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Tuesday, March 12, 2013

「泣くな、はらちゃん」第8話の感想




泣くな、はらちゃん #8 投稿者 yamutya1


時間的に順番が前後しますが、重いパートから先に書いていこうと思います。あらかじめお断りしておきますが、以下に書く内容はわたしの主観にもとづくものであり、「そういった見方をすべき」などと押しつけるものではありません。よろしくお願いします。


【1】最後の場面














(第8話)
はらちゃん 「これが、この世界・・・」


映画「フィフス・エレメント」を思い出した人も多いでしょうね。そして、放送日は2013年3月9日。3.11から2年が経とうとするタイミングで、あの演出をしたわけです。もちろん、作り手からの強いメッセージなのでしょう。わたしはこれをもって不謹慎だとは考えませんが、かなりの冒険ですよね。第8話はこの最後の場面に象徴されるように、全体としてメッセージ色が強く、3つのレベルから「忘れないで」というメッセージを発しているように感じられました。


<マンガ世界から>

(第8話)
ユキ姉 「わたしたちのことを捨ててしまうの? 忘れないでよ、捨てないでよ、わたしたちのこと。」


これはマンガ世界の人間たちが「忘れられて死ぬ」に繋がるメッセージですね。


<ドラマのなかの現実世界から>

(第8話)
はらちゃん 「これは、この世界の出来事ですか?」
お母さん 「あぁ、そうね。悲しいけど、この世界の出来事なのよ。全部。嫌な世界よね、ほんとに。」


テレビに映し出された映像はすべて現実のものですから、そのインパクトはマンガ世界のみんなだけでなく、視聴者である我々にも伝わってきます。さらに、どこか牧歌的で、いい人ばかりが出てくる「泣くな、はらちゃん」というドラマにインサートされることで、より強い衝撃を生み出します。


<ドラマの作り手たちから>

「これはドラマという虚構だけども、その中から『現実の出来事をどうか忘れないで』と現実の視聴者のみなさんに伝えたい。」


東日本大震災の映像を無音で10秒ほど流しています。わたしにはあれが黙祷のように感じられました。その他の映像も、マンガ世界のそれぞれのキャラクターに合わせたものとなっていましたね。(マキヒロ=車と戦車、あっくん=犬と殺処分、笑いおじさん=食べものと飢餓、たまちゃん=家族とホロコースト)


この最後の場面については賛否の分かれるところでしょう。わたしは不謹慎うんぬんとは違う理由で判断を保留しています。なぜなら、ドラマはストーリーとしてきちんと完結している必要があり、もし、この演出によってその後のストーリーに影響が出てしまうとしたら、やはり、それは否定的な評価に繋がるからです。その成否は第9話を見てみないと判断がつきません。


「泣くな、はらちゃん」は様々なテーマを内包していますが、それでも、その基本はラブストーリーであってほしいとわたしは考えています。もし、第9話が「世界」についての問答だけとなってしまったら、それは少し味気ないものに感じられるでしょう。逆に、これだけ重い演出を行ったにも拘らず、きちんとラブストーリーを見せてくれ、さらには視聴者が思わず笑ってしまうような、そんなやりとりまで描かれるとすれば、それは快挙と言ってよいかもしれません。




【2】最初の場面















第8話の冒頭で映し出されるマンガ世界。第7話で「外の世界にずっといる」と決めたため、無人のままです。荒れ果てた町のようにも見えます。そもそも、マンガ世界から外の世界へ出てくるきっかけは強い振動であり、その揺れで散らかったテーブルや椅子はマンガの世界のみんなが直していました。このマンガ世界の居酒屋も、我々のいる現実と同じように、「人間」がいなければ荒れ果ててしまうのでしょう。














(第8話)
越前さん 「あの、この状況については、あとでゆっくり順を追って説明するので。ごめん。」
お母さん 「ほんとよ。何なのよ、いきなり。わたしは合宿のおばさんかって話よ。」


なので、ずっとこのままの生活が続くことはなさそうな気がします。また、長く続いてはいけないのでしょう。お母さんのセリフにも「合宿」という言葉が出て来ますしね。この「合宿」を「避難」と言い換えてもよいかもしれません。なにより、冒頭に映し出されたマンガ世界の居酒屋にはらちゃんのギターが置きっぱなしになっているのですよね。

















外の世界に出たままのはらちゃんは、やはり、何かが欠けているのでしょう。はらちゃんとあのギターのあいだには強い結びつきがありますし、あのマンガ世界の居酒屋ははらちゃんたちにとっては「故郷」のような場所であるわけですから。




【3】矢口百合子=矢東薫子















(第8話)
矢口さん 「あのさ、越前さん。矢東薫子って漫画家。」
越前さん 「はい。」
矢口さん 「あれ、あたし。」

「あれ」と今の自分と距離を置くかのように言う矢口さん。


(第8話)
矢口さん 「まぁ、簡単に言うと、わたしはスランプっていうかさぁ、要するに、描けなくなっちゃってさぁ。逃げたんだよねぇ。放置してたんだ、ずっと。自分の描いたマンガ世界をね。」


矢東薫子がマンガを描かなくなった理由は「もう描けなくなった」からだったのですね。シンプルに見えますが、創作者にとっては実につらい話なのだと思います。


(第8話)
矢口さん 「でもさぁ、あたし、怖くなっちゃったんだよね。こんな自分が神様だなんて、怖くなっちゃったんだ。荷が重すぎるっていうかね。誰かの神様なんて無理。あたしには背負いきれないって思ったんだ。」
(第8話)
矢口さん 「それきり二度と、マンガを描くことはなかった。ずっと逃げて生きてきた。別に、人を殺したわけじゃないけど、あたしにとっては同じことだからね。」


そして、矢口さんにとっても、マンガ世界のキャラクターは「人間」だった。


(第8話)
矢口さん 「だから、驚いたよ。越前さんがあたしの描いたマンガの人物たちを使ってマンガ描いててさ。そこから、はらちゃんが出て来たときは、ほんと、驚いた。でも、嬉しかった。あぁ、ここで生きててくれたんだ、って思ってさ。ありがとう、越前さん。嬉しかったよ。」


これを受けて、最後のくだりで越前さんはマンガ世界のみんなに・・・


(第8話)
越前さん 「安心してください。あたしは、みんなのこと、殺したり、忘れたり、決してしません。だから、安心して。」


・・・こう告げています。越前さんは第6話でストレス発散のためにマンガを描くことをやめましたが、ここで改めて、みんなの前で、みんなのために、みんなのことを「殺したり、忘れたり、決してしません」と誓いました。














(第8話)
矢口さん 「どこに行きますかねぇ。」


「この場所を去ろう」と決心した矢口さんが愛おしそうに町を見つめるシーンがとても美しいです。薬師丸ひろ子さんはとても不思議な雰囲気を持った女優さんですね。




【4】箱いっぱいのキャンディー


おそらく、第8話はラストシーンが最も話題となっているのでしょうし、わたしも驚かされはしましたが、でも、個人的なお気に入りはここです。


(第8話)
はらちゃん 「越前さーん! 越前さん! どうぞ!」
越前さん 「なんですか、これ。」
はらちゃん 「越前さんに。どうぞ。今日は3月14日で、ホワイトデーという日だそうです。田中さんに教えていただきました。バレンタインデーにチョコをいただいた男性がキャンディーをお返しする日だそうです。なので、わたしから、越前さんに、ホワイトデーです。」













