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Thursday, October 3, 2013

「あまちゃん」 第3週「おら、友だちができた!」



この週は濃いです。


(第13話)

春子が家出したときの話。まぁ、ここから春子が夏ばっばに「駄々をこねる」わけですね。落書きのある灯台もこの回から登場。「(東京なんて)そんなにいいもんじゃないよ」とは、春子のひとりごと。その直後に、駅前でアキちゃんとユイちゃんの会話。


アキちゃん「こっちで暮らすことになったの。」
ユイちゃん「じゃあ、東京、遊びに行けなくなっちゃったね。」
アキちゃん「あ、そっか。ごめん。」
ユイちゃん「平気。ユイのほうがアキちゃんより東京のこと詳しいみたいだし。」

ユイちゃんの言う「詳しい」は、ガイドブック的な情報ですよね。もちろん、ユイちゃん自身もそれに気づいてはいるのだろうけど。ちなみに、アキちゃんの北高の制服と自転車は大吉が買ってあげたらしい。こういうところは妙に気が利くというか、意外と外堀から埋めていくのが上手いというかw


(第14話)

ヒロシとアキちゃん、そして、海女クラブのみなさん。


ヒロシ「海女って、難しいんですね。」
弥生「いや、簡単だ。」
美寿々「まぁ、誰でもいきなり獲れるもんじゃねえが、アキの場合はちょっとひどすぎるなあ。運動神経が鈍いんでねえが。」
ヒロシ「獲れないのに、なんで自分から・・・」
弥生「そりゃ、おめえ、乙女心だべ。」(ここ、裏声)
美寿々「いいとこ見せてえんだべ。」
弥生「どうせしゃっこい海さ潜るなら、若くてかっこいいメンズのために潜ったほうがええ。」


ここは倖田來未からクレームは来てないらしいw(第38話の例のヤツはDVDでカットされたらしいですね) でも、このあと、アキちゃんが海で溺れかけて、夏ばっばの雷が落ちます。


夏ばっば「おめえみたいなあまちゃんには百年早え。」


これがアキちゃんにとっての最初の壁ですね。


(第15話)

K3NSP合同サミットの開催。


大吉「誰だ!? ここに琥珀そばって書いたの!?」


このときの勉さんが子どもみたいで可愛らしい。吉田副駅長の「何も言えねえ」もこのとき。リアスでは春子とヒロシの会話。ヒロシがアキちゃんのことが好きであると春子にバレバレ。そこにアキちゃんが来て、ナレーション。


「このまま誰も入ってこなければ、あるいは恋が芽生えたかもしれません。誰も来なければ。」


まぁ、いつものメンバーがたくさん来るわけですがw ヒロシはアキちゃんとは縁がなかったですよね。東京編の上野駅で別れるシーンもそんな構図で撮られてました。(第100話)


でも、そんなヒロシがいなかったらユイちゃんもアキちゃんも有名にならなかったわけで。この回でもミスコンのことを口にしたのはヒロシですしね。ヒロシとユイちゃんは北三陸のなかではアウトサイダーっぽい立ち位置ですが、でも、地域の活性化にはそういったアウトサイダーは絶対に必要ってことなのかも。


「去る者は追わず、来る者は拒まず。」


そんなわけで、夏ばっばが何度も口にするこの言葉は、田舎の人たちが持っている閉鎖性やメンタリティに対するメッセージという気もします。


(第16話)

OP前。


ユイちゃん「なに、これ?」
アキちゃん「ミス北鉄だって。」
ユイちゃん「ださっ。行こう。」


・・・と、ユイちゃんはこの時点ではミス北鉄に興味ナシ。そして、ユイちゃんの家へ「お呼ばれ」して、足立先生と春子の話を少し。


ユイちゃん「写真ないの?」
足立先生「そう思ってねえ、卒業アルバム探したんだけど、考えてみたらねえ、天野、卒業のときには学校にいなかったんだよ。」
アキちゃん「あぁ・・・」
ユイちゃん「中退したの、アキちゃんの・・・」
アキちゃん「そうみたい。」
ユイちゃん「へぇ、かっこいい。」
アキちゃん「かっこいいかな?」


別に伏線でも何でもないのですが、でも、その後、グレることを考えるとちょっと意味深ですね。ユイちゃんは春子と実によく似たキャラクターではあるんですが、度胸という点ではまったく違うんですよね。むしろ、度胸はアキちゃんのほうが持っている。その証拠に、ギスギスした雰囲気の足立家でも、きちんとステーキを食べきりましたw


(第17話)


アキちゃん「なんで、そんなに東京にこだわるの?」


アキちゃんとユイちゃんが東京の話をする。


アキちゃん「わざわざ東京行かなくても、ネット使えば欲しいものたいてい買えるし、もう、東京も田舎も変わんないって感じがするけど。」


これは東京を知ってないと言えないことですよね。だから、ユイちゃんが少し苛立つのも無理はない。


ユイちゃん「ネット使えば欲しいものが買えるとか、田舎も東京も変わんないとか、わたしは言えない。そんなの、田舎者の負け惜しみだもん。自然がいいとか、海がきれいとか、東京から来た人が言うのはわかる。でも、わたしは言えない。だったら、都会が好き、わたしは。ビルが好き、地下鉄が好き、ネットカフェが好き。行ったことないけど。だから、行きたい。この目で見たい。」


そして、「アイドルになりたーい!」。駅のホームからトンネルに向かって。ここはものすごく重要な場所ですよね。そして、ユイちゃんはヒロシが観光協会に勤めるようになったので、そのしがらみからミス北鉄に出ることに。


ユイちゃん「まあ、やるからにはグランプリ狙うけど。」


夜に春子の隠し部屋が登場。


(第18話)

北三陸秋祭り。


アキちゃん「ユイちゃんの山車はまだ?」
ヒロシ「ああ、こっちに向かってる。」
アキちゃん「もっと近くで見でえ。もっと近くで見でえな。」


そして、山車から登場するユイちゃん。ここのくだり、何度見ても面白いw そんなユイちゃんに触発されて、アキちゃんは海に潜らせてほしいと夏ばっばに懇願することに。ここでかつ枝さんの息子さんの話も。


夏ばっば「いいが、アキ。おめがウニ一個獲れても獲れなくても、たった500円の違いしかねえんだ。そのたった500円のために、おめ、あやうく命落とすとこだったんだぞ。」
アキちゃん「ごめんなさい。」
夏ばっば「たった500円と引き替えに命を奪うのが海だ。甘く見るんでねえ。」
アキちゃん「ごめんなさい。」
夏ばっば「残された人間のつらさ、考えろ。」


こうしてアキちゃんは最初の壁を乗り越えて、ウニを獲るという次の目標へ。そして、ヒビキさんが観光協会でユイちゃんの動画をアップして怒濤の第4週へ。


(第3週の感想)

第3週から物語が加速していきますね。重要なモチーフとなるトンネルも出てきますし、アイドルというドラマのテーマがクローズアップされていくのもこの週から。そして、「バガみでえな感じ」もw


過去の春子と現在のユイちゃんをダブらせつつ、アキちゃんがそのふたつを行ったり来たりするという展開は面白いですね。もちろん、その二つがまったく同じではなくて、それぞれに違う軌跡を描いていくというのも興味深いです。ずっと先になりますが、「腫れ物」としての先輩である春子がユイちゃんを支えるわけですから、この二人の配置というのはドラマのひとつの骨格となっているのでしょう。



Monday, September 30, 2013

「あまちゃん」 第2週「おら、東京さ帰りたくねぇ」



(第7話)

アキちゃんが疲れて箸を持ったまま眠る。いや、ほんとに疲れてるとそうなりますよね。そして、夏ばっばが「リアスで働けば?」と春子に提案。そのリアスで春子と大吉が田舎について会話。

春子「田舎が嫌いって言うより、田舎にいたころの自分が嫌い。ついでに、あの頃のダサい自分を知ってる人たちも嫌い。もちろん、大吉さんも嫌い。そういう人間関係=田舎だから、わたしにとっては。」


「あまちゃん」のテーマのひとつが田舎と都会ですよね。春子とユイちゃんはアイドルを目指して東京を想い、ヒロシと種市先輩は就職して上京するも夢破れて帰郷する。あと、「ダサい」もキーワードのひとつかもしれませんね。ここのやりとりで大吉は「駅前のショッピングセンターでポロシャツが飛ぶように売れてた頃」と話してるので、終盤に出てきたダサいポロシャツは大吉の発案なんでしょうw


ちなみに、「ゴーストバスターズ」もこの回から登場。


(第8話)


正宗が登場。なにげに正宗は劇中において性格が変わった一人かも。最初はかなりお堅い感じ。そして、組合長が「アキちゃんも深く潜りたいなら、出したほうがいいべや」とかつぐ。田舎の人にありがちな冗談w


(第9話)

春子と正宗の馴れ初めが語られる。


(第10話)

楽しそうに接客するアキちゃんを見て、春子と正宗があれこれ考える。ヒロシがリアスにやってきて足立先生の話を少し。正宗が東京に戻るところで父親と娘の会話。


正宗「ママと二人で何しゃべるんだ?」
アキちゃん「・・・パパのこと。」
正宗「うっそ? どういうこと?」
アキちゃん「だいたい悪口。」


ひどいw でも、こんなものだと思うw


あと、ヒビキさんが登場。その流れで「あと2週間で北三陸ともお別れ」というアキの心情が語られる・・・んだけど、そもそも、春子の言動は矛盾してるんですよね。「離婚はする」「アキは東京の学校に戻る」と言ってるわけで。


(第11話)

ユイちゃんが駅のホームで浴衣姿。アキちゃんの惚けた表情が素晴らしいw そして、ユイちゃんに誘われて秋祭りの準備会場へ。


ユイちゃん「でも、いいな、東京。」
アキちゃん「いいがな?」
ユイちゃん「お台場とか、行ったことある?」
アキちゃん「ない。」
ユイちゃん「ないの!? 原宿は?」
アキちゃん「ない。」
ユイちゃん「えー、うそ!? なんで?」
アキちゃん「なんで、って用事ねえし、ママが行っちゃダメって。」
ユイちゃん「いや、もったいないよー。」


このあとのナレーションが好き。


「ユイの口から出て来るのはアキの知らない東京でした。東京で生まれ育ったアキには見えない景色があるんだとアキはユイから教わりました。ということは、アキの見ているこの町の風景も、ユイには見えてないのかもしれない。綺麗な海も、格好良く切り立った岩場も、田んぼを走るローカル線ののどかさも、ユイには見えていないんだ。」


そして、勉さんの琥珀採掘場で「東京さ、帰りたくねぇ!」と叫ぶアキちゃん。勉さんはみんなが知らない出来事を記憶に止めている不思議な存在ですよね。まるで、琥珀が太古の昔のアリを閉じ込めているかのように。


(第12話)

夏ばっば「ここさ、座れ。」


ウニを割ってアキちゃんに食べさせる。


夏ばっば「どんだ?」
アキちゃん「超うめぇ。」
夏ばっば「・・・忘れんな。」


春子と夏ばっばは狸寝入りの話。翌日、北鉄のホームで春子とアキちゃんは、決意したんだか、しないんだか、ハッキリしないけども、とにかく、北三陸に残ることに。ここらへんの説明のつかない動きが面白いですね。あと、最初に見たときは筋ばっかり追ってて、そこまでは感じなかったのだけど、今、見返すと、ここのアキちゃんが「うん。」「うん。」と応えるときの表情は軽く泣ける。


(第2週の感想)

いわゆる「小ネタ」はまだまだ控えめで、ここまでがイントロダクションという感じ。ただし、田舎と都会の対比はすでに前面に出て来ていて、アキちゃんとユイちゃんの会話とそのあとに続くナレーションはドラマのテーマを語っているように思いました。田舎と都会のどちらが「かっけー」とか、そういう考えそのものが「ダサい」のかもね、と。また、「都会みたいに賑やかになること」が目標でいいのか、と。


そもそも、田舎の人が語る都会ってのはダブスタですから。「東京に行ってキレイになったね」「東京は水も空気もまずい」がワンセットになっていて、本音の部分では「自分のいる場所が好きか、嫌いか」を東京をダシにして語っているだけだったりしますしね。



