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Tuesday, February 12, 2013

「泣くな、はらちゃん」第1話の感想





泣くな、はらちゃん #1 投稿者 yamutya1




第1回。正直なところ、この回はまだまだイントロで恋愛ドラマそのものは始まっていません。あと、パートさんとのやりとりがちょっとだけドンヨリするので、そこらへんも気が重いですね。けど、あとになって録画で見直してみると、面白いところもたくさんあります。
















まずは、冒頭のユキ姉の「この世界とは別に、神々の世界があるんだよ」というくだり。ここで初めて、マンガの世界の住人たちは「外の世界」の存在を知らされるわけですが、もちろん、まだまだ半信半疑。


はらちゃん 「どんなところなんですか、そのもう一つの世界っていうのは?」
ユキ姉 「教えるのはやめとくよ。知ると、今、自分がいる世界が余計イヤになるから。」


すべてを教えないのはドラマのお約束からそうしているのでしょうが、ユキ姉に何か「過去」があるんだなーとわかるやりとりでもあります。ま、ユキ姉は物語の鍵を握るキャラでしょうしね。(もうひとりは矢口さん)


んで、越前さんの弟がノートを捨てて、はらちゃんが「外の世界」に出て来て、「田中」さんにふなまる水産へ連れて行ってもらうわけですが、個人的には途中で海を見てはらちゃんが微笑むシーンも好きです。海はいいもんです。

















で、越前さんとの最初の出会いがあって、矢口さんが交番に顔を出してはらちゃんにヒントを上げたりするわけですが、越前さんのほうは仕事からの帰り道で

越前さん 「わたしが幸せになろうが、世界なんて変わらないわよ。」

とセカイ系を真っ向から否定・・・じゃなかった、まぁ、テンションの低さを見せつけてくれるわけです。はらちゃんは「(マンガの)世界」を明るくするために「外の世界」にやってきたわけですが、そこでは「神様」であるはずの越前さんが「世界なんて変わらない」と言ってるわけですね。はい。


で、いったん、はらちゃんが「マンガの世界」に戻るわけですが、「いやぁ、神様に会っちゃったなー」とはしゃぐはらちゃんをユキ姉はどこか悲しげで、それでいて、少しだけ羨ましそうな表情で見つめます。


はらちゃん 「わたしはねぇ、神様に自分の気持ちをぶつけました。どうか幸せになってください。そうでないとわたしたちの世界は曇ったままなんです。どうか世界を明るくしてください、と。」
ユキ姉 「そう・・・言ったの?」


ま、全然、明るくならないわけですが。こんな感じで。





































一応、越前さん自身も「やつあたりだね、これじゃ、ただの」と反省はしております。そして、岸壁で矢東薫子全集を読んでバランスを取る。そう、海はいいもんです。で、神社のくだり。(あ、ここから、さらにダラダラ書きますよw)


はらちゃん 「あっ! あ、神様! 神様! ちょっと待ってください! お話ししたいことがあります、神様!」
越前さん 「あたしは神様なんかじゃありません!」
はらちゃん 「そんな・・・、じゃ、なんとお呼びすれば。」
越前さん 「なんと、って。越前さんでいいです。」
(越前さん、立ち去ろうとする)
(はらちゃんが回り込んで)
はらちゃん 「神様! また、なんかイヤなことありましたか。」
越前さん 「え?」
はらちゃん 「神様がイヤな気持ちになると世界は曇るんです。世界は大荒れでしたから。」
越前さん 「なんなんですか、それ。」
(越前さん、再び立ち去る)
(はらちゃん、再び回り込んで)
はらちゃん 「あ、ちょ、ちょ、神様。お願いします、どうしても謝りたいことがあるんです、お願いします。」
越前さん 「何をですか!?」
はらちゃん 「わたしは、自分のことを、自分の世界のことだけを考えていました。そして、わたしは神様にお願いをした。どうか幸せになってください、そして、世界を明るくしてください、と。・・・でも、それは自分勝手なお願いなのかなと思いました。」
越前さん 「だからぁ・・・」
はらちゃん 「だから! 神様が幸せになるためだったら、わたしは何でもします。この命を投げ打っても構わない。」
越前さん 「いや、だから! わたしはそういう人間じゃないって言ってるじゃないですか。世界がどうとか・・・、いいですか? わたしはね、嫌いなんですよ、そういう自分の能力とか過信している人間が。世界に何かを発信したいとか言っちゃってる、あの人みたいなのがいちばん・・・。わたしはそういう世界を動かすような人間じゃないし、そういう無意味な自惚れもありません。」
はらちゃん 「えっ? 悪魔さんがなにか・・・?」
越前さん 「悪魔? 悪魔だか何だか、どこの誰だか知りませんけど、こんなさぁ、わざわざ誰もいないような場所を選んで、下手な歌、歌っちゃって、意味がわからない! 自信ないなら歌わなきゃいいのに!」
はらちゃん 「神様、それは違います。悪魔さんの歌は素晴らしいですよ。弦は6本あるし、メロディーがあります。ご存知ですか? ギターには弦が6本あって、歌にはメロディーがあるんです。」
越前さん 「はぁ!? とにかく、わたしは、あなたが言ってるような人ではありません。特別な人間じゃないんです! ちっぽけなどうでもいい存在なんです。買いかぶりはやめてください。迷惑です。」
(はらちゃんから立ち去る)
(立ち去ろうとする越前さんに向かって)
はらちゃん 「越前さん、あなたは特別な存在です!」
(はらちゃん、越前さんの前に回り込んで)
はらちゃん 「わたしは、こちらの世界であなたと出会って嬉しかった。わたしたちの神様は美しくて素敵な女神だった。ほんっとうに嬉しかったんです。わたしは心から、あなたにもう少しだけでいいから幸せになってもらいたいと思いました。越前さんが幸せになるためだったら、わたしは何でもします。お願いします! 自分のこと、どうでもいいなんて言わないでください。」
(越前さん、少し戸惑いながら)
越前さん 「あなた誰なんですか?」
(はらちゃん、にっこりと笑って)
はらちゃん 「はらちゃんです!」
越前さん 「はらちゃん?」
はらちゃん 「はい!」