越前さん 「全部使ったの、お金?」
はらちゃん 「はい。働いて、いただいたお金と交換しました。越前さん?」
越前さん 「もうっ。なんで、全部使っちゃうんですか。はらちゃんだって他に欲しいものがあるでしょう。」
はらちゃん 「あ、いえ。わたしは越前さんがいれば、何もいりません。」


はらちゃん・・・、泣かさないでくれ。・゚・(ノД`)・゚・。


(第8話)
越前さん 「もうっ。バカ。」
はらちゃん 「越前さん、お、怒ってますか?」
越前さん 「怒ってなくても、バカって言うんです。」
はらちゃん 「ん? あ、ああ、そ、そうなんですか。・・・越前さん! 抱きしめますか? チュウ、またの名のキスしますか?」
越前さん 「しません! バカ!」
はらちゃん 「怒らなくてもバカって言うんですよね。」
越前さん 「今のは怒ってます。」
はらちゃん 「え!? そ、そうなんですね・・・」
越前さん 「ウソです。ありがとう。」















そして、越前さんが冗談を言うんですよね。わたしはここがとても好きです。第8話はラストシーンの衝撃が大きくて、他のお話が霞んでしまったところがあるのですが、越前さんやマンガ世界のみんなが意識して冗談を言うようになりました。
















(第8話)
笑いおじさん 「あの、神様、ひとつ教えてほしいことがあるんだ。」
笑いおじさん 「おれはマンガのなかで何がおかしくて笑ってるんだ?」
越前さん 「あ、えっと・・・、なんででしょう?」
笑いおじさん 「あ、やっぱり、考えなかった~。」
はらちゃん 「でも、泣いてるより、笑ってるほうのがいいじゃないですか。ねえ?」
マキヒロ 「そうそう、その通り。」
笑いおじさん 「大丈夫!」
あっくん 「まぁまぁまぁ、飲んで飲んで。」
ユキ姉 「殺すしかないね!」
はらちゃん 「・・・あ~、もう、びっくりした。ユキ姉、もう!」


越前さんのマンガで口にしていたセリフを冗談っぽく言ってみるマンガ世界のみんな。


(第8話)
越前さん 「今までありがとう。ずっと一緒にいてくれて。それなのに、嫌なことばかりしゃべらせてごめんなさい。ほんとに、ごめんなさい。でも、あなたたちがいてくれたから生きてこれたんです、あたし。」


このように謝った越前さんを気遣って、意識して演じてみせたわけですね。第1話では「同じことばっかり言わされてうんざりだ」とこぼしていた、お約束の演技を。ユキ姉などは矢東薫子との過去を語ったあとなのに、それでも、越前さんとみんなのために「殺すしかないね」を言っています。そして、この「笑い」という要素は、同じく第1話から何度も出てきています。
















(第1話)
矢口さん 「大丈夫、越前さん? はい、笑う。」
越前さん 「はい。」


第1話の冒頭で矢口さんは「はい、笑う」と越前さんを諭しています。そして、そのラストで越前さんは自室の鏡の前でひとり笑う練習をしてみるのですが、このときはひろしがやって来て・・・






(第1話)
ひろし 「なに? 気持ち悪い。」


・・・と言われてしまいますw でも、これは ひろしの言う通りなんですよね。無理してひとりで笑顔を作るのは不自然なのですから。そして、越前さんが初めて自然に笑うのは第2話。


(第2話)
越前さん 「変な人。」
はらちゃん 「ん? へんって、何でしょうか?」
越前さん 「変わってるってことです。」
はらちゃん 「変わってるって、何でしょうか?」
越前さん 「もういい、やっぱり、黙ってて。」 
















おかしそうに笑う越前さん。そして、それを見たはらちゃんも嬉しそうに微笑む。
















つらいことがあっても、「笑う」ことができれば、誰かとそうやって微笑むことができれば、少しだけ世界は明るくなる。これもまた、立派なメッセージだとわたしは思います。なので、第9話、そして、第10話でも、そういうメッセージを伝えつづけてほしいです。


(第8話)
はらちゃん 「大丈夫ですか、越前さん」
越前さん 「はらちゃんの顔、見たら、大丈夫になりました。」
はらちゃん 「では、つらいことがあったときや心配なことがあったときは、わたしの顔を見てください。」

(第8話)
はらちゃん 「でも、泣いてるより、笑ってるほうのがいいじゃないですか。ねえ?」



つづく


Wednesday, February 27, 2013

「泣くな、はらちゃん」第6話の感想



泣くな、はらちゃん #6 投稿者 yamutya1




第6話はとても切ない話でした。でも、はらちゃんが最もカッコいい回でもありました。
















(第5話)
はらちゃん 「では、越前さん、お願いします。」
越前さん 「はい。じゃあ、また。」
はらちゃん 「また。」


第5話で、ついに両想いとなって、「また」会いましょうと別れるふたり。それまでは偶然に開かれるだけだったノートをきちんと意識して開くのもこれが初めて。そして、第6話では紺野さんの「マキヒロを出してほしい」という頼みを聞いて、その「オマケ」としてはらちゃんが出て来ます。(もちろん、これは越前さんの冗談)


(第6話)
越前さん 「さ、行きましょう。オマケのはらちゃん。」
はらちゃん 「ん? オマケ? オマケとは何でしょう?」
越前さん 「いいから。ほら、行きますよ!」


子供を相手に話すような口調で可愛らしい。物語の前半で越前さんが「ついてこないで!」とたびたび叫んでいたのが嘘のようです。
















(第6話)
はらちゃん 「越前さん、おいしいです。」
越前さん 「よかった。」


そして、9時までの短い時間を居酒屋で過ごします。ここでも、「よかったです」ではなくて、「よかった」と答える越前さん。何気ないセリフにもふたりの関係の大きな変化を感じます。

















でも、越前さんはこの両想いが現実のそれと違うことをきちんと理解しているんですよね。


(第6話)
はらちゃん 「楽しいね、はらちゃんとの恋は。・・・でしょ?」
越前さん 「・・・はい。でも、」
矢口さん 「でも、そのぶん切ないよね。」
越前さん 「はい。」
矢口さん 「楽しいことってのはさぁ、そのぶん、切ないんだよねぇ。楽しいぶん切ない、切ないぶん楽しい。そういうもんなんだよねぇ。」
矢口さん 「結婚か。プロポーズされちゃったねぇ。いいプロポーズだった。」
越前さん 「はい。・・・できるわけないのに、結婚なんて。」


せつない恋ですよね・・・。はらちゃんと越前さんの恋はある意味で遠距離恋愛に似ていると思うのですが、現実の遠距離恋愛だと結婚して一緒に暮らすことが解決策になり得る。でも、このふたりの場合はそれが出来ない。これはつらい恋です。


はらちゃんと越前さんの恋の切なさが描かれるいっぽうで、この第6話では、そもそも、なぜ、はらちゃんが外の世界に出たのか、なぜ、越前さんはノートにマンガを描いていたのか、そういった物語の原点についての確認が行われます。まず、マンガの世界において、視点を戻すための狂言回しを演じるのは笑いおじさんです。


(第6話)
笑いおじさん 「いいか? 問題はな、神様なんだよ。」
はらちゃん 「ちょっと! 越前さんを悪く言うのはやめてくださいよ。」
笑いおじさん 「もともとはよ、神様の機嫌がいつも悪くて、この世界がなんだかおかしなことになっててよ、それを何とかしようって話じゃなかったのかよ? それがよ、恋だか何だか知らねえけど、おまえさぁ、自分のことばっかりじゃねえか。」