Saturday, September 28, 2013

「あまちゃん」 第1週「おら、この海が好きだ」



あまロスに対処するには「あまちゃん」を繰り返し見るしかない。ということで、見返しております。んで、ついでに、感想も残しておこうかな、と。


(第1話)

いきなり過疎のくだりから入るんだから、大胆ですよね。しかも、ナレーションは「大吉のしみったれた話」。そして、まめぶの扱いも最初から何も変わらない。結局、春子のメルアドを安部ちゃんがどうやって知ったのか、それは明かされないままでしたね。(深読み禁止ってことですね)

しかし、第1話の海はキレイに撮れてます。「しみったれた話」から「海」への転換が素晴らしい。あと、ウニを投げるシーンは終盤にアキちゃんがやってましたね。


(第2話)

アキちゃんがウニを8個食べる。(家族割引で3000円w)


安部ちゃん「あたしなんか、校庭の片隅でひっそりと干からびている蝉の抜け殻ですもの。」


ここらへんもあとで出て来ますね。


(第3話)

アキちゃんの東京での暮らしが語られる。


春子「暗いの、誰に似たんだか。」


もやしの落ちる音が出て来ますが、ここも後半で繰り返されますね。吉田副駅長、勉さん、ヒロシなどが登場。そして、海開き。この頃のアキちゃんはまだ微妙に東京の香りが感じられるんですよね。言葉もファッションも。んで、夏ばっばに海に突き落とされて、その後、現地化していくw


吉田「今夜はもう帰れないさ。」


あと、ここらへんから「打ち解けて」くるw


(第4話)

海に突き落とされたアキちゃんの映像、キレイに撮ってあるよなー。あと、弥生さんがローラーでゴロゴロやってますw ここらへんから本領発揮といった感じ。


春子「居場所がなくってさー。」


あと、ロクに仕事をしてない観光協会とか。田舎を「自然が豊かで、人が暖かい」と変に単純化して描かないのが素直で良いです。その一方で、アキちゃんは北三陸に馴染み始めていって、そのように東京と北三陸を対比させてから、最後にユイちゃんが登場。よく出来てますね。


(第5話)

アキちゃんとユイちゃんが出会う。

ユイちゃん「高校生?」
アキちゃん「んだ。2年生だ。」
ユイちゃん「はは、訛ってる。わたしも高二。よろしくね。」

あれですね。わたしは種市先輩推しだけども、でも、結局のところ、男女の恋愛よりもアキちゃんとユイちゃんの出会いのほうが重要なんですよね。当たり前だけど。ユイちゃんと出会って、そのあと、いろいろと考えて、そして、アキちゃんは自分から海へ飛び込む。


(第6話)

自ら海へ飛び込んだアキちゃんの海中撮影のシーン。ここもキレイ。でも、海は再生の象徴として描かれつつも、同時に、怖い存在として最初から描かれています。小さいときの春子の回想シーンがそれ。

春子「海見てるとさ、不安になるのよ。お母さん、このまま顔出さないんじゃないかって。流されて死んじゃったんじゃないかって。」

ちなみに、ここで出て来る子役の女の子、可愛い。春子とは思えないくらいにw(コラッ


<第1週の感想>

イントロダクションなんだけど、最初からすべて入ってます。だから、見返すことが出来るんですね。そして、故郷編(北三陸編)、東京編、311のあと、すべてのパートで同じことをやっているし、最終的にたいして成長もしないのだけど、それがテーマでもあります。ただ、それだけに東京編は大事だったな-、と。「あまちゃん」の実質的な主人公は春子で、そのカウンターとして鈴鹿ひろ美が出てきますしね。鈴鹿ひろ美は春子にとって乗り越えるべき過去でもあるのだけど、同時に、その過去を乗り越えるためには鈴鹿ひろ美の存在がどうしても必要だったような気がします。まぁ、アキちゃんは最後の最後まで鈴鹿さんのことを友だちだと思っていたようですがw


(つづく)

Wednesday, August 7, 2013

Symphony in Slang


MGM Cartoon "Symphony in Slang" (1951) 投稿者 100X


赤字:イディオム
青地:それ以外
緑字:固有名詞


Saint Peter- You may enter. Next Please.

Man- Howdy, Dan. What's new? How's tricks? What's cooking?

Saint Peter- What's cooking? How's tricks? Hmm. What a strange language you bring from the earth. I don't seem to follow you. I shall refer you to the master of the dictionary, Noah Webster. Perhaps he can understand you. Mr. Webster, this newcomer's vocabulary is so unusual that I am unable to record his life on earth. Would you mind seeing if you can comprehend his odd manner of speech? Now, young man, go ahead with the story of your life.

Man- Sure thing, Dad! Well, I was born with a silver spoon in my mouth.

Webster- Silver spoon in your mouth ?

Man- Yes, silver spoon in my mouth.

Webster- Mmmm... proceed.

Man- Then I seemed to grow up overnight. One day at the crack of dawn, I got up with the chickens to hunt a job and got a job slinging hash because the proprietor was shorthanded. But I couldn't cut the mustard, so the guy gave me the gate.

So I went back to my little hole in the wall. I was beside myself with anger. Then I decided to get a train ticket to Texas and there made some dough punching cattle. From there I flew to Chicago. There a beautiful girl stepped into the picture.

Our eyes met. My breath came in short pants, and I got goose pimples. I was all thumbs. Mary's clothes fit her like a glove. And she looked mighty pretty with her hair done up in a bun. She had good-looking pins, too. Finally, she gives me a date. I put on my white tie and tails, and, brother, did she put on the dog!

We went around together for some time... painting the town red, going to the Stork Club... and a box at the opera. After the opera, I had a cocktail, and Mary had a Moscow Mule. At dinner, Mary let her hair down and ate like a horse. By then, my money was running out on me, so I write a check. It bounced. Brother, I was really in a pickle. The proprietor drew a gun on me, but I gave him the slip and hid in the foothills. In no time, the law was on my heels.

On the witness stand, the judge tried to pump me, but it seemed that every time I opened my mouth, I put my foot in it. So he sent me up the river to do a stretch in the jug. I was up against it and felt myself going to pot. But I raised the big stink, and they finally let me talk to an undercover man. After going through a lot of red tape, he sprung me. It sure felt good to stretch my legs again, and I went straight to the bus station and caught a Greyhound for New York.

On arriving, I dropped in on Mary and threw myself at her feet. I asked her to marry me, but she turned her back on me and got on her high horse. I couldn't touch her with a ten-foot pole. She wouldn't say a word. Guess the cat had her tongue. So I walked out on her.

After that I went to pieces. Feeling lonely, I went down to Joe's Malt Shop where a bunch of the boys were hanging around. Ah, the music was nice. The guy at the piano played by ear. I felt a tug at my elbow. It was the soda clerk. We sat down and chewed the rag a while.

I heard from the grapevine that Mary was going around with an old flame. That burned me up because I knew he was just feeding her a line. But the guy really spent his money like water. I think he was connected with the railroad. As they danced, I tried to chisel in, but the guy got in my hair, so I left.

Outside it was raining cats and dogs. I was feeling mighty blue, and everything looked black. But I carried on. I went to the Thousand Islands. There I became a beachcomber. But I still thought of Mary, and a tear ran down my cheek.

So I send her a cable. Next day, she sends me back a wire. I rushed back to the US on a cattle boat and hotfooted it over to Mary's apartment. But when I opened the door, I noticed quite a few changes.

Why, Mary, Mary had a bunch of little ones. The groom had his hands full, too. So, all this struck me so funny that I died laughing. And here I am.

Well, what do you think? Did you follow me?

Webster- Well, I... uh..., I, mm, he, well, I... uh...

Man- What's the matter? Can't you talk? Has the cat got your tongue?

Sunday, March 17, 2013

「泣くな、はらちゃん」最終回の予想(家族の会話形式で)



ま、つまり、我が家の会話を再構成して、予想のかわりに書いておこうかな、ということですw


W 「どういうハッピーエンドになるのだろうねー。」
R 「そうねー、ハッピーエンドになっても、その先が大変と言ってたしねー。」
W 「あれでしょ、まだ、越前さんがマンガ家になるという予想なんでしょ?」
R 「そう。そこは変わってない。どうなるか、わからないけどね。」
W 「でも、越前さんはまだまだの腕なんだね。」
R 「そうねー。まぁ、画力ゼロのわたしから見れば、それこそ神様に見えるけど。」
W 「そうだね。」
R 「そこは肯定するところではない。」
W 「こりゃ失敬。」
R 「・・・まぁ、それはいいとして、物語のなかで越前さんはまだ神様になってないよね。」
W 「どういうこと?」
R 「だって、グチではなく、祈りをこめてマンガを描いたのはこれまでで一回だけでしょ。第5話で玉田工場長をたまちゃんとして描いたときだけ。」
W 「ま、確かに。」
R 「神様という単語がたくさん出てくるけど、でも、わたしは第1話の神社のシーンから今の今まで越前さんは神様になってないと思う。」
W 「第1話の神社のところ、こだわるねー。」
















R 「だって、あの場面はものすごく凝っているもの。ふたりが少しずつ神社の境内から外へと移動しながら、それぞれのセリフにも強弱がついているわけで。あれは神様から人へと視点が移っていく過程だと思う。そして、第2話の冒頭で、はらちゃんはすでに恋に落ちているんだから。」
W 「そこからは恋愛のお話だしね。」
R 「第4話でひとつの区切りになっていて、あれは越前さんがはらちゃんのことを現実の男性だと思っていたから責めてるわけだよね。バカにしないで、と。これ自体が本当はすごいこと。現実の人間はきらいと言ってた越前さんが現実の男性に向き合ってるわけだし。」
W 「でも、すれ違う。」
R 「そう。そして、面白いことに、すれ違いの原因でもあるマンガノートがそのすれ違いを教えて、ふたりの恋は続いていく。」
W 「で、第5話で『両思いなんです、あたしたちは。』で無理やりに壁を乗り越える。」
R 「はらちゃんのほうが一直線で無茶なことをしてるように見えるけど、実はドラマ全体としては越前さんのほうが大胆だよね。」
W 「第7話でも赤いガムテでノートを封印してるしね。」
R 「今回の第9話だって、マンガ世界へ自分から入っていくというのは展開としては予想されてたけど、でも、かなり無茶な話だよね。」
W 「まー、すごい思いきりだよね。」
R 「うん。」
W 「ただ、マンガを描かないと、マンガ世界のみんなは死んでしまうんだよね?」
R 「そう。あの第6話のラストで『忘れられて死ぬ』を聞いたとき、ハッピーエンドになるんだろうなと思った。」
W 「描き続けることに繋がる、と。」
R 「それもあるし、あと、マンガ世界のみんなはわたしたちと何も変わらない存在だとわかったしね。人は二度死ぬ。これはわたしたちも同じ。そして、越前さんは第5話で『人が死ぬのが嫌い』と言ってるわけで。」
W 「なるほど。マンガが描けるのは越前さんと矢口さんのふたりだけど、矢口さんが矢東薫子として復活する流れはもうないのかな?」
R 「わたしはないと思う。第9話のセリフだけでも、こんな感じだし。」


(第9話)
ユキ姉「居酒屋だけじゃなくて、いろんな場所を描いてくれたし。」
はらちゃんたち「ん?」
ユキ姉「マンガの絵だって、ずっと上手だったし。」
はらちゃんたち「ん?」
ユキ姉「同じことばっかりじゃなくて、いろんなことしゃべれたし。いろんな服だって着れたしさ。」
ユキ姉「好きだったわよ、あなたがつくる世界。もう、そこに戻れないのはわかってる。いまの神様は越前さんだからね。
笑いおじさん「まぁ、あれだよ。神様の神様。いまの神様をよろしく頼むよ。
マキヒロ「頼りないんスよね。雑なんスよ、いろいろ。」
あっくん「そうなんですよ、広がりがないっていうか。」
笑いおじさん「まぁ、力不足だな。」


W 「なるほど。」
R 「セリフ起こしは伊達じゃない。」
W 「いや、単なる趣味でしょ。」
R 「はい。否定はしません。」
W 「で、越前さんがマンガ家になる流れと予想しているわけだね。」
R 「そう。第8話でも、こう言ってる。」


(第8話)
はらちゃん「わたしの顔は好きですか?」
越前さん「えぇ、まぁ、だって、あたしが描いたわけですし。矢東先生のはらちゃんを自分好みに少しアレンジしましたし。」


