それは「外の世界」に出る決意をしたはらちゃんはもちろんのこと、はらちゃんにアドバイスをした矢口さん、メロディーを伝えた紺野さん、そして、マンガに弦を書き足した越前さんのすべてが関係している。


ユキ姉 「教えるのはやめとくよ。知ると、今、自分がいる世界が余計イヤになるから。」


冒頭でこう言っていたユキ姉さえも、はらちゃんが「外の世界」へ行く2回目のときには「はらちゃん! 探すのよ! 世界の裂け目を!」と促している。そうやってみんなが「関わり合い」を持つことで、「ちいさなばしょ」であるマンガの「世界」も、越前さんたちの過ごす日常の「世界」も、その輝きを取り戻す。つまり、最後に歌われる「私の世界」は「かかわらないで」と言いながらも、関わり合いの大切さを訴える「大いなる反語」であるのかなー、と。第1回は恋愛ドラマの要素はほとんどないのですが、舞台としての「世界」が再生されるエピソードとして、やはり、重要な回なのでしょうねー。






海は広いな 大きいな
月がのぼるし 日が沈む
海は大波 青い波
ゆれてどこまで続くやら
海にお舟を浮かばして
行ってみたいな よその国




・・・はぁ、書いた、書いたw



Saturday, February 9, 2013

「泣くな、はらちゃん」のエンディングについて



Twitter でダラダラダラダラと書いてしまいそうなので、ブログで書きます。だから、これから書くことはダラダラしています。単に、わたしの感想を書くだけです。なんで書くかと言えば、それは書きたいからですw (※これを書いているのは、第4話終了の時点です。そこんとこ、よろぴこ。)




【エンディングのアニメーション】







で、エンディングのアニメーション。これ、けっこう意味があるんじゃないかなーと思ってます。わたしの考えは以下の通り。


(ドラゴンの手前) → 矢東薫子のマンガ家人生

(ドラゴンの炎で灰になる) → 矢東薫子の挫折

(灰から蘇ったあと) → 越前さんとはらちゃんの恋


パートリーダーの矢口さんが矢東薫子の正体であることはほぼ確定なわけですが(エンドロールでも一番最後に来ている)、彼女は第3話で「わたしはもう人生という戦いから降りた」と言ってます。つまり、はらちゃんはそんな矢東薫子と越前さんのふたりを繋ぐキャラクターでもある、と。さて、それを踏まえたうえで。







































涙が落ちてはらちゃんが出てくる。この涙を流しているのは越前さんにも見えるし、同時に、矢東薫子でもあるのかもしれない。ま、どっちでもあるのかなー、と。








































ギターの弦が切れる。ここの意味はまだよくわからないのですが、はらちゃんのギターは第1回で3本だったんですよね。また、矢東薫子の原作のほうから弦が3本だったのか、それとも、越前さんがそう描いたのか、これまたわからない。ただ、このアニメーションにおいては、はらちゃんはドラゴンの炎までの前半部分ではギターは弾いてません。
















で、ここから矢東薫子のマンガ人生を描いているのではないか、と。
















これは原稿の山のモチーフ。
















エンピツ。
















サボテンに見えるけど、これは人じゃないのかなー。トゲは批判や逆境のメタファー。
















これは岩ですが、原稿用紙を丸めたものにも見えます。上から落ちてくるので編集者にボツにされた原稿なんかなー、と。





























でも、それにもめげず、がんばります。しかし・・・
















ドラゴン。怪物というのは不条理の象徴。何をどうしたところで打ち勝つことの出来ない敵。
















そりゃ、こんな表情になります。


















そして、ドラゴンの吐く炎に包まれて・・・

















灰となってしまいます。これが矢東薫子の挫折。(何があったのか、それはわかんないです)


















そして、灰から蘇るはらちゃん。炎に焼かれてその灰から蘇るのは、フェニックスなどと同じで、死と再生の典型的なメタファー。
















でも、新たに生まれたはらちゃんの右手には赤い糸がついています。




















赤い糸の先には越前さんがいる。(ここからがドラマ本編)


