そう、そもそも、はらちゃんはこのマンガの世界を明るくするために外の世界を目指したのでした。


(第1話)
ユキ姉 「最近、この世界がなんだか暗く重たいのは、おそらく、われわれの神様の機嫌が悪いからだ。」

(第1話)
笑いおじさん 「その、もうひとつの世界で、神様のご機嫌がよくなれば、オレたちのこの世界も明るくなるってことか、ん?」
ユキ姉 「そうだね。」


さらに、笑いおじさんはこう続けます。


(第6話)

笑いおじさん 「この世界のことなんて全然考えてねえじゃねえか!」
はらちゃん 「そんなことありませんよ! わたしが越前さんを幸せにしたら、この世界は明るくなるんです。」
笑いおじさん 「なってない! 全然明るくなってない! いいか。恋とか言って、ぽーっとしてるからこういうことになるんだよ。」
マキヒロ 「恋は悪いことじゃないです! 素敵なもんです!」
笑いおじさん 「なんだ、おまえまで。どいつもこいつも、恋、恋、恋、恋。外の世界に行って腑抜けになりやがって!」
あっくん 「ぼくは腑抜けになってないですよ、恋なんかしないですし。」
マキヒロ 「犬しか見てないんだろ?」
あっくん 「しょうがないじゃないですか、そんなこと言ったって。」
笑いおじさん 「おまえにはな、外の世界は無理だよ、臆病だからな!」
あっくん 「あー、そうですよっ! 犬、怖いですよ、ぼくはっ!」
はらちゃん 「ちょっとやめましょう、やめましょう。」
笑いおじさん 「恋とか言ってさ、ねぇ、腑抜けになってるやつよりマシか。はっはっはっ。」
マキヒロ 「腑抜けじゃない!」



笑いおじさんというのは、その名の示す通り、若者から見れば「ものわかりの悪いおじさん」でもあるわけですが、言ってることは間違ってないんですよね。そして、ここでのやりとりが示すように、マンガの世界はひとつにまとまっていません。


つぎに、現実世界。こちらで狂言回しを演じるのは越前さんの弟・ひろしです。


(第6話)
越前さん 「あんたに言われたくない。」
ひろし 「姉ちゃん、オレはさ、家族のこと考えてんの、わかる? 姉ちゃんも、もっと考えようよ!」
越前さん 「なに、それ。」
ひろし 「家族のこと、考えるの、当たり前でしょうよ。なんで、そんなこともわかんねえの? ねえ? オレはさ、言っときますけど、ちゃーんと考えてんの。ねえ? おい、聞いてる?」


ほとんどすべての視聴者が「おまえが言うな!」と憤った場面ですが、現実世界ではトリックスターのひろしに言わせるのが最も効果的だったのでしょう。矢口さんだとマンガの世界と現実世界の両方を見渡せてしまいますしね。


ひろし 「姉ちゃん、オレはさ、家族のこと考えてんの、わかる? 姉ちゃんも、もっと考えようよ!」


これはマンガ世界で笑いおじさんが言った「この世界のことなんて全然考えてねえじゃねえか!」とまったく同じメッセージですね。そして、矢口さんではなく、ひろしが問い掛けることの意義はひろしが家族であるということ。この越前家におけるやりとりで「家族」というキーワードが加えられ、物語はクライマックスの岸壁のシーンとなります。


(第6話)
はらちゃん 「越前さん。困ってますね、越前さん。ごめんなさい、わたしが困らせているんですよね。」
越前さん 「はらちゃんのせいじゃないです。」
はらちゃん 「越前さんが困った顔を見るのはつらいです。」
越前さん 「ありがとう。」


はらちゃんは自分がマンガ世界の人間だと知ったあと、少しずつ「自分が何も知らないこと」を自覚していき、それをあやまるようになりました。そして、この場面では自身が越前さんを困らせてしまっていることをしっかりと認識して、「ごめんなさい」とあやまっています。
















(第6話)
越前さん 「はらちゃん。」
はらちゃん 「はい。」
越前さん 「ごめんなさい。」
はらちゃん 「え?」
越前さん 「あたしとあなたとは、結婚とか、できないんです。ごめんなさい。できないの、ごめんなさい。」
はらちゃん 「わたしがマンガの世界の人間だからですか。」
越前さん 「そうです。」
はらちゃん 「そうなんですね。」
越前さん 「はい。」


はらちゃんと同じように「ごめんなさい」という言葉を口にしながら、正直に「結婚できないこと」を伝える越前さん。このとき、「あたしとあなたは」と言っているのが、とても強く印象に残りました。なぜなら、第5話で両想いを伝えるとき、越前さんはこう言っていたからです。


(第5話)
越前さん 「なんだかさっぱりわからないけど、両想いなんです、あたしたちは。だって、あなたのこと、好きに決まってるじゃないですか。あたしがつくったんだから。いちばん好きなキャラなんだから。」


どんなに高い壁があっても、それでも自分たちが両想いであると伝えるために、このときは「あたしたち」とひと括りにしていました。しかし、「結婚できない」と伝えるときは「あたしとあなた」とふたつに分けているんですね。そして、こんなつらいやりとりのあと、はらちゃんは「家族」について次のように語ります。


(第6話)
はらちゃん 「家族っておもしろいですね。」
越前さん 「え?」
はらちゃん 「あんなふうにケンカしても一緒にいるんですよね?」
越前さん 「ええ、家族ですから。」
はらちゃん 「はい。それって、なんだかすてきですよね。結婚しないと出来ないものなんですか、家族って。」
越前さん 「え、いや、そうとは限らないというか、いろんな場合がありますけど。」
はらちゃん 「あぁ、そうですか。じゃあ、わたしの家族はちゃんとマンガのなかにいますね。」
越前さん 「え・・。」
はらちゃん 「ときどきケンカもするんですよ。それでも、ずっと一緒にいます。それって、家族ですよね?」


もう・・・、泣かさないでくれ、はらちゃん・・・。そりゃ、越前さんだって泣きますよ・・・。
















(第6話)
はらちゃん 「ごめんなさい。また何かいやなこと言いましたか? ・・・あ、抱きしめましょうか?」
越前さん 「また、そんなこと・・・」
はらちゃん 「すいません。では、抱きしめません。」
越前さん 「抱きしめてください。」
はらちゃん 「こうですよね?」
越前さん 「はい。」
はらちゃん 「あったかいですね。」
越前さん 「はい。」
はらちゃん 「ずっと、こうしていたいです。」
越前さん 「はい。」















「あったかいですね」という、ごくごく当たり前の言葉が胸にしみます。でも、はらちゃんはこの「あたたかさ」がいつまでも続くものではないとわかっていました。


(第6話)
はらちゃん 「でも、ダメなんですよね。わたしは越前さんを困らせたくないです。」


最初のころ、無邪気に、無邪気すぎるくらいに、「越前さーん!」とその名前を呼んでいたはらちゃんが「越前さんを困らせたくないです。」と言う。そして・・・

















(第6話)
はらちゃん 「越前さんに幸せになってもらいたいので。」


そう言って、はらちゃんは自らノートを開きます。越前さんにただただ会いたくて駆け回っていたはらちゃんが、越前さんを愛するがゆえに、自らノートを開いてマンガの世界へと帰っていく。


















(第6話)
はらちゃん 「ただいま、マキヒロ、あっくん。笑いおじさん、たまちゃん、ただいま。ユキ姉、ただいま。」


グッと涙をこらえてマンガ世界の「家族」のみんなと堅く握手を交わすはらちゃん。ここのはらちゃんは、これまでで最もカッコいい。悲しいけども、でも、ものすごくカッコいい。