W 「アレンジか、確かに公式サイトの矢東薫子のマンガと越前さんのマンガはかなり違うよね。」
R 「別物とまでは言わないけど、かなりポップになってるね。そのうえで、矢口さん自身がこう言ってる。」


(第9話)
百合子さん「いい神様だよ、あなたは。」
越前さん「え、なんか不満だらけみたいですけど。」
百合子さん「それくらいがいいんだよ。あたしのはさ、クオリティが高すぎて、だから、こっちが追い詰められてしまった。ゆるいくらいでちょうどいいんだよ、世界は。不満があるくらいのほうがさ。


W 「確かに、この流れだと矢口さんの復活というのはなさそうかな。」
R 「でしょ?」
W 「ただ、越前さんがマンガ家になるとして、はらちゃんとの恋はハッピーエンドになるの?」
R 「そうねぇ、そこは難しいところだよね。わたしは第6話ではらちゃんが言ってたことが大事な気がする。」


(第6話)
はらちゃん「家族っておもしろいですね。」
越前さん「え?」
はらちゃん「あんなふうにケンカしても一緒にいるんですよね?」
越前さん「ええ、家族ですから。」
はらちゃん「はい。それって、なんだかすてきですよね。」
はらちゃん「結婚しないと出来ないものなんですか、家族って。
越前さん「え、いや、そうとは限らないというか、いろんな場合がありますけど。
はらちゃん「あぁ、そうですか。じゃあ、わたしの家族はちゃんとマンガのなかにいますね。」
はらちゃん「ときどきケンカもするんですよ。それでも、ずっと一緒にいます。それって、家族ですよね?」


W 「結婚にも、いろいろあるんじゃないか、と?」
R 「そう。結婚というと、たいていは男女がいて、そのふたりが結婚して一緒に暮らすと思うよね。でも、それだけじゃないよね、というメッセージ。」
W 「第9話でも似たようなやりとりがあったよね。」


(第9話)
越前さん「なんですか、それ。なんで、あたしが徒競走に誘わなきゃならないんですか。いい年した大人はそんなことしません。」
はらちゃん「大人はしないんですか? ときょうそう?
越前さん「は? いや、そりゃあ、やる大人もいますけど。
笑いおじさん「するんじゃん。」
越前さん「わたしはしないんです。だいたい嫌いなんです。子供のころから大嫌いなんです。」
マキヒロ「なんでですか?」
越前さん「なんでって・・・」
たまちゃん「遅いからか?」
越前さん「そうですっ。」
はらちゃん「では、さっかーはどうでしょうか?」
越前さん「女のひとはやりません。
はらちゃん「あ、そうなんですか!? へえ!
越前さん「あ、いや、や、やる人もいますし、最近は増えてるっていうか。
笑いおじさん「やるんじゃんか。」
越前さん「でも、わたしはしないんですっ。」
たまちゃん「へたくそだからか?」
越前さん「そうですっ! スポーツは全部だめなんですっ!」


R 「よく気がつきました!」
W 「そりゃ、一緒に見てるもの。」
R 「ま、そりゃそうか。ここでも徒競走は子供がやるもの、サッカーは男性だけがやるもの・・・とは限らないと言ってるわけで、つまりは固定観念を打破しましょうよ、というメッセージだよね。」
W 「そこから、いわゆる一般的な結婚とは違う『結婚』があってもいいんじゃないか、となるんだね。」
R 「そう。もしかしたら、ドラマのあちこちに出てくるレインボーはそれを意味してるのかもしれない。」
W 「ま、そうだよね、あれはそういう解放を象徴するカラーだし。」
R 「もちろん、わたしもそれが具体的にどういうカタチになるのか、まだわからないけどね。ただ、第6話に続いて第9話でも、それが示されていたと思う。」
W 「どこの場面で?」















R 「越前さんがマンガノートの封印を解いて、赤いガムテが床に落ちる場面。あれは、越前さんのいる現実世界ではらちゃんと幸せになることをあきらめたという暗示に見えるけどな。」
W 「そんなふうに見てたの?」
R 「だって、わざわざ赤い色にしてるんだよ?」
W 「ま、そう言われればそうだけど。でも、ふたりの赤い糸はどうなってしまうわけ?」
R 「もちろん、切れたりしてないよ。だからこそ、越前さんはマンガの世界へ入っていったわけだし。」
W 「だけど、はらちゃんは複雑そうな表情を浮かべてたよね。」
R 「そうね。だから、はらちゃんは越前さんに外の世界へ戻るように諭すんだろうね。はらちゃんは家族の大切さを知ってるし、お母さんとひろしから見れば、これは越前さんが消えていなくなることなんだと理解してるからね。それに、はらちゃんは恋を通じて、越前さんの成長を見てるし。」
W 「そんな越前さんがマンガ世界のなかに閉じこもるのを良しとしない?」
R 「はらちゃんは越前さんのことが本当に好きだからこそ、だからこそ、それをダメだと言えるんじゃない?」
W 「本当に好きじゃなかったら・・・」
R 「何も言わないよね。そういうもんでしょ?」
W 「まあね。ちょっと話が脇に逸れるけど、マンガの世界に入っていくことをどう思う?」















R 「どう思うって、まぁ、後ろ向きに見えるだろうけど、みんな、程度の差こそあれ、そういう世界を自分のなかに持ってるよね。じゃなきゃ、何のために本を読んだり、音楽を聴いたりするわけ?」
W 「そうだね。」
R 「それが究極のカタチになると、越前さんのようにマンガの世界に入ることになるわけで、もちろん、そこまで行くとマズいのだけど、でも、それを引き留めるものがあれば、戻ってこれるよね。」
W 「家族とか。」
R 「友人だってそうだろうし、誰であれ、そう思ってくれる人はどこかにいると思うけどな。」
W 「後ろ向きだけど、ポジティブに考えるんだね。」
R 「だって、誰かが手を繋ぎ止めてくれてる後ろ向きと、他人の手を振りはらって走り出しちゃう前向きだったら、後ろ向きのほうが健全でしょ。」
W 「なるほどね。で、どうやって外の世界に戻るのだろう?」
R 「そこはまったくわからない。ただ、そこで初めて、越前さんの下の名前が出てくるんじゃないかな。」
W 「かもね。まだ出ていないしね。」
R 「わたしのディテールの予想はあんまり当たらないのだけど、それでもいいなら、ちょっとだけ予想を言う。」
W 「ていうか、言いたいんでしょ。どうぞ。」
R 「わたしははらちゃんはお父さんの面影が入ってると思う。越前さんの言ってた『アレンジ』ね。」
W 「それ、第2話から言ってるよね。」

















R 「うん。だって、第2話で初めて越前さんが笑ったときの、あのはらちゃんの微笑みはお父さんのそれに見えるので。」
W 「ふむふむ。で、第10話でどうなるのかな?」
R 「お父さんの面影を持つはらちゃんが、越前さんに下の名前で呼びかけるんじゃないかな。もちろん、これは矢口さんが描くしかないけども。」
W 「でも、矢口さんと越前さんの画風は違うよ?」
R 「そうなんだよね。だから、そこが難しい。チッ、ダメダw」
W 「まぁまぁまぁ。」
R 「ともあれ、越前さんを外の世界に戻すのがはらちゃんであるのは間違いないかな。」
W 「そうだね。はらちゃんは家族の大切さを知ってるわけだし。」
R 「それにあらすじにも書いてるし。」


ストーリー|泣くな、はらちゃん|日本テレビ

(第10話)
「そんな越前さんは好きではありません」
自分の世界を、そして自分自身を好きになろうとしない越前さんに、
はらちゃんはそう告げると、再び揺れ始めた漫画の世界から、
越前さんを現実の世界に連れ出そうとする。


W 「まぁ、これもすごい話だと思うけどね。空想の世界に埋もれそうになる人間を、その空想の世界の人間が『それじゃダメですよ!』と引き留めるのだから。」
R 「まぁ、そこをある種の皮肉と考えることも可能だけど、そこらへんは趣味じゃないのでパス。それに、はらちゃんは二次元のキャラクターじゃなくて、人間ですから。」
W 「ふむ。ともかく、ハッピーエンドになってほしいよね。」
R 「そうそう。とにかく、あのふたりがカタチがどうであれ、それでも、ハッピーエンドになってくれれば、それが一番。」
W 「だね。」
R 「いずれにしても、越前さんはまだ神様になってないというのが、私の考え。そして、ラストで神様の自覚を持つところで終わる。」
W 「はらちゃんのほうは?」
R 「はらちゃんは第6話の時点で、とっくに越前さんを追い越していて、すでに伴侶のようなもの。」
W 「伴侶か。また、好きそうな言葉だね。」
R 「ていうか、言葉なんてどうでもいいんですよ。横にいてくれれば、それだけでいいんだから。」
W 「そうだね。」
R 「そうそう。神様だってひとりじゃ寂しいでしょ。神様は孤独で、そして、残酷であらねばならないなんて、誰が決めたのか。そうじゃない神様がいたっていいんじゃないか。それに、横に誰かがいたらもっと良い神様になれるでしょ。」
W 「神様が自分に似せて人間をつくったのか、人間が自分に似せて神様をつくったのか、どちらかわからないしね。」
R 「そそ。区別なんてつけようがないですよ。そんな区別で誰かを好きになったり、嫌いになったりしないでしょ。はらちゃんが越前さんに恋をしたときだって、越前さんのことを神様とだけ思ってたわけじゃないしね。すでに、ひとりの女性として見ていて、それが混じり合った状況だったんだし。」
















(第1話)
越前さん「とにかく、わたしは、あなたが言ってるような人ではありません。特別な人間じゃないんです! ちっぽけなどうでもいい存在なんです。買いかぶりはやめてください。迷惑です。」



W 「やっぱり、ここにこだわるんだねw」
R 「でも、ここの表情でわかるじゃん。これは好きな女性が自分なんてどうでもいい存在だと言ったので、それで悲しんでいる男性の目ですよ。」
W 「まぁ、確かに、ここはそんな感じがするよね。」
R 「あとは、両思いなのだから、はらちゃんとみんなのほうも、より良いマンガになるように努力をするはず。」
W 「越前さんも、神頼み禁止って言ってたしね。」
R 「第9話の冒頭はとても面白いよ。子供が地面に落書きをしてるように見えて、でも、あそこで話しているのは大人の会話だよね。」
W 「と言うと?」



(第9話)
はらちゃん「どう思います、ユキ姉。」
ユキ姉「はらちゃんは?」
はらちゃん「わかりません。でも、黙ってようっておとこたちで話し合って決めたんです。だって、せっかく、わたしたちの神様、越前さんだってああいうふうに言ってくれてるわけだし。



R 「第8話の冒頭では、車が欲しい、つまみが食べたいと各自で好きなことを言ってたけど、この第9話では越前さんを気遣って、黙っておこうと決めてる。」
W 「これはあれだよね、こちらの世界は汚いこともあるけど、その汚いことにも二つの顔があるということだよね。」
R 「そう。はらちゃんたちが越前さんに言わないでおこうというのは気遣いだけども、でも、秘密を持つということでもあるしね。あえて言えば、これは『優しい嘘』というやつ。」
W 「つまり、嘘のすべてが悪いものとは限らない。」
R 「これはお母さんとのやりとりでも言われてること。」


(第9話)

笑いおじさん「悪いお天気ですね、っていうのはあるのか?」
越前さん「えっと・・・」
お母さん「まあ、雨のときとかね、あいにくのお天気ですねーとか言うわねー。」
はらちゃん「水がこう、ばぁーっとなるやつですね。」
マキヒロ「雨は悪いお天気なんですか?」
お母さん「悪いってわけじゃないんだけど。ねえ。雨降ってもらわなきゃ困るし、雨を待ってる人もいるしね。
あっくん「悪いけど、必要ってことですか。」
お母さん「まあ、そうね。」
たまちゃん「むずかしいな、おい、こっちの世界は。」