はらちゃん、可愛いよ、はらちゃん。


















最初のところで弦が切れたギターへ赤い糸を結びつけ、そこで初めてはらちゃんが歌う。



















悲しげな表情だった越前さんに微笑みが。この微笑みが矢東薫子にとっても何らかの喜びになるのではないか、と想像してますが、それは後述。
















最後はハートマークに包まれるふたり。すでにプロデューサーのかたがハッピーエンドと明言してるようなので、これはそのまま受け取って良いはず。




【ドラマのエンディング予想】


で、ドラマ自体のエンディングなんですが、わたしは越前さんが「二代目」矢東薫子になるんじゃないかと想像しています。第4話で越前さんの弟が「このマンガは金になるのか」という不純な動機ながらも、あちこちに「売り込み」をかけてるのはそこらへんの伏線なのかなー、と。んで、このエンディングのアニメーションに即して言えば・・・


(ドラゴンの手前) → 矢東薫子のマンガ家人生

(ドラゴンの炎で灰になる) → 矢東薫子の挫折

(灰から蘇る) → はらちゃんの再生(越前さんによる再生

(灰から蘇ったあと) → 越前さんとはらちゃんの恋

(ハッピーエンド) → 越前さんがマンガ家になってはらちゃんとずっと一緒にいる


まぁ、マンガの世界とこっちの世界を出たり入ったりするという感じかなー、と。越前さんがマンガ家になるタイミングとしては第9回あたりじゃないかと想像。これは劇中に出てくる矢東薫子全集が8巻までなので、「その先」を継ぐとしたら「9巻」になるので。で、消息不明とされていた矢東薫子がそのように復活して広く読まれることで、矢口さん(=矢東薫子)も救われることになるんじゃないかなー、と。




【はらちゃんが人間になるのか、ならないのか】


はらちゃんがピノキオ的に人間そのものになってしまうことはないような気がします。これはまったくもってわたしの個人的な考えですが、そもそも、あのマンガの世界のモチーフに、The Twilight Zone の Five Characters in Search of an Exit があるような気がするもので。








英語のみで恐縮なんですが、ま、簡単に言いますとある閉じた世界にいる「5人」のお話。「5人」と言うのは、はらちゃんのマンガ世界に出てくる人数と同じです。男性4人、女性1人という人数構成も同じ。はらちゃんに当たるのが、この作品では「外」に出ようとする major ですね。


そこがどこなのか、自分たちが誰なのか、何もわからない。そんな葛藤を描きつつ、ようやく「外」に出た major が見たのは・・・まぁ、これはネタバレになってしまうのですが、それを書かないと説明にならないので書いてしまいますが、これは実は箱のなかにいる人形たちなんですね。すんごいシュールな話なんです。でも、最後のナレーションできちんと救いが与えられています。


But this added, hopeful note: perhaps they are unloved only for a moment. In the arms of children, there can be nothing but love.


でも、最後にはそんな人形たちも子供たちに抱かれて幸せになるだろう、と。これを「泣くな、はらちゃん」に当て嵌めて考えると、長いこと忘れられていた矢東薫子のマンガが再び世に出ることになるかなー、と。もちろん、これはわたしの勝手な希望的観測なんですけどね。すんません。




【ユキ姉】


さて、エンディングのアニメーションでもうひとつ気になることがあります。それはキャストの表示順。ドラマや映画のキャストは最後のほうに大物俳優や物語の重要な人物を演じている俳優さんが並びます。「泣くな、はらちゃん」の場合だと・・・


光石研

奥貫薫

白石加代子

薬師丸ひろ子


・・・という順番になっています。薬師丸ひろ子が最後になっているのは、これはもう矢東薫子であるからだと思います。白石加代子は大物俳優としてのクレジットですかね。まぁ、そこまではわかるんですが、気になるのは・・・















やはり、この光石研(玉田工場長)、奥貫薫(ユキ姉)の並び。ユキ姉はこのドラマの重要キャラクターで、以前に「外の世界」に行ったことがあります。したがって、マンガ世界の住人のなかでユキ姉だけが違う反応を見せることも多いですし、ユキ姉も矢口さんと同じように「この世界がマンガである」ということについては、はらちゃんに対してはぐらかしてるんですよね。ただし、「外の世界」に行ったときの出来事はまだ語られていません。(第4回の時点で)