(第6話)
はらちゃん 「あー、そうだ! みんな歌いましょ。みんなで歌いましょう。ねえ!」


そして、ケンカしていたみんなをまとめるため、ギターを手に取ってあの「私の世界」を歌う。


(第2話)
マキヒロ 「はらちゃん、はらちゃん、はらちゃん! そろそろ勘弁してもらっていいですか。あの、歌ってね、確かに歌ってね、確かに素晴らしいと思うんですけど、ずっと同じ曲を聴かされると・・・」


そればかり聴かされるとうんざりすることもあるけど、でも、そう言っていたマキヒロですら第3話では、やはり、この「私の世界」を歌っている。わたしはこのマンガ世界は「地方」のメタファーになっていると考えていますが、「私の世界」という歌はマンガ世界における「故郷の歌」なんですよね。


















そして、みんなで肩を組んで歌う。すべてが素晴らしいだなんて言えないけど、でも、故郷とは忘れがたいもの。だから、何かあったら、みんなで同じ歌を歌う。はらちゃんはこのマンガの世界をよくするために外の世界へ行き、そして、この第6話で「故郷」に戻って「家族」と一緒に歌を歌った。
















(第6話)
越前さん 「大好きよ。はらちゃん。」


越前さんははらちゃんへの想いと一緒にマンガのノートを引き出しへとそっとしまいます。



だからおねがいかかわらないで そっとしといてくださいな
だからおねがいかかわらないで わたーしのことはほっといて



第1話において、誰にも干渉されたくない、誰とも関わりたくないという思いから越前さんが綴った言葉が、はらちゃんと知り合い、恋をして、そして、好きなまま別れなければならない場面で歌となって流れる。同じ歌を使うことで、第1話と第6話が対照的に描かれているわけですね。

















そして、与えられた工場長代理という役割を全うする越前さん。第1話でマンガに不満をぶつけていた越前さんはもうここにはいません。


マンガ世界を良くしようとして「違う世界」に向かったはらちゃんも、マンガという「違う世界」で現実世界の鬱憤を晴らしていた越前さんも、「違う世界」に救いを求めることをやめ、自分のいる「世界」にそれぞれ戻っていきました。第6話を見終わったあとに第1話を見返してみると、このふたりが恋によっていかに成長したか、それがよくわかります。そして、この第6話が最終話であったとしても、わたしは納得していたかもしれません。なぜなら、ふたりの恋と成長がきちんと描かれているのですから。



Sunday, February 24, 2013

「泣くな、はらちゃん」 ひろしは重要キャラ




ひろしは深いことを考えて行動している




・・・と言っても、誰も納得してくれないんですけど? どういうこと?w ひろしの行動をちゃんと見てあげましょうよ! ほら、こんな感じですよ?




【第1話】


勝手に越前さんのマンガノートを捨てる。


【第2話】


勝手に越前さんの大切にしている矢東薫子漫画全集を売る。


【第3話】


越前さんが矢東薫子漫画全集を持ち運ぶようになったので、それをひったくろうとする。


【第4話】


越前さんのマンガノートが金になるか、勝手に鑑定に出す。




・・・・・。いや、なんていうんだろ、まぁ、ほら、第5話!


【第5話】

ひろし 「軽く慰めてやりますか。」


ほら、優しいでしょ? 姉想い! え? 第6話?


(第6話)
ひろし 「姉ちゃん!」
越前さん 「なに?」
ひろし 「こいつさぁ・・・、オレよりバカなんじゃない?」
越前さん 「え?」
ひろし 「いいの? こんなんで?」
越前さん 「うるさいな、あんたに関係ないでしょ。」
ひろし 「いや、あるでしょ、関係。越前家にとっては大事な問題でしょうが、姉ちゃんの結婚問題は。とくに、経済問題は!」
越前さん 「なに言ってんの。あんたが何とかしなさいよ。」
ひろし 「それが何とか出来ないから言ってんじゃん。」
越前さん 「もうやめて。」
ひろし 「なんでだよ!」
越前さん 「よくない!」
越前さん 「あんたに言われたくない。」
ひろし 「姉ちゃん、オレはさ、家族のこと考えてんの、わかる? 姉ちゃんも、もっと考えようよ!」
越前さん 「なに、それ。」
ひろし 「家族のこと、考えるの、当たり前でしょうよ。なんで、そんなこともわかんねえの? ねえ? オレはさ、言っときますけど、ちゃーんと考えてんの。ねえ? おい、聞いてる?」


・・・えーと、とりあえず、「家族のこと考えてんの」「ちゃーんと考えてんの」と言ってますよね? え? 同意できない? わかりました。はいはい。参りました。わかりましたよ。言い方を変えますよ。




ひろしは何にも考えてません!




え? さっきと言ってることが違うって? 違わないですよ。仕方ないなぁ、正しく言い直しますよ。




ひろしは何も考えてないし、同時に、深く考えてもいる




・・・って言ったら、家族から怒られたんですけどw なんで、はらちゃんを「布教」したわたしが責められるのだ!w おかしい!w なんか、間違ってる!w


じゃ、順番に行きますよ。そもそも、この物語はひろしがいなかったら、始まらなかったんですよ。第1話で世界の裂け目が出来たのは、ひろしがノートを捨てたから。それまではずっとこんな感じだったんです。


(第1話)
はらちゃん 「なんか、最近、ずっと同じじゃないですか。毎日、毎日、同じことしゃべってるような気がするんだけどなー。大丈夫なんですかね、この世界は?」


ずっとずっと同じことの繰り返しで、何の変化も起きなかったわけです。でも、ひろしが越前さんのマンガノートを見つけたときから、この状況が変わるわけですよ。




(第1話)
ひろし 「姉ちゃん、金貸して! ・・・っていないの知ってるし!」


・・・・。いや、いいんですよ。とにかく、ノートを見つけたのが大事なんです。





















そして、ひろしがノートに手を置いた瞬間、越前さんは何やらただならぬ気配を感じております。


















(第1話)
ひろし 「ほー、ほほー。つまんねえ。」


まぁ、ひろしは面白くないと考えたので、ノートを・・・




















捨ててしまいますがw ともかく、これのおかげで、はらちゃんが初めて外の世界に出てくるわけです。で、ひろしが登場するとき、マンガ世界の上にかかる雲は紫色をしています。




(第1回)ノートを捨てるとき
















(第2回)矢東薫子漫画全集を売り飛ばすとき






























はい。じゃ、ひろしについて簡単にまとめます。




・ひろしは特別な力を持っている。
・最初にマンガ世界と現実世界のあいだの裂け目を作ったのはひろし。
・そのとき、越前さんはただならぬ気配を感じている。
・ひろしが登場するときは紫色の雲がかかる。




え? 演出? もちろん、演出ですよ? でも、ひろしは特別な力を持っているんです。つまり・・・




ひろしは雨や太陽などの気象・天候と同じなんです。




雨は災害をもたらすこともあれば、恵みの雨となることもある。太陽も干ばつを引き起こすこともあれば、その一方で、植物の生育には不可欠。そこに善悪なんてないんです。だから、「何も考えてない」。でも、そういった雨や太陽、風、波などなどがあるから、自然のサイクルは回ってるわけで、そういう意味では「深く考えている」んですよ!(あ、反論を喰らいそうw


ということで、もうひとつ。








エンディングのアニメーションはさりげなく、ひろしのパーソナルカラーであるレインボーが配置されています。


藍(ノートに落ちる涙)
紫(雨の色)
青(エンピツ)
緑(遠くに見える何か。何なのか、わからない。)
橙(ドラゴンの炎)
黄(町並み)
赤(赤い糸)


とくに、紫の雨。














ふつうだったら、雨は青や水色ですよね。でも、エンディングでは紫になってるんです。これはひろしの持つキャラクターを最もよく示していると思います。ていうか、そう思ってくださいw


んで、第6話で、さらにイメージが悪くなったひろしですが、でも、大事な伏線がひろしによって張られてるんですよ。


(第4話)
ひろし 「だからぁ! もうひとり、漫画の専門家見つけたんだってば、ネットで!」


もし、越前さんが「二代目」矢東薫子になるのだとしたら、この伏線しかないです。だって、他のことはけっこうきっちり整理がついてきちゃってるから。不確定要素を持っているのはひろしだけなんです。だから・・・



この伏線は「恵みの雨」になる可能性があるわけです!