R 「何も知らないように見えて、でも、気付かないうちに彼らも雨と同じように嘘を使い分けている。」
W 「それは悪いことなのかな?」
R 「わたしにはわからない。でも、矢口さんが心配している『現実の世界に染まる』というのは、本当はそんなに単純なことじゃなくて、こういう良い面も含まれているってことじゃない? だって、人間ってのは白いキャンバスのように真っ白だったとしても、じーっと染まるのを待つだけじゃないでしょ?」
W 「そうかもしれないね。『親がなくとも、子は育つ』ってやつかな。」
R 「ちょっと違うような気もするけど、まぁ、マンガ世界のみんながただ子供みたいな存在だと考えるのは、ある意味で、見ている側の驕りだとわたしは思うけどね。」
W 「厳しいねー、相変わらず。」
R 「そんなことないですよ。これでも、ずいぶんと角が取れました。」
W 「ま、そういうことにしておきましょう。で、話を戻すと、そうやって神様とみんなのどちらもがんばるという感じなのかな?」
R 「そう。神様とその世界の人間のあいだに両思いがあるとすれば、それはお互いが寄り添って、そして、力を出し合うということ。それも素敵なハッピーエンドだと思う。」
W 「まあ、楽しみに待ちますかね。堪えきれなくなったら、シナリオBOOKもあるしね。」
R 「でも、最終回の前に本が届いても、本は開かないよ。」
W 「ほんとかな・・・」
R 「いや、ほら、まぁ、あとはそのときの気分次第っていうか(ゴニョゴニョ)。」
W 「で、この会話をブログに書いてるわけ?」
R 「もちろん、ここに書いてる会話は再構成してるし、脚色してるよ。」
W 「でも、日常の会話のなかで『まぁまぁまぁ、飲んで飲んで』とか言ってるでしょ。」
R 「それは仕方ないよ。このドラマのフレーズ、面白いんだものw」
W 「確かにね。泣かせつつ、笑わせるんだから、すごいドラマだよね。」
R 「ほんとにね。」
W 「お、なんとなくまとまったかもね?」
R 「そうですね? じゃ、おしまい。」





おわり

Tuesday, March 12, 2013

「泣くな、はらちゃん」第8話の感想




泣くな、はらちゃん #8 投稿者 yamutya1


時間的に順番が前後しますが、重いパートから先に書いていこうと思います。あらかじめお断りしておきますが、以下に書く内容はわたしの主観にもとづくものであり、「そういった見方をすべき」などと押しつけるものではありません。よろしくお願いします。


【1】最後の場面














(第8話)
はらちゃん 「これが、この世界・・・」


映画「フィフス・エレメント」を思い出した人も多いでしょうね。そして、放送日は2013年3月9日。3.11から2年が経とうとするタイミングで、あの演出をしたわけです。もちろん、作り手からの強いメッセージなのでしょう。わたしはこれをもって不謹慎だとは考えませんが、かなりの冒険ですよね。第8話はこの最後の場面に象徴されるように、全体としてメッセージ色が強く、3つのレベルから「忘れないで」というメッセージを発しているように感じられました。


<マンガ世界から>

(第8話)
ユキ姉 「わたしたちのことを捨ててしまうの? 忘れないでよ、捨てないでよ、わたしたちのこと。」


これはマンガ世界の人間たちが「忘れられて死ぬ」に繋がるメッセージですね。


<ドラマのなかの現実世界から>

(第8話)
はらちゃん 「これは、この世界の出来事ですか?」
お母さん 「あぁ、そうね。悲しいけど、この世界の出来事なのよ。全部。嫌な世界よね、ほんとに。」


テレビに映し出された映像はすべて現実のものですから、そのインパクトはマンガ世界のみんなだけでなく、視聴者である我々にも伝わってきます。さらに、どこか牧歌的で、いい人ばかりが出てくる「泣くな、はらちゃん」というドラマにインサートされることで、より強い衝撃を生み出します。


<ドラマの作り手たちから>

「これはドラマという虚構だけども、その中から『現実の出来事をどうか忘れないで』と現実の視聴者のみなさんに伝えたい。」


東日本大震災の映像を無音で10秒ほど流しています。わたしにはあれが黙祷のように感じられました。その他の映像も、マンガ世界のそれぞれのキャラクターに合わせたものとなっていましたね。(マキヒロ=車と戦車、あっくん=犬と殺処分、笑いおじさん=食べものと飢餓、たまちゃん=家族とホロコースト)


この最後の場面については賛否の分かれるところでしょう。わたしは不謹慎うんぬんとは違う理由で判断を保留しています。なぜなら、ドラマはストーリーとしてきちんと完結している必要があり、もし、この演出によってその後のストーリーに影響が出てしまうとしたら、やはり、それは否定的な評価に繋がるからです。その成否は第9話を見てみないと判断がつきません。


「泣くな、はらちゃん」は様々なテーマを内包していますが、それでも、その基本はラブストーリーであってほしいとわたしは考えています。もし、第9話が「世界」についての問答だけとなってしまったら、それは少し味気ないものに感じられるでしょう。逆に、これだけ重い演出を行ったにも拘らず、きちんとラブストーリーを見せてくれ、さらには視聴者が思わず笑ってしまうような、そんなやりとりまで描かれるとすれば、それは快挙と言ってよいかもしれません。




【2】最初の場面















第8話の冒頭で映し出されるマンガ世界。第7話で「外の世界にずっといる」と決めたため、無人のままです。荒れ果てた町のようにも見えます。そもそも、マンガ世界から外の世界へ出てくるきっかけは強い振動であり、その揺れで散らかったテーブルや椅子はマンガの世界のみんなが直していました。このマンガ世界の居酒屋も、我々のいる現実と同じように、「人間」がいなければ荒れ果ててしまうのでしょう。














(第8話)
越前さん 「あの、この状況については、あとでゆっくり順を追って説明するので。ごめん。」
お母さん 「ほんとよ。何なのよ、いきなり。わたしは合宿のおばさんかって話よ。」


なので、ずっとこのままの生活が続くことはなさそうな気がします。また、長く続いてはいけないのでしょう。お母さんのセリフにも「合宿」という言葉が出て来ますしね。この「合宿」を「避難」と言い換えてもよいかもしれません。なにより、冒頭に映し出されたマンガ世界の居酒屋にはらちゃんのギターが置きっぱなしになっているのですよね。

















外の世界に出たままのはらちゃんは、やはり、何かが欠けているのでしょう。はらちゃんとあのギターのあいだには強い結びつきがありますし、あのマンガ世界の居酒屋ははらちゃんたちにとっては「故郷」のような場所であるわけですから。




【3】矢口百合子=矢東薫子















(第8話)
矢口さん 「あのさ、越前さん。矢東薫子って漫画家。」
越前さん 「はい。」
矢口さん 「あれ、あたし。」

「あれ」と今の自分と距離を置くかのように言う矢口さん。


(第8話)
矢口さん 「まぁ、簡単に言うと、わたしはスランプっていうかさぁ、要するに、描けなくなっちゃってさぁ。逃げたんだよねぇ。放置してたんだ、ずっと。自分の描いたマンガ世界をね。」


矢東薫子がマンガを描かなくなった理由は「もう描けなくなった」からだったのですね。シンプルに見えますが、創作者にとっては実につらい話なのだと思います。


(第8話)
矢口さん 「でもさぁ、あたし、怖くなっちゃったんだよね。こんな自分が神様だなんて、怖くなっちゃったんだ。荷が重すぎるっていうかね。誰かの神様なんて無理。あたしには背負いきれないって思ったんだ。」
(第8話)
矢口さん 「それきり二度と、マンガを描くことはなかった。ずっと逃げて生きてきた。別に、人を殺したわけじゃないけど、あたしにとっては同じことだからね。」


そして、矢口さんにとっても、マンガ世界のキャラクターは「人間」だった。


(第8話)
矢口さん 「だから、驚いたよ。越前さんがあたしの描いたマンガの人物たちを使ってマンガ描いててさ。そこから、はらちゃんが出て来たときは、ほんと、驚いた。でも、嬉しかった。あぁ、ここで生きててくれたんだ、って思ってさ。ありがとう、越前さん。嬉しかったよ。」


これを受けて、最後のくだりで越前さんはマンガ世界のみんなに・・・


(第8話)
越前さん 「安心してください。あたしは、みんなのこと、殺したり、忘れたり、決してしません。だから、安心して。」


・・・こう告げています。越前さんは第6話でストレス発散のためにマンガを描くことをやめましたが、ここで改めて、みんなの前で、みんなのために、みんなのことを「殺したり、忘れたり、決してしません」と誓いました。














(第8話)
矢口さん 「どこに行きますかねぇ。」


「この場所を去ろう」と決心した矢口さんが愛おしそうに町を見つめるシーンがとても美しいです。薬師丸ひろ子さんはとても不思議な雰囲気を持った女優さんですね。




【4】箱いっぱいのキャンディー


おそらく、第8話はラストシーンが最も話題となっているのでしょうし、わたしも驚かされはしましたが、でも、個人的なお気に入りはここです。


(第8話)
はらちゃん 「越前さーん! 越前さん! どうぞ!」
越前さん 「なんですか、これ。」
はらちゃん 「越前さんに。どうぞ。今日は3月14日で、ホワイトデーという日だそうです。田中さんに教えていただきました。バレンタインデーにチョコをいただいた男性がキャンディーをお返しする日だそうです。なので、わたしから、越前さんに、ホワイトデーです。」













越前さん 「全部使ったの、お金?」
はらちゃん 「はい。働いて、いただいたお金と交換しました。越前さん?」
越前さん 「もうっ。なんで、全部使っちゃうんですか。はらちゃんだって他に欲しいものがあるでしょう。」
はらちゃん 「あ、いえ。わたしは越前さんがいれば、何もいりません。」


はらちゃん・・・、泣かさないでくれ。・゚・(ノД`)・゚・。


(第8話)
越前さん 「もうっ。バカ。」
はらちゃん 「越前さん、お、怒ってますか?」
越前さん 「怒ってなくても、バカって言うんです。」
はらちゃん 「ん? あ、ああ、そ、そうなんですか。・・・越前さん! 抱きしめますか? チュウ、またの名のキスしますか?」
越前さん 「しません! バカ!」
はらちゃん 「怒らなくてもバカって言うんですよね。」
越前さん 「今のは怒ってます。」
はらちゃん 「え!? そ、そうなんですね・・・」
越前さん 「ウソです。ありがとう。」















そして、越前さんが冗談を言うんですよね。わたしはここがとても好きです。第8話はラストシーンの衝撃が大きくて、他のお話が霞んでしまったところがあるのですが、越前さんやマンガ世界のみんなが意識して冗談を言うようになりました。
















(第8話)
笑いおじさん 「あの、神様、ひとつ教えてほしいことがあるんだ。」
笑いおじさん 「おれはマンガのなかで何がおかしくて笑ってるんだ?」
越前さん 「あ、えっと・・・、なんででしょう?」
笑いおじさん 「あ、やっぱり、考えなかった~。」
はらちゃん 「でも、泣いてるより、笑ってるほうのがいいじゃないですか。ねえ?」
マキヒロ 「そうそう、その通り。」
笑いおじさん 「大丈夫!」
あっくん 「まぁまぁまぁ、飲んで飲んで。」
ユキ姉 「殺すしかないね!」
はらちゃん 「・・・あ~、もう、びっくりした。ユキ姉、もう!」


越前さんのマンガで口にしていたセリフを冗談っぽく言ってみるマンガ世界のみんな。


(第8話)
越前さん 「今までありがとう。ずっと一緒にいてくれて。それなのに、嫌なことばかりしゃべらせてごめんなさい。ほんとに、ごめんなさい。でも、あなたたちがいてくれたから生きてこれたんです、あたし。」


このように謝った越前さんを気遣って、意識して演じてみせたわけですね。第1話では「同じことばっかり言わされてうんざりだ」とこぼしていた、お約束の演技を。ユキ姉などは矢東薫子との過去を語ったあとなのに、それでも、越前さんとみんなのために「殺すしかないね」を言っています。そして、この「笑い」という要素は、同じく第1話から何度も出てきています。
















(第1話)
矢口さん 「大丈夫、越前さん? はい、笑う。」
越前さん 「はい。」


第1話の冒頭で矢口さんは「はい、笑う」と越前さんを諭しています。そして、そのラストで越前さんは自室の鏡の前でひとり笑う練習をしてみるのですが、このときはひろしがやって来て・・・