かたや、玉田工場長は単なる脇役にも見えるのですが、矢口さん(=矢東薫子)には尊敬にも似た感情を抱いています。まぁ、もちろん、単なる好意なのかもしれませんが、ただ、相手が矢口さんなので何かがあるのかなと思ったりします。そして、そう考えていくと、なぜ、「光石研、奥貫薫」の順番なのか、気になるわけです。


ユキ姉 「世界の秩序が乱れちゃったねぇ。でも、それは仕方のないことなんだよ、はらちゃん。違う世界を知るってことはさ、素敵なことだけど、つらいことなんだよ。」(第2話)


これがユキ姉と玉田工場長の「何か」なんじゃないかなー。あと、玉田工場長ってまだ下の名前がわからないんですよね。ユキ姉と玉田工場長の過去回があるとしたら、そのときに初めて下の名前で呼ばれる・・・とか。あと、第4回であっくんが「外の世界」に出て、第5回の予告ではマキヒロもそうなるようなので、


第4回 あっくん
第5回 マキヒロ


という順番で「外の世界」を体験するのかなー、と。あっくんは第4回で犬を怖いものと刷り込まれていますが、「犬が見てみたい」と言ってたのはマキヒロなんですよね。なので、第5回でマキヒロは可愛い犬を見て「やっぱり、犬は可愛い」と言うことになり、かたや、あっくんは「いや、犬は怖いものだ」みたいな掛け合いも生まれるのかなー、と。ま、それは細かいことなのでいいんですが、その先として・・・


第6回 笑いおじさん
第7回 ユキ姉


・・・といった順番で「外の世界」に出るんじゃないかなー。8回目までがひとつの区切りになっているとすれば、7回目あたりでユキ姉の過去回があってもおかしくなさそう。ま、すべて、わたしの勝手な予想ですけどねw




【リリック】


んで、最後。主題歌の曲名は「リリック」。英語で書けば Lyrics と言えば歌詞のことですね。「泣くな、はらちゃん」には劇中歌として二つの歌詞が出て来ます。


「私の世界」

せかいじゅうのてきにこうさんさ たたかういしはない
せかいじゅうのひとのしあわせを いのります
せかいのだれのじゃまもしません しずかにしてます
せかいのなかのちいさなばしょだけ あればいい
おかしいですか? ひとはそれぞれちがうでしょ? でしょでしょ?
だからおねがいかかわらないで そっとしといてくださいな
だからおねがいかかわらないで わたーしのことはほっといて


こちらは超ネガティブな越前さんの歌詞。(もしかしたら、矢東薫子全集からの引用なのかもしれませんが)


「初恋は片思い」
こいのうたとか きらいなんだよね どれもみなおなじ
こいのうたとか きらいなんだよね わからない
こいのうたとかうたいたくないよね ほかにもあるでしょ?
こいのうたとかうたいたくないよね にあわない
こいするためにうまれてきたとかありえない そう おもっていた
でもこいをした でもかたおもい あなたのことしかうたえない
でもこいをした でもかたおもい そんなじぶんにわらう


こちらは紺野さんが弾き語りで歌うラブソング。でも、この二曲ってメロディは同じなんですよね。はらちゃんが知ったメロディは紺野さんの歌なので。


同じメロディに乗せて二つの歌詞があるというのは実に面白い趣向で、これが最も活かされていたのは第2回の矢東薫子全集を探すくだり。あのときは紺野さんが神社で歌っていることもあって、流れているのは「初恋は片思い」のほう。そして、はらちゃんから小走りで去った越前さんが、でも、やはり、気になって見に行くシーンは恋の芽生えとして描かれていました。(あのシーンはスローモーションになっている)


ということで、閉じた世界と開いた世界という二つの歌詞が効果的に使い分けられているなー、と。また、歌の喪失と復活でもある、と。ということで、エンディングの「リリック」というタイトルのはそういったモチーフも含まれているのかなー、とか思ったりしたわけです。




はー、書きたいこと書いて、スッキリしたナリよ。




おしまい