ついでに言えば、このエンディングの前半は矢東薫子のマンガ人生を表していると考えているので、この紫の雨が青いエンピツと一緒に出てくるのは、「漫画家人生の始まり」を暗示・・・してるかもしれないでしょ? でしょ、でしょ?




( `Д´ ;), ' ゼェゼェ




・・・で、納得してもらえました? してないですよね? はい、もう、いいですw どんだけ逆風でも、わたしはこの予想は変えませんw




おしまい

Thursday, February 21, 2013

「泣くな、はらちゃん」 ユキ姉と玉田工場長について




ユキ姉と玉田工場長。この二人はわたしにとってのお気に入りです。そして、第5回で大きく物語が動いたので、ちょっとだけ書きたいことを書いておきます。このドラマはもう展開を読めないので、これは予想ではなくて、願望みたいなものです。




【ユキ姉】


物語のカギを握るユキ姉。マンガ世界の5人のなかで唯一、外の世界に出たことがありました。


(第1話)
ユキ姉 「黙ってたけど、わたしは行ったことがあるんだよ。その昔ね。もうひとつの世界に。」
はらちゃん 「もうひとつの世界? なんですか、それ?」
ユキ姉 「神々の国だ。神様が住んでるんだ、あそこには。」


なので、ユキ姉は最初からメロディーの存在もギターの弦の数も知っていました。


(第1話)
ユキ姉 「はらちゃん!」
はらちゃん 「はい?」
ユキ姉 「一生懸命歌ってるつもりのあなたには悪いけどさぁ、それは・・・歌じゃないよ。」
はらちゃん 「え?」
ユキ姉 「歌にはね、メロディーってものがあるんだ。」
ユキ姉 「それにね、ギターの弦は本当は6本だ。」
はらちゃん 「・・・なに言ってるんですか、ユキ姉。ギターの弦は3本。3本ですよ。」
ユキ姉 「6本だ。」
はらちゃん 「え、それって、わたしたちの世界をつくってる、あの、神様ですか? え、そこにユキ姉が行ったってことですか?」
ユキ姉 「そういうことだね。その世界はギターの弦は6本なんだよ。」


歌とギターは元の作者である矢東薫子にとって何か重要な意味を持っていそうな気がするのですが、そこはいまのところわかりません。また、第1話の時点でギターの弦が3本だったのも、矢東薫子の時代からそうだったのか、越前さんがそう描いていたからなのか、そこもわかりません。


(第1話)
ユキ姉 「最近、この世界がなんだか暗く重たいのは、おそらく、われわれの神様の機嫌が悪いからだ。」


ともあれ、ユキ姉はマンガの世界が暗く重たい原因が外の世界にあると知っているわけです。ただ、わたしが気になるのは、ユキ姉以外の4人の反応。


(第1話)
笑いおじさん 「なーにを言ってんだぁ? 別の世界なんてあるわけないだろぉ? 世界ってのいうのはな、オレたちが生きてるここのことなんだよ、何だよ、別の世界って?」
ユキ姉 「あるんだよ。」
笑いおじさん 「どこにあるんだよ。言ってみろ。」
ユキ姉 「ここではない、別のところに。」
はらちゃん 「ど、どんなところなんですか、そのもう一つの世界っていうのは?」
ユキ姉 「教えるのはやめとくよ。知ると、今、自分がいる世界が余計イヤになるから。」


ユキ姉以外の4人はユキ姉が外の世界に出たことも知らないし、外の世界の存在そのものも知らないのです。ですが、これはよくよく考えてみると不思議です。なぜなら、もし、あの狭い居酒屋のマンガ世界にずっと一緒にいたのであれば、ユキ姉が外の世界に出たことだって知ってるはずです。では、なぜ、ユキ姉以外の4人は何も知らないのか。
















越前さんが愛読していたのは「矢東薫子漫画全集」。単一の作品ではなくて「全集」なんですよね。なので、複数の作品が収録されている可能性が高い。つまり、ユキ姉が外の世界に出たことを他の4人が知らないのは、少なくとも、ユキ姉と他の4人は別々の作品のキャラクターだったからじゃないのか。そして、越前さんは別個の作品に出てくるお気に入りのキャラクターを集めて、この居酒屋の舞台で二次創作しているのではないか。


(第3話)
矢口さん 「矢東薫子。」
越前さん 「えっ!?」
矢口さん 「・・・のマネだよね。ていうか、出てくるキャラは全部パクり!」
越前さん 「知ってるんですか、矢東薫子先生の漫画。」
矢口さん 「うん、むかし、読んだことがある。」
越前さん 「ほんとですか!? 嬉しいです! 」


第3話でもうひとりの重要人物である矢口さんは越前さんのマンガを指して「出てくるキャラは全部パクり」と言っています。ただ、作品そのものをパクりとまでは言ってません。なので、あの5人のキャラクターの組み合わせと居酒屋の舞台というのは越前さんが組み合わせたもので、矢東薫子の原作ではああなっていなかったのではないか。


(第5話)
矢口さん 「ハッピーエンドにはならないかもしれないけどさぁ、でも、彼の気持ちにはちゃんと応えてあげるべきなんじゃない。だって、あなたが作ったんでしょ、彼を。神様なんでしょ、あなた。世界を創った神様にも責任はあるんじゃないかなぁ。」


第5話でも、矢口さんはらちゃんのことを指して「あなた(=越前さん)が作ったんでしょ、彼を」と言っています。もちろん、オリジナルのキャラを作り上げたのは矢東薫子ですが、今のマンガ世界をつくったのは越前さんということになるのかもしれません。


(第1話)
笑いおじさん 「その、もうひとつの世界で、神様のご機嫌がよくなれば、オレたちのこの世界も明るくなるってことか、ん?」
ユキ姉 「そうだね。」


第1話の冒頭ではらちゃんの質問にこう答えていたユキ姉。でも、実際にはらちゃんが神様(=越前さん)に会ってマンガの世界に戻ってきたとき、マキヒロや笑いおじさんがはしゃぐなか、ユキ姉だけは何とも言えない表情を浮かべています。
















(第1話)
はらちゃん 「わたしはねぇ、神様に自分の気持ちをぶつけました。どうか幸せになってください。そうでないとわたしたちの世界は曇ったままなんです。どうか世界を明るくしてください、と。」
ユキ姉 「そう・・・言ったの?」


神様と接点を持つことを素直には喜べないユキ姉。でも、第1回の終わりにマンガ世界でギターの弦が6本になり、はらちゃんが初めて「私の世界」を歌うとき、にこりと微笑んでもいます。