(第1話)
ひろし 「なに? 気持ち悪い。」


・・・と言われてしまいますw でも、これは ひろしの言う通りなんですよね。無理してひとりで笑顔を作るのは不自然なのですから。そして、越前さんが初めて自然に笑うのは第2話。


(第2話)
越前さん 「変な人。」
はらちゃん 「ん? へんって、何でしょうか?」
越前さん 「変わってるってことです。」
はらちゃん 「変わってるって、何でしょうか?」
越前さん 「もういい、やっぱり、黙ってて。」 
















おかしそうに笑う越前さん。そして、それを見たはらちゃんも嬉しそうに微笑む。
















つらいことがあっても、「笑う」ことができれば、誰かとそうやって微笑むことができれば、少しだけ世界は明るくなる。これもまた、立派なメッセージだとわたしは思います。なので、第9話、そして、第10話でも、そういうメッセージを伝えつづけてほしいです。


(第8話)
はらちゃん 「大丈夫ですか、越前さん」
越前さん 「はらちゃんの顔、見たら、大丈夫になりました。」
はらちゃん 「では、つらいことがあったときや心配なことがあったときは、わたしの顔を見てください。」

(第8話)
はらちゃん 「でも、泣いてるより、笑ってるほうのがいいじゃないですか。ねえ?」



つづく


Wednesday, February 27, 2013

「泣くな、はらちゃん」第6話の感想



泣くな、はらちゃん #6 投稿者 yamutya1




第6話はとても切ない話でした。でも、はらちゃんが最もカッコいい回でもありました。
















(第5話)
はらちゃん 「では、越前さん、お願いします。」
越前さん 「はい。じゃあ、また。」
はらちゃん 「また。」


第5話で、ついに両想いとなって、「また」会いましょうと別れるふたり。それまでは偶然に開かれるだけだったノートをきちんと意識して開くのもこれが初めて。そして、第6話では紺野さんの「マキヒロを出してほしい」という頼みを聞いて、その「オマケ」としてはらちゃんが出て来ます。(もちろん、これは越前さんの冗談)


(第6話)
越前さん 「さ、行きましょう。オマケのはらちゃん。」
はらちゃん 「ん? オマケ? オマケとは何でしょう?」
越前さん 「いいから。ほら、行きますよ!」


子供を相手に話すような口調で可愛らしい。物語の前半で越前さんが「ついてこないで!」とたびたび叫んでいたのが嘘のようです。
















(第6話)
はらちゃん 「越前さん、おいしいです。」
越前さん 「よかった。」


そして、9時までの短い時間を居酒屋で過ごします。ここでも、「よかったです」ではなくて、「よかった」と答える越前さん。何気ないセリフにもふたりの関係の大きな変化を感じます。

















でも、越前さんはこの両想いが現実のそれと違うことをきちんと理解しているんですよね。


(第6話)
はらちゃん 「楽しいね、はらちゃんとの恋は。・・・でしょ?」
越前さん 「・・・はい。でも、」
矢口さん 「でも、そのぶん切ないよね。」
越前さん 「はい。」
矢口さん 「楽しいことってのはさぁ、そのぶん、切ないんだよねぇ。楽しいぶん切ない、切ないぶん楽しい。そういうもんなんだよねぇ。」
矢口さん 「結婚か。プロポーズされちゃったねぇ。いいプロポーズだった。」
越前さん 「はい。・・・できるわけないのに、結婚なんて。」


せつない恋ですよね・・・。はらちゃんと越前さんの恋はある意味で遠距離恋愛に似ていると思うのですが、現実の遠距離恋愛だと結婚して一緒に暮らすことが解決策になり得る。でも、このふたりの場合はそれが出来ない。これはつらい恋です。


はらちゃんと越前さんの恋の切なさが描かれるいっぽうで、この第6話では、そもそも、なぜ、はらちゃんが外の世界に出たのか、なぜ、越前さんはノートにマンガを描いていたのか、そういった物語の原点についての確認が行われます。まず、マンガの世界において、視点を戻すための狂言回しを演じるのは笑いおじさんです。


(第6話)
笑いおじさん 「いいか? 問題はな、神様なんだよ。」
はらちゃん 「ちょっと! 越前さんを悪く言うのはやめてくださいよ。」
笑いおじさん 「もともとはよ、神様の機嫌がいつも悪くて、この世界がなんだかおかしなことになっててよ、それを何とかしようって話じゃなかったのかよ? それがよ、恋だか何だか知らねえけど、おまえさぁ、自分のことばっかりじゃねえか。」


そう、そもそも、はらちゃんはこのマンガの世界を明るくするために外の世界を目指したのでした。


(第1話)
ユキ姉 「最近、この世界がなんだか暗く重たいのは、おそらく、われわれの神様の機嫌が悪いからだ。」

(第1話)
笑いおじさん 「その、もうひとつの世界で、神様のご機嫌がよくなれば、オレたちのこの世界も明るくなるってことか、ん?」
ユキ姉 「そうだね。」


さらに、笑いおじさんはこう続けます。


(第6話)

笑いおじさん 「この世界のことなんて全然考えてねえじゃねえか!」
はらちゃん 「そんなことありませんよ! わたしが越前さんを幸せにしたら、この世界は明るくなるんです。」
笑いおじさん 「なってない! 全然明るくなってない! いいか。恋とか言って、ぽーっとしてるからこういうことになるんだよ。」
マキヒロ 「恋は悪いことじゃないです! 素敵なもんです!」
笑いおじさん 「なんだ、おまえまで。どいつもこいつも、恋、恋、恋、恋。外の世界に行って腑抜けになりやがって!」
あっくん 「ぼくは腑抜けになってないですよ、恋なんかしないですし。」
マキヒロ 「犬しか見てないんだろ?」
あっくん 「しょうがないじゃないですか、そんなこと言ったって。」
笑いおじさん 「おまえにはな、外の世界は無理だよ、臆病だからな!」
あっくん 「あー、そうですよっ! 犬、怖いですよ、ぼくはっ!」
はらちゃん 「ちょっとやめましょう、やめましょう。」
笑いおじさん 「恋とか言ってさ、ねぇ、腑抜けになってるやつよりマシか。はっはっはっ。」
マキヒロ 「腑抜けじゃない!」



笑いおじさんというのは、その名の示す通り、若者から見れば「ものわかりの悪いおじさん」でもあるわけですが、言ってることは間違ってないんですよね。そして、ここでのやりとりが示すように、マンガの世界はひとつにまとまっていません。


つぎに、現実世界。こちらで狂言回しを演じるのは越前さんの弟・ひろしです。


(第6話)
越前さん 「あんたに言われたくない。」
ひろし 「姉ちゃん、オレはさ、家族のこと考えてんの、わかる? 姉ちゃんも、もっと考えようよ!」
越前さん 「なに、それ。」
ひろし 「家族のこと、考えるの、当たり前でしょうよ。なんで、そんなこともわかんねえの? ねえ? オレはさ、言っときますけど、ちゃーんと考えてんの。ねえ? おい、聞いてる?」


ほとんどすべての視聴者が「おまえが言うな!」と憤った場面ですが、現実世界ではトリックスターのひろしに言わせるのが最も効果的だったのでしょう。矢口さんだとマンガの世界と現実世界の両方を見渡せてしまいますしね。


ひろし 「姉ちゃん、オレはさ、家族のこと考えてんの、わかる? 姉ちゃんも、もっと考えようよ!」


これはマンガ世界で笑いおじさんが言った「この世界のことなんて全然考えてねえじゃねえか!」とまったく同じメッセージですね。そして、矢口さんではなく、ひろしが問い掛けることの意義はひろしが家族であるということ。この越前家におけるやりとりで「家族」というキーワードが加えられ、物語はクライマックスの岸壁のシーンとなります。


(第6話)
はらちゃん 「越前さん。困ってますね、越前さん。ごめんなさい、わたしが困らせているんですよね。」
越前さん 「はらちゃんのせいじゃないです。」
はらちゃん 「越前さんが困った顔を見るのはつらいです。」
越前さん 「ありがとう。」


はらちゃんは自分がマンガ世界の人間だと知ったあと、少しずつ「自分が何も知らないこと」を自覚していき、それをあやまるようになりました。そして、この場面では自身が越前さんを困らせてしまっていることをしっかりと認識して、「ごめんなさい」とあやまっています。
















(第6話)
越前さん 「はらちゃん。」
はらちゃん 「はい。」
越前さん 「ごめんなさい。」
はらちゃん 「え?」
越前さん 「あたしとあなたとは、結婚とか、できないんです。ごめんなさい。できないの、ごめんなさい。」
はらちゃん 「わたしがマンガの世界の人間だからですか。」
越前さん 「そうです。」
はらちゃん 「そうなんですね。」
越前さん 「はい。」


はらちゃんと同じように「ごめんなさい」という言葉を口にしながら、正直に「結婚できないこと」を伝える越前さん。このとき、「あたしとあなたは」と言っているのが、とても強く印象に残りました。なぜなら、第5話で両想いを伝えるとき、越前さんはこう言っていたからです。


(第5話)
越前さん 「なんだかさっぱりわからないけど、両想いなんです、あたしたちは。だって、あなたのこと、好きに決まってるじゃないですか。あたしがつくったんだから。いちばん好きなキャラなんだから。」


どんなに高い壁があっても、それでも自分たちが両想いであると伝えるために、このときは「あたしたち」とひと括りにしていました。しかし、「結婚できない」と伝えるときは「あたしとあなた」とふたつに分けているんですね。そして、こんなつらいやりとりのあと、はらちゃんは「家族」について次のように語ります。


(第6話)
はらちゃん 「家族っておもしろいですね。」
越前さん 「え?」
はらちゃん 「あんなふうにケンカしても一緒にいるんですよね?」
越前さん 「ええ、家族ですから。」
はらちゃん 「はい。それって、なんだかすてきですよね。結婚しないと出来ないものなんですか、家族って。」
越前さん 「え、いや、そうとは限らないというか、いろんな場合がありますけど。」
はらちゃん 「あぁ、そうですか。じゃあ、わたしの家族はちゃんとマンガのなかにいますね。」
越前さん 「え・・。」
はらちゃん 「ときどきケンカもするんですよ。それでも、ずっと一緒にいます。それって、家族ですよね?」


もう・・・、泣かさないでくれ、はらちゃん・・・。そりゃ、越前さんだって泣きますよ・・・。
















(第6話)
はらちゃん 「ごめんなさい。また何かいやなこと言いましたか? ・・・あ、抱きしめましょうか?」
越前さん 「また、そんなこと・・・」
はらちゃん 「すいません。では、抱きしめません。」
越前さん 「抱きしめてください。」
はらちゃん 「こうですよね?」
越前さん 「はい。」
はらちゃん 「あったかいですね。」
越前さん 「はい。」
はらちゃん 「ずっと、こうしていたいです。」
越前さん 「はい。」















「あったかいですね」という、ごくごく当たり前の言葉が胸にしみます。でも、はらちゃんはこの「あたたかさ」がいつまでも続くものではないとわかっていました。


(第6話)
はらちゃん 「でも、ダメなんですよね。わたしは越前さんを困らせたくないです。」


最初のころ、無邪気に、無邪気すぎるくらいに、「越前さーん!」とその名前を呼んでいたはらちゃんが「越前さんを困らせたくないです。」と言う。そして・・・

















(第6話)
はらちゃん 「越前さんに幸せになってもらいたいので。」


そう言って、はらちゃんは自らノートを開きます。越前さんにただただ会いたくて駆け回っていたはらちゃんが、越前さんを愛するがゆえに、自らノートを開いてマンガの世界へと帰っていく。


















(第6話)
はらちゃん 「ただいま、マキヒロ、あっくん。笑いおじさん、たまちゃん、ただいま。ユキ姉、ただいま。」


グッと涙をこらえてマンガ世界の「家族」のみんなと堅く握手を交わすはらちゃん。ここのはらちゃんは、これまでで最もカッコいい。悲しいけども、でも、ものすごくカッコいい。


(第6話)
はらちゃん 「あー、そうだ! みんな歌いましょ。みんなで歌いましょう。ねえ!」


そして、ケンカしていたみんなをまとめるため、ギターを手に取ってあの「私の世界」を歌う。


(第2話)
マキヒロ 「はらちゃん、はらちゃん、はらちゃん! そろそろ勘弁してもらっていいですか。あの、歌ってね、確かに歌ってね、確かに素晴らしいと思うんですけど、ずっと同じ曲を聴かされると・・・」