まー、その、なんていうか、他の恋愛モノにあるような「あなたがあなたのことを嫌いになっても、わたしはあなたのことを嫌いにならない」じゃないんですよね。それはそれでわかるんですけど、結局、それって「そんなあなたを好きな自分のことが、実は一番好き」だったりするし。ここの神社のくだりはそうではなくて、


「あなたのことが好きだから、あなたにもあなたを好きになってほしい。そして、そのためだったら、何でもします。」


という、好きだからこそ行動しますという決意なんですよね。相手のための行動があるからこそ「お願いします! 自分のこと、どうでもいいなんて言わないでください。」というセリフが活きてくるわけで。


ともあれ、大きなきっかけを与えたのは矢東薫子の正体であろう矢口さんで、そのあと、神様(=越前さん)がマンガのギターに弦を書き足し、悪魔さん(=紺野さん)から学んだメロディーに乗せて「私の世界」がはらちゃんによって初めて歌われます。長いあいだ眠っていた「世界」はこうして歌によって復活。りばいぶですよ、りばいぶ。


「私の世界」
せかいじゅうのてきにこうさんさ たたかういしはない
せかいじゅうのひとのしあわせを いのります
せかいのだれのじゃまもしません しずかにしてます
せかいのなかのちいさなばしょだけ あればいい
おかしいですか? ひとはそれぞれちがうでしょ? でしょでしょ?
だからおねがいかかわらないで そっとしといてくださいな
だからおねがいかかわらないで わたーしのことはほっといて


歌われている歌詞は「かかわらないで」だけども、この歌が復活するためには「関わり合い」が必要だった、と。それは「外の世界」に出る決意をしたはらちゃんはもちろんのこと、はらちゃんにアドバイスをした矢口さん、メロディーを伝えた紺野さん、そして、マンガに弦を書き足した越前さんのすべてが関係している。


ユキ姉 「教えるのはやめとくよ。知ると、今、自分がいる世界が余計イヤになるから。」


冒頭でこう言っていたユキ姉さえも、はらちゃんが「外の世界」へ行く2回目のときには「はらちゃん! 探すのよ! 世界の裂け目を!」と促している。そうやってみんなが「関わり合い」を持つことで、「ちいさなばしょ」であるマンガの「世界」も、越前さんたちの過ごす日常の「世界」も、その輝きを取り戻す。つまり、最後に歌われる「私の世界」は「かかわらないで」と言いながらも、関わり合いの大切さを訴える「大いなる反語」であるのかなー、と。第1回は恋愛ドラマの要素はほとんどないのですが、舞台としての「世界」が再生されるエピソードとして、やはり、重要な回なのでしょうねー。






海は広いな 大きいな
月がのぼるし 日が沈む
海は大波 青い波
ゆれてどこまで続くやら
海にお舟を浮かばして
行ってみたいな よその国




・・・はぁ、書いた、書いたw