(第2話)
ユキ姉 「世界の秩序が乱れちゃったねぇ。でも、それは仕方のないことなんだよ、はらちゃん。違う世界を知るってことはさ、素敵なことだけど、つらいことなんだよ。」


ユキ姉は「素敵なこと」と「つらいこと」のどちらも知っている。「つらいこと」がどんな出来事だったのか、それはこれから語られるのでしょう。


(第6話予告)
ユキ姉 「あきらめたほうがいいと思うよ、神様との恋は。深入りすると殺されるよ。」


第6話の予告でこんな不気味なことを言っています。ユキ姉の決め台詞は「殺すしかないね」ですが、過去においてユキ姉は「神様に殺された」存在なのかもしれません。


(第1話)
ユキ姉 「イヤな世界だねぇ。みんなが自分がいちばん可哀想だって言ってさぁ。こう見えてねぇ、わたしだっていろいろあるわよ! たまには、わたしだって前向きなことが言いたいわよ!」


ユキ姉の決めゼリフは「殺すしかないね」ですが、これが矢東薫子の原作から言っていたセリフなのか、それとも、越前さんの創作なのか、それはわかりません。でも、その過去においてユキ姉は神様に「殺された」ことがあるとすれば皮肉な話ではあります。




【玉田工場長】


第5回で突然に亡くなってしまった玉田工場長。第4回までは矢口さんに甘い、単なる管理職として描かれていたのですが、ここに来てその存在は物語の重要な存在となってきました。

















まず、マンガの世界に移った玉田工場長は名前も「玉ちゃん」になったわけですが、現実の世界の記憶を持っていないとのこと。これがどういう意味を持つのか、まだわかりません。ただ、あれだけ慕っていた矢口さんのことも忘れてしまっているわけですね。なので、マンガの世界から再び現実の世界に出て来て、軽く幽霊騒ぎなどを起こしつつ、矢口さんと再会するというくだりがあるのかもしれません。もちろん、そのとき、玉ちゃんは矢口さんのことをはっきりと覚えてはいないわけで、かなり切ない話になりそうな気がします。


ただ、謎もまだ残されています。第5回で玉田工場長はこんなことを言っていました。


(第5話)
玉田工場長 「どうした、はらちゃん? 越前さんとケンカでもしたか?」
はらちゃん 「ん? ケンカとは?」
玉田工場長 「また、それかよ。ケンカってはアレだよ、ほら、田中、教えてやれ。」
田中さん 「あ、はい。お互いの意見が合わなくて、言い争いになってしまうというか。」
はらちゃん 「あ、はい。ありました。越前さんがわたしの言うことをなかなか信じてくれなくて。」
玉田工場長 「あきらめることだな。男と女のケンカの場合、男があきらめる以外、解決はないんだよ。それからこれだけは覚えとけ。」
はらちゃん 「はい、はい。」
玉田工場長 「女が男を信じるということは、決してない!」
はらちゃん 「えぇー? そうなんですか?」
玉田工場長 「そうだ、絶対ないんだ!」
田中さん 「何があったんですか、工場長?」
玉田工場長 「ないんだよ! ないんだよ!」
はらちゃん 「それは困りますね。」
玉田工場長 「その通りだよ! 困ったもんだよ!」


過去に何があったか、それは説明されていませんが、極度の女性不信です。しかし、なぜ、矢口さんにだけは甘かったのか。バレンタインデーのくだりでもこう言っています。


(第4話)
矢口さん 「どうなったんだろう。。」
玉田工場長 「え? なにがですか?」
矢口さん 「何でもありません、あ、はい、これ。」
玉田工場長 「え? チョコですか?」
矢口さん 「なーに言ってるんですか、工場長。バレンタインはかまぼこでしょ?」


矢口さんからのチョコは期待していたはず。このあと、矢口さんを追いかけて何か「女性不信」になることでもあったのか・・・と考えてみたのですが、それにしては演出がおおげさなので、ちょっとそれはないのかなと思っています。ということで、今のところ、女性不信の玉田工場長が矢口さんにだけ甘かったのか、まったくわかりません。


そして、第5回では玉田工場長が天涯孤独の身であったことも明かされています。


(第5話)
玉田工場長 「おまえ、家族は?」
はらちゃん 「家族?」
玉田工場長 「親とか兄弟とか、いないのか?」
はらちゃん 「わかりません。」
玉田工場長 「あぁ、そうか、わかんないのか、いるのか、いないのか、、オレと一緒だな。オレと一緒だよ。親も兄弟もいたのか、いねえのか、わかんねえ。まぁ、親はいたんだろうけどな、わかんねえんだ。で、結局、家族も持たなくてさぁ、ひとりだよ。フッ、ひとりだよ。ひとりっきり。」


(第5話)
玉田工場長 「ときどき思うよ。オレが死んでも泣いてくれる人はいるのかなぁ、ってな。」
はらちゃん 「死ぬって、世界からいなくなることですよね?」
玉田工場長 「んー。」
はらちゃん 「工場長がいなくなったら寂しいです。わたしが泣きます!」
玉田工場長 「嬉しいこと言ってくれるねぇ、ありがとよ。」


天涯孤独の身だった玉田工場長はマンガ世界で新たな仲間を得たわけですが、まだこれだけでは少し足りない気がします。より救いのある展開になるとすれば、それはマンガ世界で誰かと結ばれることではないか。そして、マンガ世界にいる女性はただ一人、ユキ姉です。そして、ユキ姉も第5回でこんなことを言っています。


(第5話)
ユキ姉 「ハァ~、、なんでさー、みんな、外の世界に行くと恋するわけぇ? ここにも女がひとりいるんだけどなぁ? なぁ?」
はらちゃん・マキヒロ 「はぁ・・・。」
ユキ姉 「なんなの・・・!」


ユキ姉もまた恋について話しています。こういった発言をしたのはこの第5回が初めてです。物語の後半においてユキ姉の過去が語られるのは間違いないと思うのですが、おそらく、壮絶なものなのでしょう。でも、そのままではユキ姉にも救いがありません。となると、玉ちゃんとユキ姉が結ばれるというカタチになるのではないか。玉田工場長は玉ちゃんとなって現実世界の記憶を持っていませんから、あの女性不信も一緒に消え去っているはず。

















そして、エンディングのクレジットは第1回から「光石研 奥貫薫」となっています。わたしはこの二人がマンガ世界で結ばれて終わってほしいなと思っています。というか、そうしないとこの二人の落としどころがないような気がするのですよね。





おわり

Thursday, February 14, 2013

「泣くな、はらちゃん」第2話の感想



あ、長いです。一応、言っときます。




泣くな、はらちゃん  第2回  20130126 投稿者 kate634




さて、本格的に恋愛ドラマが展開されるのはこの第2回からなのですが、まず、冒頭のマンガ世界のやりとりが面白いですね。第1回で高らかに歌い上げられていた「私の世界」ですが、そればかり聴かされて「マンガの世界」の住人たちはやや食傷ぎみ。痺れを切らした笑いおじさん(甲本雅裕)ははらちゃんにこんな問い掛けをします。


笑いおじさん 「だいたいさ、その、そっちの世界に行って得たものって何だ?」
はらちゃん 「え・・・」
笑いおじさん 「神様は相変わらずご機嫌斜めだし。」
はらちゃん 「あ、でも、歌とメロディを・・・」
笑いおじさん 「そんなもんじゃ世界は変わらないんだよ!」