そればかり聴かされるとうんざりすることもあるけど、でも、そう言っていたマキヒロですら第3話では、やはり、この「私の世界」を歌っている。わたしはこのマンガ世界は「地方」のメタファーになっていると考えていますが、「私の世界」という歌はマンガ世界における「故郷の歌」なんですよね。


















そして、みんなで肩を組んで歌う。すべてが素晴らしいだなんて言えないけど、でも、故郷とは忘れがたいもの。だから、何かあったら、みんなで同じ歌を歌う。はらちゃんはこのマンガの世界をよくするために外の世界へ行き、そして、この第6話で「故郷」に戻って「家族」と一緒に歌を歌った。
















(第6話)
越前さん 「大好きよ。はらちゃん。」


越前さんははらちゃんへの想いと一緒にマンガのノートを引き出しへとそっとしまいます。



だからおねがいかかわらないで そっとしといてくださいな
だからおねがいかかわらないで わたーしのことはほっといて



第1話において、誰にも干渉されたくない、誰とも関わりたくないという思いから越前さんが綴った言葉が、はらちゃんと知り合い、恋をして、そして、好きなまま別れなければならない場面で歌となって流れる。同じ歌を使うことで、第1話と第6話が対照的に描かれているわけですね。

















そして、与えられた工場長代理という役割を全うする越前さん。第1話でマンガに不満をぶつけていた越前さんはもうここにはいません。


マンガ世界を良くしようとして「違う世界」に向かったはらちゃんも、マンガという「違う世界」で現実世界の鬱憤を晴らしていた越前さんも、「違う世界」に救いを求めることをやめ、自分のいる「世界」にそれぞれ戻っていきました。第6話を見終わったあとに第1話を見返してみると、このふたりが恋によっていかに成長したか、それがよくわかります。そして、この第6話が最終話であったとしても、わたしは納得していたかもしれません。なぜなら、ふたりの恋と成長がきちんと描かれているのですから。



Sunday, February 24, 2013

「泣くな、はらちゃん」 ひろしは重要キャラ




ひろしは深いことを考えて行動している




・・・と言っても、誰も納得してくれないんですけど? どういうこと?w ひろしの行動をちゃんと見てあげましょうよ! ほら、こんな感じですよ?




【第1話】


勝手に越前さんのマンガノートを捨てる。


【第2話】


勝手に越前さんの大切にしている矢東薫子漫画全集を売る。


【第3話】


越前さんが矢東薫子漫画全集を持ち運ぶようになったので、それをひったくろうとする。


【第4話】


越前さんのマンガノートが金になるか、勝手に鑑定に出す。




・・・・・。いや、なんていうんだろ、まぁ、ほら、第5話!


【第5話】

ひろし 「軽く慰めてやりますか。」


ほら、優しいでしょ? 姉想い! え? 第6話?


(第6話)
ひろし 「姉ちゃん!」
越前さん 「なに?」
ひろし 「こいつさぁ・・・、オレよりバカなんじゃない?」
越前さん 「え?」
ひろし 「いいの? こんなんで?」
越前さん 「うるさいな、あんたに関係ないでしょ。」
ひろし 「いや、あるでしょ、関係。越前家にとっては大事な問題でしょうが、姉ちゃんの結婚問題は。とくに、経済問題は!」
越前さん 「なに言ってんの。あんたが何とかしなさいよ。」
ひろし 「それが何とか出来ないから言ってんじゃん。」
越前さん 「もうやめて。」
ひろし 「なんでだよ!」
越前さん 「よくない!」
越前さん 「あんたに言われたくない。」
ひろし 「姉ちゃん、オレはさ、家族のこと考えてんの、わかる? 姉ちゃんも、もっと考えようよ!」
越前さん 「なに、それ。」
ひろし 「家族のこと、考えるの、当たり前でしょうよ。なんで、そんなこともわかんねえの? ねえ? オレはさ、言っときますけど、ちゃーんと考えてんの。ねえ? おい、聞いてる?」


・・・えーと、とりあえず、「家族のこと考えてんの」「ちゃーんと考えてんの」と言ってますよね? え? 同意できない? わかりました。はいはい。参りました。わかりましたよ。言い方を変えますよ。




ひろしは何にも考えてません!




え? さっきと言ってることが違うって? 違わないですよ。仕方ないなぁ、正しく言い直しますよ。




ひろしは何も考えてないし、同時に、深く考えてもいる




・・・って言ったら、家族から怒られたんですけどw なんで、はらちゃんを「布教」したわたしが責められるのだ!w おかしい!w なんか、間違ってる!w


じゃ、順番に行きますよ。そもそも、この物語はひろしがいなかったら、始まらなかったんですよ。第1話で世界の裂け目が出来たのは、ひろしがノートを捨てたから。それまではずっとこんな感じだったんです。


(第1話)
はらちゃん 「なんか、最近、ずっと同じじゃないですか。毎日、毎日、同じことしゃべってるような気がするんだけどなー。大丈夫なんですかね、この世界は?」


ずっとずっと同じことの繰り返しで、何の変化も起きなかったわけです。でも、ひろしが越前さんのマンガノートを見つけたときから、この状況が変わるわけですよ。




(第1話)
ひろし 「姉ちゃん、金貸して! ・・・っていないの知ってるし!」


・・・・。いや、いいんですよ。とにかく、ノートを見つけたのが大事なんです。





















そして、ひろしがノートに手を置いた瞬間、越前さんは何やらただならぬ気配を感じております。


















(第1話)
ひろし 「ほー、ほほー。つまんねえ。」


まぁ、ひろしは面白くないと考えたので、ノートを・・・




















捨ててしまいますがw ともかく、これのおかげで、はらちゃんが初めて外の世界に出てくるわけです。で、ひろしが登場するとき、マンガ世界の上にかかる雲は紫色をしています。




(第1回)ノートを捨てるとき
















(第2回)矢東薫子漫画全集を売り飛ばすとき






























はい。じゃ、ひろしについて簡単にまとめます。




・ひろしは特別な力を持っている。
・最初にマンガ世界と現実世界のあいだの裂け目を作ったのはひろし。
・そのとき、越前さんはただならぬ気配を感じている。
・ひろしが登場するときは紫色の雲がかかる。




え? 演出? もちろん、演出ですよ? でも、ひろしは特別な力を持っているんです。つまり・・・




ひろしは雨や太陽などの気象・天候と同じなんです。




雨は災害をもたらすこともあれば、恵みの雨となることもある。太陽も干ばつを引き起こすこともあれば、その一方で、植物の生育には不可欠。そこに善悪なんてないんです。だから、「何も考えてない」。でも、そういった雨や太陽、風、波などなどがあるから、自然のサイクルは回ってるわけで、そういう意味では「深く考えている」んですよ!(あ、反論を喰らいそうw


ということで、もうひとつ。








エンディングのアニメーションはさりげなく、ひろしのパーソナルカラーであるレインボーが配置されています。


藍(ノートに落ちる涙)
紫(雨の色)
青(エンピツ)
緑(遠くに見える何か。何なのか、わからない。)
橙(ドラゴンの炎)
黄(町並み)
赤(赤い糸)


とくに、紫の雨














ふつうだったら、雨は青や水色ですよね。でも、エンディングでは紫になってるんです。これはひろしの持つキャラクターを最もよく示していると思います。ていうか、そう思ってくださいw


んで、第6話で、さらにイメージが悪くなったひろしですが、でも、大事な伏線がひろしによって張られてるんですよ。


(第4話)
ひろし 「だからぁ! もうひとり、漫画の専門家見つけたんだってば、ネットで!」


もし、越前さんが「二代目」矢東薫子になるのだとしたら、この伏線しかないです。だって、他のことはけっこうきっちり整理がついてきちゃってるから。不確定要素を持っているのはひろしだけなんです。だから・・・



この伏線は「恵みの雨」になる可能性があるわけです!





ついでに言えば、このエンディングの前半は矢東薫子のマンガ人生を表していると考えているので、この紫の雨が青いエンピツと一緒に出てくるのは、「漫画家人生の始まり」を暗示・・・してるかもしれないでしょ? でしょ、でしょ?




( `Д´ ;), ' ゼェゼェ




・・・で、納得してもらえました? してないですよね? はい、もう、いいですw どんだけ逆風でも、わたしはこの予想は変えませんw




おしまい

Thursday, February 21, 2013

「泣くな、はらちゃん」 ユキ姉と玉田工場長について




ユキ姉と玉田工場長。この二人はわたしにとってのお気に入りです。そして、第5回で大きく物語が動いたので、ちょっとだけ書きたいことを書いておきます。このドラマはもう展開を読めないので、これは予想ではなくて、願望みたいなものです。




【ユキ姉】


物語のカギを握るユキ姉。マンガ世界の5人のなかで唯一、外の世界に出たことがありました。


(第1話)
ユキ姉 「黙ってたけど、わたしは行ったことがあるんだよ。その昔ね。もうひとつの世界に。」
はらちゃん 「もうひとつの世界? なんですか、それ?」
ユキ姉 「神々の国だ。神様が住んでるんだ、あそこには。」


なので、ユキ姉は最初からメロディーの存在もギターの弦の数も知っていました。


(第1話)
ユキ姉 「はらちゃん!」
はらちゃん 「はい?」
ユキ姉 「一生懸命歌ってるつもりのあなたには悪いけどさぁ、それは・・・歌じゃないよ。」
はらちゃん 「え?」
ユキ姉 「歌にはね、メロディーってものがあるんだ。」
ユキ姉 「それにね、ギターの弦は本当は6本だ。」
はらちゃん 「・・・なに言ってるんですか、ユキ姉。ギターの弦は3本。3本ですよ。」
ユキ姉 「6本だ。」
はらちゃん 「え、それって、わたしたちの世界をつくってる、あの、神様ですか? え、そこにユキ姉が行ったってことですか?」
ユキ姉 「そういうことだね。その世界はギターの弦は6本なんだよ。」


歌とギターは元の作者である矢東薫子にとって何か重要な意味を持っていそうな気がするのですが、そこはいまのところわかりません。また、第1話の時点でギターの弦が3本だったのも、矢東薫子の時代からそうだったのか、越前さんがそう描いていたからなのか、そこもわかりません。


(第1話)
ユキ姉 「最近、この世界がなんだか暗く重たいのは、おそらく、われわれの神様の機嫌が悪いからだ。」


ともあれ、ユキ姉はマンガの世界が暗く重たい原因が外の世界にあると知っているわけです。ただ、わたしが気になるのは、ユキ姉以外の4人の反応。


(第1話)
笑いおじさん 「なーにを言ってんだぁ? 別の世界なんてあるわけないだろぉ? 世界ってのいうのはな、オレたちが生きてるここのことなんだよ、何だよ、別の世界って?」
ユキ姉 「あるんだよ。」
笑いおじさん 「どこにあるんだよ。言ってみろ。」
ユキ姉 「ここではない、別のところに。」
はらちゃん 「ど、どんなところなんですか、そのもう一つの世界っていうのは?」
ユキ姉 「教えるのはやめとくよ。知ると、今、自分がいる世界が余計イヤになるから。」


ユキ姉以外の4人はユキ姉が外の世界に出たことも知らないし、外の世界の存在そのものも知らないのです。ですが、これはよくよく考えてみると不思議です。なぜなら、もし、あの狭い居酒屋のマンガ世界にずっと一緒にいたのであれば、ユキ姉が外の世界に出たことだって知ってるはずです。では、なぜ、ユキ姉以外の4人は何も知らないのか。
















越前さんが愛読していたのは「矢東薫子漫画全集」。単一の作品ではなくて「全集」なんですよね。なので、複数の作品が収録されている可能性が高い。つまり、ユキ姉が外の世界に出たことを他の4人が知らないのは、少なくとも、ユキ姉と他の4人は別々の作品のキャラクターだったからじゃないのか。そして、越前さんは別個の作品に出てくるお気に入りのキャラクターを集めて、この居酒屋の舞台で二次創作しているのではないか。


(第3話)
矢口さん 「矢東薫子。」
越前さん 「えっ!?」
矢口さん 「・・・のマネだよね。ていうか、出てくるキャラは全部パクり!」
越前さん 「知ってるんですか、矢東薫子先生の漫画。」
矢口さん 「うん、むかし、読んだことがある。」
越前さん 「ほんとですか!? 嬉しいです! 」


第3話でもうひとりの重要人物である矢口さんは越前さんのマンガを指して「出てくるキャラは全部パクり」と言っています。ただ、作品そのものをパクりとまでは言ってません。なので、あの5人のキャラクターの組み合わせと居酒屋の舞台というのは越前さんが組み合わせたもので、矢東薫子の原作ではああなっていなかったのではないか。


(第5話)
矢口さん 「ハッピーエンドにはならないかもしれないけどさぁ、でも、彼の気持ちにはちゃんと応えてあげるべきなんじゃない。だって、あなたが作ったんでしょ、彼を。神様なんでしょ、あなた。世界を創った神様にも責任はあるんじゃないかなぁ。」


第5話でも、矢口さんはらちゃんのことを指して「あなた(=越前さん)が作ったんでしょ、彼を」と言っています。もちろん、オリジナルのキャラを作り上げたのは矢東薫子ですが、今のマンガ世界をつくったのは越前さんということになるのかもしれません。


(第1話)
笑いおじさん 「その、もうひとつの世界で、神様のご機嫌がよくなれば、オレたちのこの世界も明るくなるってことか、ん?」
ユキ姉 「そうだね。」


第1話の冒頭ではらちゃんの質問にこう答えていたユキ姉。でも、実際にはらちゃんが神様(=越前さん)に会ってマンガの世界に戻ってきたとき、マキヒロや笑いおじさんがはしゃぐなか、ユキ姉だけは何とも言えない表情を浮かべています。
















(第1話)
はらちゃん 「わたしはねぇ、神様に自分の気持ちをぶつけました。どうか幸せになってください。そうでないとわたしたちの世界は曇ったままなんです。どうか世界を明るくしてください、と。」
ユキ姉 「そう・・・言ったの?」


神様と接点を持つことを素直には喜べないユキ姉。でも、第1回の終わりにマンガ世界でギターの弦が6本になり、はらちゃんが初めて「私の世界」を歌うとき、にこりと微笑んでもいます。


(第2話)
ユキ姉 「世界の秩序が乱れちゃったねぇ。でも、それは仕方のないことなんだよ、はらちゃん。違う世界を知るってことはさ、素敵なことだけど、つらいことなんだよ。」


ユキ姉は「素敵なこと」と「つらいこと」のどちらも知っている。「つらいこと」がどんな出来事だったのか、それはこれから語られるのでしょう。


(第6話予告)
ユキ姉 「あきらめたほうがいいと思うよ、神様との恋は。深入りすると殺されるよ。」


第6話の予告でこんな不気味なことを言っています。ユキ姉の決め台詞は「殺すしかないね」ですが、過去においてユキ姉は「神様に殺された」存在なのかもしれません。


(第1話)
ユキ姉 「イヤな世界だねぇ。みんなが自分がいちばん可哀想だって言ってさぁ。こう見えてねぇ、わたしだっていろいろあるわよ! たまには、わたしだって前向きなことが言いたいわよ!」


ユキ姉の決めゼリフは「殺すしかないね」ですが、これが矢東薫子の原作から言っていたセリフなのか、それとも、越前さんの創作なのか、それはわかりません。でも、その過去においてユキ姉は神様に「殺された」ことがあるとすれば皮肉な話ではあります。




【玉田工場長】


第5回で突然に亡くなってしまった玉田工場長。第4回までは矢口さんに甘い、単なる管理職として描かれていたのですが、ここに来てその存在は物語の重要な存在となってきました。

















まず、マンガの世界に移った玉田工場長は名前も「玉ちゃん」になったわけですが、現実の世界の記憶を持っていないとのこと。これがどういう意味を持つのか、まだわかりません。ただ、あれだけ慕っていた矢口さんのことも忘れてしまっているわけですね。なので、マンガの世界から再び現実の世界に出て来て、軽く幽霊騒ぎなどを起こしつつ、矢口さんと再会するというくだりがあるのかもしれません。もちろん、そのとき、玉ちゃんは矢口さんのことをはっきりと覚えてはいないわけで、かなり切ない話になりそうな気がします。


ただ、謎もまだ残されています。第5回で玉田工場長はこんなことを言っていました。


(第5話)
玉田工場長 「どうした、はらちゃん? 越前さんとケンカでもしたか?」
はらちゃん 「ん? ケンカとは?」
玉田工場長 「また、それかよ。ケンカってはアレだよ、ほら、田中、教えてやれ。」
田中さん 「あ、はい。お互いの意見が合わなくて、言い争いになってしまうというか。」
はらちゃん 「あ、はい。ありました。越前さんがわたしの言うことをなかなか信じてくれなくて。」
玉田工場長 「あきらめることだな。男と女のケンカの場合、男があきらめる以外、解決はないんだよ。それからこれだけは覚えとけ。」
はらちゃん 「はい、はい。」
玉田工場長 「女が男を信じるということは、決してない!」
はらちゃん 「えぇー? そうなんですか?」
玉田工場長 「そうだ、絶対ないんだ!」
田中さん 「何があったんですか、工場長?」
玉田工場長 「ないんだよ! ないんだよ!」
はらちゃん 「それは困りますね。」
玉田工場長 「その通りだよ! 困ったもんだよ!」


過去に何があったか、それは説明されていませんが、極度の女性不信です。しかし、なぜ、矢口さんにだけは甘かったのか。バレンタインデーのくだりでもこう言っています。


(第4話)
矢口さん 「どうなったんだろう。。」
玉田工場長 「え? なにがですか?」
矢口さん 「何でもありません、あ、はい、これ。」
玉田工場長 「え? チョコですか?」
矢口さん 「なーに言ってるんですか、工場長。バレンタインはかまぼこでしょ?」


矢口さんからのチョコは期待していたはず。このあと、矢口さんを追いかけて何か「女性不信」になることでもあったのか・・・と考えてみたのですが、それにしては演出がおおげさなので、ちょっとそれはないのかなと思っています。ということで、今のところ、女性不信の玉田工場長が矢口さんにだけ甘かったのか、まったくわかりません。


そして、第5回では玉田工場長が天涯孤独の身であったことも明かされています。


(第5話)
玉田工場長 「おまえ、家族は?」
はらちゃん 「家族?」
玉田工場長 「親とか兄弟とか、いないのか?」
はらちゃん 「わかりません。」
玉田工場長 「あぁ、そうか、わかんないのか、いるのか、いないのか、、オレと一緒だな。オレと一緒だよ。親も兄弟もいたのか、いねえのか、わかんねえ。まぁ、親はいたんだろうけどな、わかんねえんだ。で、結局、家族も持たなくてさぁ、ひとりだよ。フッ、ひとりだよ。ひとりっきり。」


(第5話)
玉田工場長 「ときどき思うよ。オレが死んでも泣いてくれる人はいるのかなぁ、ってな。」
はらちゃん 「死ぬって、世界からいなくなることですよね?」
玉田工場長 「んー。」
はらちゃん 「工場長がいなくなったら寂しいです。わたしが泣きます!」
玉田工場長 「嬉しいこと言ってくれるねぇ、ありがとよ。」


天涯孤独の身だった玉田工場長はマンガ世界で新たな仲間を得たわけですが、まだこれだけでは少し足りない気がします。より救いのある展開になるとすれば、それはマンガ世界で誰かと結ばれることではないか。そして、マンガ世界にいる女性はただ一人、ユキ姉です。そして、ユキ姉も第5回でこんなことを言っています。


(第5話)
ユキ姉 「ハァ~、、なんでさー、みんな、外の世界に行くと恋するわけぇ? ここにも女がひとりいるんだけどなぁ? なぁ?」
はらちゃん・マキヒロ 「はぁ・・・。」
ユキ姉 「なんなの・・・!」


ユキ姉もまた恋について話しています。こういった発言をしたのはこの第5回が初めてです。物語の後半においてユキ姉の過去が語られるのは間違いないと思うのですが、おそらく、壮絶なものなのでしょう。でも、そのままではユキ姉にも救いがありません。となると、玉ちゃんとユキ姉が結ばれるというカタチになるのではないか。玉田工場長は玉ちゃんとなって現実世界の記憶を持っていませんから、あの女性不信も一緒に消え去っているはず。

















そして、エンディングのクレジットは第1回から「光石研 奥貫薫」となっています。わたしはこの二人がマンガ世界で結ばれて終わってほしいなと思っています。というか、そうしないとこの二人の落としどころがないような気がするのですよね。





おわり

Thursday, February 14, 2013

「泣くな、はらちゃん」第2話の感想



あ、長いです。一応、言っときます。




泣くな、はらちゃん  第2回  20130126 投稿者 kate634




さて、本格的に恋愛ドラマが展開されるのはこの第2回からなのですが、まず、冒頭のマンガ世界のやりとりが面白いですね。第1回で高らかに歌い上げられていた「私の世界」ですが、そればかり聴かされて「マンガの世界」の住人たちはやや食傷ぎみ。痺れを切らした笑いおじさん(甲本雅裕)ははらちゃんにこんな問い掛けをします。


笑いおじさん 「だいたいさ、その、そっちの世界に行って得たものって何だ?」
はらちゃん 「え・・・」
笑いおじさん 「神様は相変わらずご機嫌斜めだし。」
はらちゃん 「あ、でも、歌とメロディを・・・」
笑いおじさん 「そんなもんじゃ世界は変わらないんだよ!」


甲本雅裕(ミュージシャン・甲本ヒロトの兄)にこのセリフを言わせるのが凄いw まぁ、笑いおじさんはかまぼこを食べたかっただけのようで、その直後、素直に「かまぼこ食ってみてえ」と泣き笑いをします。それに釣られる格好で、あっくんは「車に乗ってみたい」、マキヒロは「犬を見てみたい」とそれぞれに「外の世界」への憧れを語っていくわけですが、その様子を見ていたユキ姉がこう語りかけます。


ユキ姉 「世界の秩序が乱れちゃったねぇ。でも、それは仕方のないことなんだよ、はらちゃん。違う世界を知るってことはさ、素敵なことだけど、つらいことなんだよ。」


いいセリフです。ユキ姉の過去を暗示させる内容でもあり、同時に、これは恋を言い表したものでもあるのでしょう。恋とはそれまでの自分を超えることであり、ときに、捨てることでもある。恋は「甘い」と形容されることが多いけれども、でも、同時に「つらいこと」でもあります。(ポエムってます


(苦しそうに胸を押さえるはらちゃん)
ユキ姉 「どうした? はらちゃん?」
はらちゃん 「いや・・・、自分でもよくわからないんですけど、なんか、胸のこのあたりがムズムズっていうか、痛いっていうか・・・、なんか変な感じなんですよね。神様、あ、いや、越前さんのことばかり考えてしまうんです。会いたくなっちゃうんですよね。越前さんに会いたくて仕方ないんです。」
ユキ姉 「まさか・・・」


はらちゃんは越前さんのことが好きになってしまったわけですね。ただ、よくよく考えてみると、どのタイミングで好きになったのか、はっきりとはわからないんですよね。第1回の神社における越前さんとのやりとりから「なにか」を感じたのかもしれませんが、まぁ、でも、恋なんてそんなもんです。どこで、何が理由で、その人を好きになったのか、そんなことはいちいち覚えてられません。(ポエムってます


そして、再び「外の世界」へ出るはらちゃん。親切な田中さんが「マンガ」の存在を教えてあげるシーンではらちゃんはこう言います。


はらちゃん 「これがマンガ・・・、なんか、懐かしい感じがしますね。」


「懐かしい」なんて語彙をいつ覚えたんだ、はらちゃん・・・という気がしないでもありませんが、ともあれ、はらちゃんは「マンガの世界」の住人なので何かを感じるわけです。そのあと、はらちゃんは越前さんに会うためにふなまる水産の中へ入っていくのですが、そこでパートリーダーの矢口さんははらちゃんにこう呼びかけます。