甲本雅裕(ミュージシャン・甲本ヒロトの兄)にこのセリフを言わせるのが凄いw まぁ、笑いおじさんはかまぼこを食べたかっただけのようで、その直後、素直に「かまぼこ食ってみてえ」と泣き笑いをします。それに釣られる格好で、あっくんは「車に乗ってみたい」、マキヒロは「犬を見てみたい」とそれぞれに「外の世界」への憧れを語っていくわけですが、その様子を見ていたユキ姉がこう語りかけます。


ユキ姉 「世界の秩序が乱れちゃったねぇ。でも、それは仕方のないことなんだよ、はらちゃん。違う世界を知るってことはさ、素敵なことだけど、つらいことなんだよ。」


いいセリフです。ユキ姉の過去を暗示させる内容でもあり、同時に、これは恋を言い表したものでもあるのでしょう。恋とはそれまでの自分を超えることであり、ときに、捨てることでもある。恋は「甘い」と形容されることが多いけれども、でも、同時に「つらいこと」でもあります。(ポエムってます


(苦しそうに胸を押さえるはらちゃん)
ユキ姉 「どうした? はらちゃん?」
はらちゃん 「いや・・・、自分でもよくわからないんですけど、なんか、胸のこのあたりがムズムズっていうか、痛いっていうか・・・、なんか変な感じなんですよね。神様、あ、いや、越前さんのことばかり考えてしまうんです。会いたくなっちゃうんですよね。越前さんに会いたくて仕方ないんです。」
ユキ姉 「まさか・・・」


はらちゃんは越前さんのことが好きになってしまったわけですね。ただ、よくよく考えてみると、どのタイミングで好きになったのか、はっきりとはわからないんですよね。第1回の神社における越前さんとのやりとりから「なにか」を感じたのかもしれませんが、まぁ、でも、恋なんてそんなもんです。どこで、何が理由で、その人を好きになったのか、そんなことはいちいち覚えてられません。(ポエムってます


そして、再び「外の世界」へ出るはらちゃん。親切な田中さんが「マンガ」の存在を教えてあげるシーンではらちゃんはこう言います。


はらちゃん 「これがマンガ・・・、なんか、懐かしい感じがしますね。」


「懐かしい」なんて語彙をいつ覚えたんだ、はらちゃん・・・という気がしないでもありませんが、ともあれ、はらちゃんは「マンガの世界」の住人なので何かを感じるわけです。そのあと、はらちゃんは越前さんに会うためにふなまる水産の中へ入っていくのですが、そこでパートリーダーの矢口さんははらちゃんにこう呼びかけます。


矢口さん 「こないだみたいに、神様を怒らせちゃダメだってことよ。どうも、はらちゃん。」


当たり前と言えば当たり前ですが、矢口さんだけは最初からはらちゃんのことを「どこかで見たような気がする」と引っかかりを覚えており、第1回のラストでは本屋さんで矢東薫子全集を手に取って確認までしています。それを踏まえて考えると、ここではっきりと「どうも、はらちゃん」と言っているのは改めて挨拶をしているようなものですかね。それも、自覚的に。また、「神様を怒らせちゃダメだってことよ」と、はらちゃんにも理解できるようにマンガ世界の視点で忠告を与えているのも印象的です。この時点で、矢口さんだけは事の次第をだいぶ理解しているのでしょう。


で、肝心の越前さんですが、こちらはテンションが低いままでして、やる気なさそうにかまぼこ新作募集のポスターを描いています。こんなイラストです。




















紺野さん 「イヤならさ、イヤって断れば良くない? それなのに、いかにも『こんなもんでしょ?』みたいな絵、描いちゃってさ。」


ズキッ! わたしは画力に自信がないのでこのセリフに敏感に反応してしまうのでありますが、ま、それはいいとして、紺野さんはある種のヤンキーキャラとして登場しているのでしょう。もちろん、田中さんのことが好きな紺野さんにとって越前さんは「一方的な恋敵」でもあるので、そういった感情も入ってはいるのでしょうが、このドラマは設定からして文化系寄りなので、そこにカウンターとして置いているが紺野さんなのではないか、と。「アメトーク」におけるホトちゃんみたいなもんですね。「なんでなん?」と言わせることで、共感しづらい視聴者も引き込むのがその役割。


紺野さん 「不愉快です。わたし、あなたみたいな人がいっちばん嫌い。」
越前さん 「えっ?」
紺野さん 「その顔も嫌い。イライラする。」
越前さん 「あの、わたし、何かしましたっけ・・・」
紺野さん 「何もしないのがイライラするんですよ!」
越前さん 「すみません、意味がわからないです・・・」
紺野さん 「世の中のことすべてに、『わたしは関係ないですぅ』みたいな顔してますよね!? 『わたしなんか、そんな』『わたしなんて、全然』『わたしなんて、とんでもない』『わたしなんて』『わたしなんて』『わたしなんて』・・・、そのくせ、実は自意識バリバリ強くて、失敗したりして傷つくのが嫌なだけなんですよね。そういうヤツに限って、自分が大っ好き。」
越前さん 「なんで、そんなにあたしに攻撃的なんですか・・・」
紺野さん 「ちゃんとやってください! やるんなら、ちゃんとやれって言ってるんです! 嫌なら断れ、やるんならどんなことでもちゃんとやってください! かまぼこ新作募集ポスターでも、ちゃんとやってください!」


まー、越前さんみたいなタイプが嫌いな人たちの「声」を代弁しているかのようなセリフ回しになっているわけですが、でも、わたしが好きなのはそのあと。


紺野さん 「わたしもやるから。」
越前さん 「何を?」
紺野さん 「かまばこポスターです。宣戦布告、勝負です。」
越前さん 「えっ・・・?」
紺野さん 「一度ぐらいは本気で勝負しなさいよ。」


このドラマは言いっ放しがないんですよね。はらちゃんも第1回で


はらちゃん 「わたしは心から、あなたにもう少しだけでいいから幸せになってもらいたいと思いました。越前さんが幸せになるためだったら、わたしは何でもします。お願いします! 自分のこと、どうでもいいなんて言わないでください。」


・・・と、ただお願いするのではなく自らも行動すると言っている。紺野さんもまた、ただ文句を言うだけではなく、「勝負」というカタチを取りつつ、越前さんを促している。紺野さん自身もこうやって吹っかけて部屋から立ち去ったあと、ドアの向こう側で「あー、やっちゃった」という表情を見せていますから、これはこれで勇気のいる行動だったわけですね。ま、ただ、越前さんは


越前さん 「何を・・・? ちょっと、紺野さん、その勝負お断りします。しませんよ・・・、わたしはそんな意味のないこと・・・。」


と相変わらずのローテンションなのですがw でも、はらちゃんがそこに入っていきます。はらちゃんは空気を読みませんから「何か気まずい雰囲気だなー、そっとしておこう」とか考えませんw


はらちゃん 「神様、いやっ、越前さん。」
越前さん 「何ですか。」
はらちゃん 「戦い、受けて立つんですよね? 悪魔さんとの。」
越前さん 「はい?」
矢口さん 「神と悪魔の戦いかー。」
越前さん 「戦いなんてしませんよ・・・」
はらちゃん 「それはダメです、越前さん。それはダメですよ。わたしもあのかた、悪魔さんに同意見です。やるんだったら、ちゃんとやりましょうよ。越前さん、あなたは神様だからご存知かもしれませんが、わたしは何度も言ってますよね。『仕事なんだからちゃんとやろうよ』って。『みんなやりたくてやってるわけじゃないんだから、勤務時間だけはちゃんと仕事しようよ』って、何度もわたし、そう言ってるじゃないですか。」
越前さん 「言ってるじゃないですか、って・・・」

