矢口さん 「こないだみたいに、神様を怒らせちゃダメだってことよ。どうも、はらちゃん。」


当たり前と言えば当たり前ですが、矢口さんだけは最初からはらちゃんのことを「どこかで見たような気がする」と引っかかりを覚えており、第1回のラストでは本屋さんで矢東薫子全集を手に取って確認までしています。それを踏まえて考えると、ここではっきりと「どうも、はらちゃん」と言っているのは改めて挨拶をしているようなものですかね。それも、自覚的に。また、「神様を怒らせちゃダメだってことよ」と、はらちゃんにも理解できるようにマンガ世界の視点で忠告を与えているのも印象的です。この時点で、矢口さんだけは事の次第をだいぶ理解しているのでしょう。


で、肝心の越前さんですが、こちらはテンションが低いままでして、やる気なさそうにかまぼこ新作募集のポスターを描いています。こんなイラストです。




















紺野さん 「イヤならさ、イヤって断れば良くない? それなのに、いかにも『こんなもんでしょ?』みたいな絵、描いちゃってさ。」


ズキッ! わたしは画力に自信がないのでこのセリフに敏感に反応してしまうのでありますが、ま、それはいいとして、紺野さんはある種のヤンキーキャラとして登場しているのでしょう。もちろん、田中さんのことが好きな紺野さんにとって越前さんは「一方的な恋敵」でもあるので、そういった感情も入ってはいるのでしょうが、このドラマは設定からして文化系寄りなので、そこにカウンターとして置いているが紺野さんなのではないか、と。「アメトーク」におけるホトちゃんみたいなもんですね。「なんでなん?」と言わせることで、共感しづらい視聴者も引き込むのがその役割。


紺野さん 「不愉快です。わたし、あなたみたいな人がいっちばん嫌い。」
越前さん 「えっ?」
紺野さん 「その顔も嫌い。イライラする。」
越前さん 「あの、わたし、何かしましたっけ・・・」
紺野さん 「何もしないのがイライラするんですよ!」
越前さん 「すみません、意味がわからないです・・・」
紺野さん 「世の中のことすべてに、『わたしは関係ないですぅ』みたいな顔してますよね!? 『わたしなんか、そんな』『わたしなんて、全然』『わたしなんて、とんでもない』『わたしなんて』『わたしなんて』『わたしなんて』・・・、そのくせ、実は自意識バリバリ強くて、失敗したりして傷つくのが嫌なだけなんですよね。そういうヤツに限って、自分が大っ好き。」
越前さん 「なんで、そんなにあたしに攻撃的なんですか・・・」
紺野さん 「ちゃんとやってください! やるんなら、ちゃんとやれって言ってるんです! 嫌なら断れ、やるんならどんなことでもちゃんとやってください! かまぼこ新作募集ポスターでも、ちゃんとやってください!」


まー、越前さんみたいなタイプが嫌いな人たちの「声」を代弁しているかのようなセリフ回しになっているわけですが、でも、わたしが好きなのはそのあと。


紺野さん 「わたしもやるから。」
越前さん 「何を?」
紺野さん 「かまばこポスターです。宣戦布告、勝負です。」
越前さん 「えっ・・・?」
紺野さん 「一度ぐらいは本気で勝負しなさいよ。」


このドラマは言いっ放しがないんですよね。はらちゃんも第1回で


はらちゃん 「わたしは心から、あなたにもう少しだけでいいから幸せになってもらいたいと思いました。越前さんが幸せになるためだったら、わたしは何でもします。お願いします! 自分のこと、どうでもいいなんて言わないでください。」


・・・と、ただお願いするのではなく自らも行動すると言っている。紺野さんもまた、ただ文句を言うだけではなく、「勝負」というカタチを取りつつ、越前さんを促している。紺野さん自身もこうやって吹っかけて部屋から立ち去ったあと、ドアの向こう側で「あー、やっちゃった」という表情を見せていますから、これはこれで勇気のいる行動だったわけですね。ま、ただ、越前さんは


越前さん 「何を・・・? ちょっと、紺野さん、その勝負お断りします。しませんよ・・・、わたしはそんな意味のないこと・・・。」


と相変わらずのローテンションなのですがw でも、はらちゃんがそこに入っていきます。はらちゃんは空気を読みませんから「何か気まずい雰囲気だなー、そっとしておこう」とか考えませんw


はらちゃん 「神様、いやっ、越前さん。」
越前さん 「何ですか。」
はらちゃん 「戦い、受けて立つんですよね? 悪魔さんとの。」
越前さん 「はい?」
矢口さん 「神と悪魔の戦いかー。」
越前さん 「戦いなんてしませんよ・・・」
はらちゃん 「それはダメです、越前さん。それはダメですよ。わたしもあのかた、悪魔さんに同意見です。やるんだったら、ちゃんとやりましょうよ。越前さん、あなたは神様だからご存知かもしれませんが、わたしは何度も言ってますよね。『仕事なんだからちゃんとやろうよ』って。『みんなやりたくてやってるわけじゃないんだから、勤務時間だけはちゃんと仕事しようよ』って、何度もわたし、そう言ってるじゃないですか。」
越前さん 「言ってるじゃないですか、って・・・」

























越前さんはパートのおばちゃんたちに対する不満として「ちゃんとやりましょう」とグチっていた。そして、それと同じことを紺野さんから言われたのに、越前さん、あなたはその「戦い」から逃げるのですか? そう、はらちゃんは痛いところを突いているわけですね。ま、はらちゃん本人はあまり深く考えていないんだろうけどw


はらちゃん 「越前さん、ちゃんとしましょうよ。それから、わたしはこうも言っていますよね。『わたしは本気を出してないだけなんだ』って。」
越前さん 「なに言ってるんですか!? もう、いいです! わかりました!」
(越前さん、描きかけのポスターを破いてしまう)
越前さん 「ちゃんとやります。描き直します。それでいいですか。」
はらちゃん 「はい、ありがとうございます。」


ここの『わたしは本気を出してないだけなんだ』というのは本編で紹介されているマンガには出て来ていないセリフですかね。紺野さんの指摘の通り、越前さんは自意識と自己愛がとても強いのでしょう。ま、誰だってそうですけどね。単に、表現方法が違っているだけで。


んで、このあと、はらちゃんの「愛の告白」があるわけですが、そこは見てもらったほうが早いですから書き起こしはしないでおきます。はらちゃんは「恋」という言葉を覚え、そして、交番で矢口さんから自身の恋が「片想い」であると教わります。


はらちゃん 「片想いって、悲しいんですね・・・」
矢口さん 「ふふ、そうとは限らない、美しいんだよ、片想いは。」
はらちゃん 「うつくしい?」
矢口さん 「この世界のほとんどの想いは片想いなんだ。世界は片想いで出来てるんだよ。」
はらちゃん 「はぁ・・、そうなんですね。大事なものなんですね。」
矢口さん 「そうだねっ。」
はらちゃん 「大切にしますっ、片想い。」


この直後、越前さんが自宅に戻ってマンガのノートを開くことではらちゃんは「マンガの世界」へ引き戻されてしまうわけですが、それを目の前で見ていた矢口さんは大きく驚いたりはしません。初めてここで、矢口さん=矢東薫子であると描かれているわけですね。


ともあれ、自分の描いたマンガとそのマンガの中から出てくるはらちゃんに励まされる格好で、越前さんは「ちゃんと」ポスターを描きます。そして、それが一段落したところで、大切にしていた矢東薫子全集が無くなっていることに気づいて、再び出て来たはらちゃんが一緒に探しましょうと促します。


越前さん 「いいの、いいんです。」
はらちゃん 「よくないです!」
越前さん 「好きなんですよね? そのマンガに片想いしてるんですよね? 美しいんです、大切なことなんです、片想いは。教えてください、探しに行きましょう。」


矢口さんに教わったこと、そのまんまなわけですが、素直なほうがいいんです。ひねた男性よりも素直な男性のほうがいいんです。そう思いません?(誰に聞いてるんだ


で、矢東薫子全集を探しに夜の町を行くふたり。走り慣れてないせいか、膝に手をついて息を切らせている越前さんの手を取って、はらちゃんはこう言います。


はらちゃん 「走るのが遅いんですね、越前さんは。小さいし、足短いし。」


素直なんです、悪気はないんですw そして、はまゆう書房で「矢東薫子全集」を見つけたはらちゃんが軽く騒動を起こしつつも、結局は越前さんが自腹で買い戻してこの件は解決します。3万円といえば大金なので、一瞬ためらいを見せる越前さん。でも、再び手にしたとき、嬉しそうに安堵のため息をもらします。


はらちゃん 「今の、なんですか?」
越前さん 「ちょっと、黙ってて。」

















ま、ずっと黙ってたわけですがw いいんです、男性は素直なほうがいいんですw あの暗い子、越前さんもここで初めて笑みを見せます。


















なんでしょう、「クララが立った」的な妙な感動がありますw



















この回のクライマックスは夜の町が美しいです。なんてことのない、地方都市の夜ですけど、でも、美しい。そして、演出も素晴らしい。「私の世界」と「初恋は片思い」は同じメロディーを持つ曲なわけですが、ここでは「初恋は片思い」が流れます。


「初恋は片思い」
こいのうたとか きらいなんだよね どれもみなおなじ
こいのうたとか きらいなんだよね わからない
こいのうたとかうたいたくないよね ほかにもあるでしょ?
こいのうたとかうたいたくないよね にあわない
こいするためにうまれてきたとかありえない そう おもっていた
でもこいをした でもかたおもい あなたのことしかうたえない
でもこいをした でもかたおもい そんなじぶんにわらう


このドラマに出てくる「片想い」は


はらちゃん → 越前さん
田中さん → 越前さん
紺野さん → 田中さん
玉田工場長 → 矢口さん


と、いくつかあるわけですが、この曲に合わせて、はらちゃん、田中さん、紺野さんの「片想い」が描かれていきます。矢口さんは「片想いってのは美しいものなんだよ」とはらちゃんに教えていましたが、それは片想いがいずれは終わるからですかね。終わりがないとしたら、それはもはや「片想い」ではなく、執着ですし。この夜の町のシーンで、田中さんの「片想い」はなかば終わりを迎えるのでしょうし、紺野さんの「片想い」も「想い」だけではなく行動へと変化していく。すべてがハッピーエンドとなるわけじゃないけど、でも、終わるから「次」に進める。(ポエムってます


で、主人公のふたり。はらちゃんは「離れることのつらさ」をストレートに言葉にします。


はらちゃん 「越前さん、片想いって涙が出るものなんですね。わたしは、あなたと離れることが苦しくてつらいです。だって、次、いつ会えるか、わからないじゃないですか。わたしは、恋してる人に自分から会いに行くこともできない。越前さん、胸が苦しいです。痛いです。どうか、行かないでください。」


越前さんは「何なの、それ!」と言いながら小走りで去って行ってしまうのですが、でも、立ち止まって、そして、はらちゃんのところへ戻ろうとします。



















越前さんが初めて自分からはらちゃんのほうへ近づいていく。「片想い」が「片想い」ではなくなる瞬間。だからこそ、このシーンはスローモーションで描かれているのでしょう。


んで、まぁ、この夜の町をシーンを見て、「これはいいドラマだわ」と思ったわけですが、こういうふうにシンプルに恋を描くには何らかのギミックが必要になるのでしょうね。現実的なドラマだったら、あそこまでストレートなセリフは出てこないし、出すわけにもいかない。でも、はらちゃんは自分にわかってることだけを口にするし、見ている側もそれを了解しているので、そのままの気持ちを描くことが出来る。「マンガの世界」の住人という不思議な設定ではあるけども、そのおかげで恋愛ドラマとしての純度は極めて高いものになっているのかなー、と。


「わたしは、あなたと離れることが苦しくてつらいです。だって、次、いつ会えるか、わからないじゃないですか。」


なんてことないセリフですが、でも、これこそが恋だよなー、と。





















そして、最後にモノクロの世界だったマンガに初めて赤いハートマークが加えられる。それを見つけた矢口さんは越前さんがはらちゃんを描いていることを知る、と。脚本、よく出来てますね。


まぁ、なんていうのかなー、恋愛ってこんなものですよね。見た目でもない、話術でもない、結局は相手を思ったうえで行動すること。はらちゃんが矢東薫子全集を探しに、一緒に夜の町を走ってくれた。そして、越前さんの大切なものを取り返そうと懸命に行動してくれた。そのほうがよっぽど相手の心に訴えかけるチカラがあるんです。言葉だけが愛を語るわけじゃないってことですね。(ポエムってます




(つづく)