越前さんはパートのおばちゃんたちに対する不満として「ちゃんとやりましょう」とグチっていた。そして、それと同じことを紺野さんから言われたのに、越前さん、あなたはその「戦い」から逃げるのですか? そう、はらちゃんは痛いところを突いているわけですね。ま、はらちゃん本人はあまり深く考えていないんだろうけどw


はらちゃん 「越前さん、ちゃんとしましょうよ。それから、わたしはこうも言っていますよね。『わたしは本気を出してないだけなんだ』って。」
越前さん 「なに言ってるんですか!? もう、いいです! わかりました!」
(越前さん、描きかけのポスターを破いてしまう)
越前さん 「ちゃんとやります。描き直します。それでいいですか。」
はらちゃん 「はい、ありがとうございます。」


ここの『わたしは本気を出してないだけなんだ』というのは本編で紹介されているマンガには出て来ていないセリフですかね。紺野さんの指摘の通り、越前さんは自意識と自己愛がとても強いのでしょう。ま、誰だってそうですけどね。単に、表現方法が違っているだけで。


んで、このあと、はらちゃんの「愛の告白」があるわけですが、そこは見てもらったほうが早いですから書き起こしはしないでおきます。はらちゃんは「恋」という言葉を覚え、そして、交番で矢口さんから自身の恋が「片想い」であると教わります。


はらちゃん 「片想いって、悲しいんですね・・・」
矢口さん 「ふふ、そうとは限らない、美しいんだよ、片想いは。」
はらちゃん 「うつくしい?」
矢口さん 「この世界のほとんどの想いは片想いなんだ。世界は片想いで出来てるんだよ。」
はらちゃん 「はぁ・・、そうなんですね。大事なものなんですね。」
矢口さん 「そうだねっ。」
はらちゃん 「大切にしますっ、片想い。」


この直後、越前さんが自宅に戻ってマンガのノートを開くことではらちゃんは「マンガの世界」へ引き戻されてしまうわけですが、それを目の前で見ていた矢口さんは大きく驚いたりはしません。初めてここで、矢口さん=矢東薫子であると描かれているわけですね。


ともあれ、自分の描いたマンガとそのマンガの中から出てくるはらちゃんに励まされる格好で、越前さんは「ちゃんと」ポスターを描きます。そして、それが一段落したところで、大切にしていた矢東薫子全集が無くなっていることに気づいて、再び出て来たはらちゃんが一緒に探しましょうと促します。


越前さん 「いいの、いいんです。」
はらちゃん 「よくないです!」
越前さん 「好きなんですよね? そのマンガに片想いしてるんですよね? 美しいんです、大切なことなんです、片想いは。教えてください、探しに行きましょう。」


矢口さんに教わったこと、そのまんまなわけですが、素直なほうがいいんです。ひねた男性よりも素直な男性のほうがいいんです。そう思いません?(誰に聞いてるんだ


で、矢東薫子全集を探しに夜の町を行くふたり。走り慣れてないせいか、膝に手をついて息を切らせている越前さんの手を取って、はらちゃんはこう言います。


はらちゃん 「走るのが遅いんですね、越前さんは。小さいし、足短いし。」


素直なんです、悪気はないんですw そして、はまゆう書房で「矢東薫子全集」を見つけたはらちゃんが軽く騒動を起こしつつも、結局は越前さんが自腹で買い戻してこの件は解決します。3万円といえば大金なので、一瞬ためらいを見せる越前さん。でも、再び手にしたとき、嬉しそうに安堵のため息をもらします。


はらちゃん 「今の、なんですか?」
越前さん 「ちょっと、黙ってて。」

















ま、ずっと黙ってたわけですがw いいんです、男性は素直なほうがいいんですw あの暗い子、越前さんもここで初めて笑みを見せます。


















なんでしょう、「クララが立った」的な妙な感動がありますw



















この回のクライマックスは夜の町が美しいです。なんてことのない、地方都市の夜ですけど、でも、美しい。そして、演出も素晴らしい。「私の世界」と「初恋は片思い」は同じメロディーを持つ曲なわけですが、ここでは「初恋は片思い」が流れます。


「初恋は片思い」
こいのうたとか きらいなんだよね どれもみなおなじ
こいのうたとか きらいなんだよね わからない
こいのうたとかうたいたくないよね ほかにもあるでしょ?
こいのうたとかうたいたくないよね にあわない
こいするためにうまれてきたとかありえない そう おもっていた
でもこいをした でもかたおもい あなたのことしかうたえない
でもこいをした でもかたおもい そんなじぶんにわらう


このドラマに出てくる「片想い」は


はらちゃん → 越前さん
田中さん → 越前さん
紺野さん → 田中さん
玉田工場長 → 矢口さん


と、いくつかあるわけですが、この曲に合わせて、はらちゃん、田中さん、紺野さんの「片想い」が描かれていきます。矢口さんは「片想いってのは美しいものなんだよ」とはらちゃんに教えていましたが、それは片想いがいずれは終わるからですかね。終わりがないとしたら、それはもはや「片想い」ではなく、執着ですし。この夜の町のシーンで、田中さんの「片想い」はなかば終わりを迎えるのでしょうし、紺野さんの「片想い」も「想い」だけではなく行動へと変化していく。すべてがハッピーエンドとなるわけじゃないけど、でも、終わるから「次」に進める。(ポエムってます


で、主人公のふたり。はらちゃんは「離れることのつらさ」をストレートに言葉にします。


はらちゃん 「越前さん、片想いって涙が出るものなんですね。わたしは、あなたと離れることが苦しくてつらいです。だって、次、いつ会えるか、わからないじゃないですか。わたしは、恋してる人に自分から会いに行くこともできない。越前さん、胸が苦しいです。痛いです。どうか、行かないでください。」


越前さんは「何なの、それ!」と言いながら小走りで去って行ってしまうのですが、でも、立ち止まって、そして、はらちゃんのところへ戻ろうとします。



















越前さんが初めて自分からはらちゃんのほうへ近づいていく。「片想い」が「片想い」ではなくなる瞬間。だからこそ、このシーンはスローモーションで描かれているのでしょう。


んで、まぁ、この夜の町をシーンを見て、「これはいいドラマだわ」と思ったわけですが、こういうふうにシンプルに恋を描くには何らかのギミックが必要になるのでしょうね。現実的なドラマだったら、あそこまでストレートなセリフは出てこないし、出すわけにもいかない。でも、はらちゃんは自分にわかってることだけを口にするし、見ている側もそれを了解しているので、そのままの気持ちを描くことが出来る。「マンガの世界」の住人という不思議な設定ではあるけども、そのおかげで恋愛ドラマとしての純度は極めて高いものになっているのかなー、と。


「わたしは、あなたと離れることが苦しくてつらいです。だって、次、いつ会えるか、わからないじゃないですか。」


なんてことないセリフですが、でも、これこそが恋だよなー、と。





















そして、最後にモノクロの世界だったマンガに初めて赤いハートマークが加えられる。それを見つけた矢口さんは越前さんがはらちゃんを描いていることを知る、と。脚本、よく出来てますね。


まぁ、なんていうのかなー、恋愛ってこんなものですよね。見た目でもない、話術でもない、結局は相手を思ったうえで行動すること。はらちゃんが矢東薫子全集を探しに、一緒に夜の町を走ってくれた。そして、越前さんの大切なものを取り返そうと懸命に行動してくれた。そのほうがよっぽど相手の心に訴えかけるチカラがあるんです。言葉だけが愛を語るわけじゃないってことですね。(ポエムってます




(つづく)